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二話 謎の空間で

 

 結局その日は俺と聖奈2人で手分けして家の全体の掃除をした。 

 夕飯は、料理ができる聖奈に教えてもらいながら2人で作ることにした。毎食母さんに来てもらうのも悪いしな。

 いくら聖奈のサポートがあるとはいえ、いきなり手の込んだ料理は難しいので比較的簡単に作れるカレーを作った。


「お、うめぇ。もっと料理って難しいもんかと思ってた」


「ま、これくらいはね。っていうかカレーを教えられながら作ったぐらいで調子に乗らないでよ。カレーなんて中学の山の研修で作ったでしょ。これくらい誰でも作れるの。」


「(そんなこともねぇと思うけどな) そうか?ま、俺も久しぶりの手料理なんだしちょっとくらい調子に乗れせてくれ」


「はぁ、まったく」


「あ、食い終わったら俺が洗い物するわ。その間に風呂沸かしといてくれ」


「わかったわ。じゃ、ちゃっちゃと食べ終えちゃいましょ。」


 そう言って聖奈は食べる手を早める。

 俺はなんかこのまま黙々と食べ続けるのも寂しい感じがしたので何か話そうとしたが、びっくり仰天!何にも話題が出てこない!どうしようかと視線を漂わせていると、俺が持ってきた異世界本が目に留まった。「これだ!」と思った俺は食べる手を止めて、聖奈にいかに異世界が素晴らしいかを熱弁した。…が聖奈は食事をする手の速度をおとすことなく、さっさとカレーを食べ終えて風呂を沸かしに出てしまった。


 (悲しきかな…)


 まぁいきなり自分に興味のない話を聞かされても面白くはないだろう。

 だがワンチャンにかけて俺は一推しの小説を聖奈の部屋に置いてきた。


 (これで良い反応がなかったら諦めよう)


 そんなことを思いながら洗い物を済ませた俺は、汗を流すために風呂場に向かった。

 …先に言っておくと、風呂場でばったり聖奈に出会うなんてお約束の展開はなかった。その事をちょっと残念に思いながら風呂に入る。すると、なんか急に恥ずかしくなって体を洗ってシャワーを浴びるだけにする。


 (があああ。意識しすぎだ俺!10年近く一緒にいるんだぞ!これからこの家に寝泊まりするのに、こんなに意識してたら精神が保たないぞ!………あれ?ってかよく考えたら、聖奈も大分落ち着いてきたようだし俺必要?…………うん。この件は深く考えないようにしよう。うん、あれだ。聖奈は歩き出したが、久しぶりに歩くから転ぶかもしれない。俺は言われたように聖奈がしっかり歩いていけるよう近くで見守れば良いんだ。よし。そういうことにしとこう。)


 俺は改めて自分が聖奈になにをしてあげられるかを考えながらシャワーを浴びて風呂を出た。……結局湯船には浸からなかった。


 (はぁ〜なんか風呂に入るだけで疲れた…ま、共同生活も始まったばっかだし、追々慣れて行くと言うことで。)


 なんて考えながらふと時間を確認してみると時計の針は21時を回っていた。


 (あ、やべ宿題してねぇじゃん。とりあえず日付が変わるまで勉強するか。)


 一応1日に何ページ進めれば良いかの目安は出してるし、事前にある程度進めているから今日1日やらなくてもなんとかなる。が、高2のこの時期は勉強した方が良いとよく聞くし、他のことにも時間を割きたいから宿題は進められる時に進めとこうと思う。

 因みに、部活はちょっと前に辞めたから気にする必要はない。元々そんな本気じゃなかったのと、新しい顧問との相性も悪く少し疎遠気味になっていた。そこに聖奈のこともあったから俺はスッパリと部活をやめた。

 

 まぁそんな話はどうでも良くて、今重要なのはこの夏休みをいかに効率よく使うかだ。まぁこれは明日考えよう。


 結局その日は1時を過ぎてから異世界本だらけのソファの端で寝た。









 〜???〜



「んぁ?うわっっっっっ眩しっ…目っ、目がぁぁぁ。」


 目を刺す様な痛みと共に意識を覚醒させた俺は、辺りの眩しさに少し驚きながらも少しずつ目を開け、その眩しさに慣らしていく。そして俺は慣れてきた時に見た光景にさらに驚くことになる。

