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そらとぶ掃除機の旅人さん

作者: おにぎり2000

私は森田紗鳥もりたさとり、22歳で実家の宿屋で働く従業員。

魔法が使えるこの世界で生きる女の子は皆魔法使いになりたがる子が多いみたいだけど、

私はそんなことよりも自由気ままに旅がしたい。


魔法関係の大学を卒業し、多くの生徒が大学院に進学してさらなる魔法使いの資格取得に励むのだけれど渡しの場合は膨大な学費を貯めることもままならないし、そのためにわざわざ奨学金を借りるのだってアホらしいという考えに至る。


流れで実家の宿屋でそのまま居座り、従業員として働く生活がなんとなしに続いているのだけれどいつかはここを出て自由な世界に飛び回りたい。


大学までに学んできた専攻は主に商業系の知識で仕事業務に役立つ魔法しか習得していない状態で、たびに出て使える知識なんて全然ないし。毎日親がやる宿屋の仕事の下働きのような状態で掃除をしたり客室のセットアップなどぐらい。


こんな毎日が続いているある日、ぼろぼろになった掃除機が廃棄置き場に置かれていた。

もう壊れてしまって使い物にならないようだが、持ち主も居ないなら回収していいよね。と自宅に持ち帰ることにした。私は業務の知識だけを学習してきた身だけど趣味で機械工学を学習していたことも有り、電子工作は得意なもの。


宿のご飯で買い出しを任されたりお使いに行かされるけどちょっとこの近所じゃお店がなくわざわざ歩いて20分ぐらい重たい買い物袋をぶら下げて往復しなければならないのはホント酷。もともとこの家で生まれるのは男の子で長男坊として期待されていたのだけれど、出産してみて私が女の子だったということに家族は期待はずれの目を向けられて…それからずっと家族にはあまり嫌われ者でしょっちゅう重労働を押し付けられる。精神的にもそろそろ限界があるところ。


兄弟もいるけどしょっちゅう嫌がらせしたりするわでほぼ家の中でも孤独な身になってしまって。


はぁ。この現実から飛び出したい。

このボロ掃除機を修繕するにもある目的があってのことだった。

もうこの家から家出して旅に出ようと。


魔法学の知識は十分にあるがそれをいきなり動かしたりするということが不可能で、

魔法使いが好んで使うほうきに乗って空を飛ぶということは私には難しい。


なので得意な電子工学の力を併用することで空を飛ぶことができるという考えに行き着いている。


空飛ぶほうきは操縦者のマナを直接吹き込んで空に舞い上がるが速力調整や意思疎通を交わすかのようにリアルタイムな向きの調整。私にはちょっと難しい。何度か練習してみたけれど。


今回はこの壊れた掃除機を改造して魔法石をベースに駆動し電子回路を通じて制御する、そらとぶ掃除機を開発しようと考えているのだ。


操縦者のマナ→魔法石(電源電力と変換)→電子回路→モーター→排気量の調整で空を飛ぶ


多重にマナを消費するほうきの制御よりもこちらは掃除機本体への電力をマナに変換して注ぎ込むだけの単純操作なのでMP的にも十分耐えられる。


難しかったほうきの姿勢制御もこちらなら基盤にジャイロセンサーやパイプを向けた位置に飛行するといった単純操作で機会に詳しい私なら改造もお手の物。


作業するとなったらまずは駆動源の電力を動力に変換する電源ユニットを魔法石と取替ならねばならない。魔法石は市場で多く売られているので安いやつを大量に購入して大学時代に業務知識で学んだ錬金術式を活用し精製して高純度の魔法鉱石にまで磨きをかける。

魔法石を磨くことで注入貯蔵可能なマナの容量もどんどん増えていく。車のガソリンタンクのようなもの。リッター30kmぐらい実現できれば理想って感じかな?(一応この西洋の魔法世界でもある程度ガソリン駆動の車はシェア率が高いらしいけど高燃費車ばっかりだからね。)


長旅で1日飛行できるぐらいの容量があればいい。1日の終りには宿屋に泊まって寝ることで操縦者、私のマナ量の回復を行って・・・という感じ。研究を始めた最初はリチウムイオンバッテリーを乗せることで飛行することも考えたけどそれじゃあっという間に電池を使い切ってしまい、隣町に飛行するぐらいで尽きてしまうことがわかった。自動車用のバッテリーなんかも結構お金がかかる。自分の体力からのマナを消費することなら無駄なお金の消費もないのでベストということだ。


魔法石を磨いたら銅線ケーブルにつないで基盤へ接続する。

魔法石から流れる魔力は基盤に直接流れてしまっては何も意味をなさないのでマナから電力へ変換を行う。このための変換器を独自で工作。


基盤にはメインの空気を吸い込んで外に吐き出すモーターへの一定出力調整やそれに加えて姿勢制御用のジャイロユニット、仕様時におおじて適度に速力を調整できるように魔力共鳴を受け取れるような受信ユニットも取り付ける必要がある。


吸引制御のユニットはもとからある基盤をそのまま使う。

そこにバイパスして私自身が速度を増したいなど減速するなど意思を伝える魔法を受信できるようなアンテナ的役割を担う受信ユニットを経由させる。これでただ飛び続けるといった状態にホバリングしたり速力の調整が実現できる。飛行最高速度は私自身の限界までといったところかな。100km行けばいいけど。


あと、私自身が掃除機に乗ると慣れば一番強度のあるパイプ部分を重点に落っこちないように自動でバランスを保ってくれるジャイロなどを取り付けたり、服にうまく引っかかるようにチェッカリングを彫り込んだりと。乗り心地を向上させるのは流石に掃除機なので実現は難しそう…


飛行する際に向く向きを決めるのは掃除機の先端のパイプの向きで決まるように。

先端のパイプにGPSを内蔵させることで、掃除機本体のコンピューターユニットに世界地図のデーターを読み込んで向いている法学を割り出して飛行したい方向へ向く電子コンパスという仕組みだ。(現実世界で言うGoogle Mapをスマホで使ったら向いている方向を示してくれるあの機能。)


パイプを上に持ち上げれば浮上し、押し下げれば下に降りる。

掃除機の先端を行きたい方角へ向けて押し下げたり上げたりすれば発進できるって感じ。

速度調整は私自身の魔力共鳴で停止~10km、20km…と徐々にスピードを上げて行けられる。

共鳴型のメリットは無段階に速力を調整できるのでこのスピードが良いといったところまで自由にシームレスに調整できるのがいいところ。


あとはうるさい駆動音を最小限に抑えるためのサイレンサーを装備したり排気の空気に匂いが出ないレベルまでクリーンな空気に変換するためのフィルターを装備、ゴミが溜まっちゃうと匂いが出ちゃうので集塵機構はキャンセルした。吸ってもそのまま排出口から出ていくように。





そんなこんなでようやく完成した。空飛ぶ掃除機。

実質旅の出発資金はほぼこれにかかったと言っていい。

あとはもう旅の準備は整っている。

バックにかばん、食料品も。

掃除機のパイプにくくりつけて後は出発するだけだ。

家族に気付かれないように夜中に抜け出して旅は始まる。


行ってきます。未来の私を探す旅へ…


おしまい

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