 そこには何も無かった。

 いや、厳密にいうと全てが白かった。前後左右に天と地も俺が今まで見てきた「白」よりもさらに白かった。


「え…な、は?なんだ?ここは。………意識もしっかりしてるし……これが白昼夢ってやつか?…初めて見たわ、白昼夢。辺りも白いし、文字通り白()夢って?アッハッハ。…つまんな」


 俺は混乱しながらも、少しずつ今自分が置かれている状況を整理して考察し始める。そこには不思議と恐怖は無かった。周りを白で囲まれて、驚きもしたし混乱もした。だが何故か恐怖や不安と言った感情は湧いてこなかった。

 ある程度時間が経ってから、降って湧いて出たように一つの案が頭の中に浮かんだ。


「はっ!なるほど!遂に俺は異世界に召喚されるのか!?来ちゃーーーーーーーー!転送先はどんな世界だ!!剣と魔法の世界か!モンスターが蔓延る世界で無双するのか!悪逆非道を繰り返し、人を不幸にする魔王を打ち倒す勇者になるのか!あ、でも最近は魔王にも事情があることも多いしな…ま、それは自分の頭で判断するしかない!そして、悪役令嬢!…にはならんか……転生じゃあるまいし。それに息子はついたままがいい。あ、あとは仲間に裏切られない様にしないと!それからそれから(割愛)」


 なんて妄想を膨らませていると、俺の脳裏に幼馴染や俺の家族の姿がよぎった。


(あ………もし俺が異世界に転移してしまったら皆を置いていってしまうことになるんだな…。それはちょっと…いや、絶対嫌だな。)


 しばらくして落ち着いた俺はふと思った。


(あれ?そういやずっと俺1人だな…こういう時は神にチートスキルを授かるものと思っていたけど…ありゃ? …このまま転移なんかせずに目が覚めれば良いのになぁ)


 そうして俺は何故何もないのかを考えようとしてその場に大の字に寝そべった。するとふと視界の上の方に何かが映った気がしたので慌てて起き上がり、後ろを見る。

 すると、そこにはとても困った様な顔をした金髪の美しい女性が浮いていた。


(あれ、もしかしなくても女神だよな…)


 俺はさっきまでの言動を思い返してめっちゃ恥ずかしくなった。顔が今までにないくらい火照る。もうなんなら火が出る。いや絶対出てる。だって目頭熱いし。


 そんな俺を見て哀れに思ったのか女神様は口を開いた。


「あ、あの。つい先程こちらに来たばかりなので私は何も聞いてませんよ?」


 恐らく女神様も混乱しているのだろう。今の発言で俺は女神様がさっきの俺の言動を聞かれていたのを確信した。

 だが、女神様が気をきかせてくれたのは分かった。今の発言は完全に地雷だったが、その思いは伝わったので緊張しながら失礼のないように言葉遣いに気をつけて口を開く。


「そうでしたか。それはよかった(?)です。あ、私の名前は遠藤春明と申します。本日はお日柄もよく(辺りは真っ白だが)、女神におかれましては…」


「ふふっ。そんなに緊張しないで。私は普段、人間界に紛れて生活しているから普通に接してくれて結構よ。立場も一応神に近いけど元人間だし。神使ではないんだけど、まぁそれに近いかな。だから、私のことは生前の名である『天音あまね』と呼んで頂戴。それで今日は、主様の命令でここに来たの。」


「そうでしたか。元人間で普段は人間界に…そんなことが…。(落ちつけ俺、今は現状の確認だ)あっそうだ、ここは一体どこなんですか。」


「ここはあなたの夢の中です。…異世界転移じゃなくてごめんなさいね。」


 おい、今の発言もなかなかにアウトだぞ…。隠す気がないのか、ポンコツなのか…


「そ、そうでしたか。まぁ正直、異世界転移じゃなくてほっとしてます」


「あらどうして?さっきまであんなにはしゃいでたのに?」


 …もう何もいうまい。


「………えぇ、まぁ。考えてみれば、まだ地球でやることもあるし、家族や幼馴染がいるのに1人で勝手に消えるわけにはいけませんから。」

 

「へぇ優しいのね。一応言うと、異世界転移すると元いた世界からは、その人の存在した記憶、記録なんかを全て消すこともできるのよ。それでも揺らがない?」


「はい。俺は家族や幼馴染のそばにいたいですから。」


 俺がそう言うと彼女はニコっと微笑んだ。


「合格!!」


「え。合格?」


「そんな優しい君と異世界好きの遠藤一家、そしてその聖奈ちゃんが一緒に異世界に行ける方法をお姉さんが教えてあげる。まぁ正確には、この方法は私の仕えるている女神様に託されたものなんだけどね。私は君がこの方法を教えるにたる人物かを見極めてたってわけ。」


「え!?本当ですか!?異世界に!?…嘘じゃなく?」


「えぇ本当よ。私は悪意のある嘘はつけないの」


「まじか!やったぁ!」


 俺はさっきのこともあるから少し控えめに喜んだ。本当ならモン○ンの高級耳栓が必要なレベルで咆哮して、三段ジャンプをかましたいところだがそれをグッと堪えた。その結果「まじか!やったぁ!」なんて、なんともまぁ安い喜び方になってしまった。


「っていうか俺たちのこと知ってたんすね」


「もちろんよぉ。あなた達はちょっと変わったところもあるけれど、その魂はみんな優しさで溢れているわ。そんなあなた達に報いようと女神様はあなた達の異世界行きを許可したの。」


「そうなんですか。…俺たちそんなに優しさで溢れてます?」


「えぇそれはもう。覚えてませんか?ンンッ『ワタシニホンゴスコシシカワカリマセーン』」


 天音さんは咳払いをしてから、日本語を下手くそに喋った。


 (……?…ん?ちょっと待てよ…。最近……。)


「!言われてみればちょっと前に道案内してあげた外国の美女…。あれ天音さんだったんですか。」


「ふふっそういうことです。因みにあなたのご両親や妹さんにも助けてもらいました。あなた達を試す様な真似をしてすみません。」


「あぁいえ謝らないでください。(まぁ道案内くらいは誰でもするだろ。)」


「道案内『くらい』と言えるのがあなた達の良いところなのですよ」


「(心を読まれた!…まぁ心くらい読むか…。)そういうもんですか…。それで俺はこれからどうしたら?」


「異世界に転移するのに必要な魔法陣はあなたの前の机の上に置いときました。あとはその魔法陣に手を置いて、そうねぇ…剣と魔法の世界なら…『マギソルドの世界へ転移』と言えばあちらの世界へ行けます。」


「マギソルドですか…分かりました。それで皆で行くにはどうすれば?」


「ただ手を繋ぐだけで良いわ。それと服とか身につけているものも一緒にそのまま転移してくれるわ。あ、あと他に持って行きたいものがあれば魔法陣の横にあるシールを貼れば持って行けるわよ。転移も何回でもできるし、シールも剥がせば何回でも使えるから覚えておいてね。」


「了解です。あ、あと転移先とかって…」


「ん?あぁ、安全な場所にしてあるわよ。あと戦闘スキルとかも向こうに行けばどうとでもなるわ。」


「分かりました。いやぁなんだか夢を見ている気分だ…ってこれ夢の中での出来事なんですけどね!テヘッ。」


 興奮のあまり変なボケ方をしてしまった。少しツッコミを期待して天音さんに視線を向けると「あらあら、うふふ」と微笑んでいた。…いや今のはどう考えても俺が悪い。


「じゃ、じゃぁあとは目が覚めるのを待つだけですね。」


「あ、起きたかったら私に言ってくれればいつでも起こせるわ。…もう他に私に聞きたいことがなければ、いますぐあなたを起こせるけどどうします?」


「あ、じゃあよろしくお願いします。」


「了解よ」


 そう言って天音さんは両手を前に出して強く叩いた。


 パアァン!!!!!


 俺は、その音を聞いた瞬間に意識が遠くなるのを感じた。


(あぁやっぱりもう少しこの空間にいてもよかった気がするけど…まぁいいや)


 そこで俺の意識は途絶えた。


頑張って捻り出して4392字…まじか…。

せめて5000字くらいは1日で書けるようになりたいなぁ。(それが多いんか少ないんかは知らんけど)

他の方の1日に書く字数ってどれくらいなんだろ…。

あと、会話にもっとボリュームを持たせたい感はある。(なんか薄っぺらい感じがする)


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