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十一話 冒険者ギルド2

前回、書ききれなくて変なとこで終わってしまってモヤモヤさせてしまったかもしれません。

ちゃんと、話の構成やその文字数を気にしなきゃなーと思いました。

書くことに慣れるまでは、あんな感じで変な終わり方をしちゃうかもしれませんが、そこはご容赦願いたい。


 気持ちの悪い冒険者の海の前で、俺は親父からこの局面をどう切り抜けるのかを聞く。


「正直に言う。こいつらは、とっちめて分らせてやった方がいい。」


「…。力尽くって事か…?親父…なんか、ただの脳筋になってないか?」


「あ?んなわけねぇだろ。そんなこと言うんなら春明、何か他に良い案があるのか?」


「う〜ん。…例えばギルドに、一部屋借りるとかして、一度転移で地球に戻って…」


 俺は、元々考えていた作戦のうちの一つを出した。しかし、全部言い終わる前に親父から食い気味に否定される。


「いや、ダメだ。急にギルド内から消えるような事はしたく無い。後から職員や冒険者からの追及が面倒だからな。あと、それだと根本的な問題の解決にはならないだろ。」


「…と、言うと?」


「こいつらに俺たちの実力を見せて追い払わない限り、街中で目があったら即ポ○モ○バトルの始まりだ。毎回そんなバカな事してられない。だったら、多くの冒険者の目がある今戦って実力を見せた方が効率いいと思わないか?」


「確かに。…それによく考えたらミオンがいるしな。…転移は悪手か。」


 親父の作戦は俺のどの作戦よりも理に適っていて、良案だった。


「更にちゃんとした理由もあるぞ。ここで実力を示す事で今後の火の粉も払える可能性がある。…まぁ一つ懸念があるとすれば、今戦えるのはお前だけだ。しかも素手。いくらこいつらが、見るからに〈僕ら三下です!〉って感じでも、もしかしたら負け」


「ねぇよ。絶対負けねぇ。もし俺が負けたら、皆んなが酷い目に合うんだ。折角、聖奈と…。」


 あ、危ない。みんなの前で堂々と恥ずかしい事言うところだった。


「…折角、憧れの異世界に来たのにそんなバッドエンドにしてたまるか。死んででも勝ってやる。」


 そうだ。何のために俺たちが異世界に来たと思ってる。

 …いやまぁ、正直これといった理由はないが、強いて言うなら幸せになるために異世界にやってきたのだ。

 そんな、皆んなの異世界の幸せライフをこんな奴らに乱されるくらいなら、俺の命一つくらい…


「いや、流石にそこまでお前が追い込まれたら、なりふり構わず転移するぞ。」


「いや…でも…。」


「はぁ。お前の命と憧れの異世界ライフ。天秤で比べるまでもない。そもそもの価値が違いすぎる。」


「親父…。」


「それに、もし負けて転移を使ったとしても異世界ライフが送れなくなる訳じゃない。」


「…?」


「パシズには寄れなくなるかもしれないが、他の街に行けばいい。ただそれだけのことだ。」


 た、確かに。それもそうだ。

 今の俺は視野が狭いな…。戦闘前で緊張しているのだろうか?


「だから、あまり気負わずに戦ってくれ。」


「あぁ、サンキュウ親父!」


 もし俺が負けても、保険がある。それだけで少し心が軽くなった気がした。

 …だがまぁ、勿論だがこいつらに負けてやるつもりは無い。それは単純に、意地というか男の性というか…。

 俺が、あれだけ「大丈夫だ。俺が守ってやる。」と、好きな女の子にカッコつけたのに、いざ戦ってみたら「思ったより相手が強くて負けましたー。皆んなで地球に逃げまーす。」なんて事になるのは『非常にダサい』。うん。この言葉に尽きる。

 

 もし、俺が負けても、家族や聖奈からの信頼が崩れることがないのは分かっている。

 …だが、それとこれとは別だ。

 一度カッコつけたのなら、最後までカッコつける。……キマッたな。


 俺は、こんな事を頭の中でグルグル考えて精神を落ち着け、闘気を高めていった。

 そんな俺たちを前に、冒険者の方は痺れを切らしたようで。


「おい!さっさとおもて出ろよ!」

「ビビってんのか!?あぁん!?」

「皆んなにお別れの挨拶を済ませまちょうね〜。」

「いや、いっそこの世と別れを済ませとくか?」

「心配すんなや!あとのことは俺らが全員で面倒みてやるからよ!」


 なんて喚いている。

 はぁ〜、うるっせぇなぁ。こういう奴らは声だけはでかいんだから…。


「はぁ。分かってるよ。全員叩きのめしてやるから、表に出ようぜ。」


「ヒュー。待ってました。」

「こいつ馬鹿だぜ!こいつ一人で俺たち全員を相手にするつもりかよ!」


 俺は外へ出るためにとりあえず一階へ向かう。俺たちが歩き出すと、海が割れ、俺たちが通り過ぎた後ろから冒険者達がついてくる。

 …なかなかに異様な光景だ。こいつらまさか美人な冒険者が入ってくるたびこんなことしてるんじゃ無いだろうな…。


 俺は外に向かいながら、聖奈に耳打ちする。


「そういえば、聖奈は補助系魔法?みたいなのが使えたよな?あれ今使えるか?」


「えぇ。味方に対するバフ系なら…。」


 おぉ!神か!


「…俺、今からすっげぇダサいこと言うけど…。」


「分かってるわよ。バフをかけてあげればいいんでしょ?」


 お見通しか…。


「そんなの、ダサくなんてないわ。…むしろ私はこれくらいしかできないから。」


 いや、そんなことはないけどな。聖奈はそこにいてくれるだけで、俺の力になってくれている。

 …こんな恥ずかしいことは絶対本人にはいえないけど……。


「あぁ。ありがとう。」


 そうこうしているうちに、ギルドの出口が見えてきた。

 俺は聖奈に声をかけて、バフをつけてもらった。

 今回、つけてもらったのは〈攻撃力アップ〉と〈防御力アップ〉と〈視覚強化〉のような物だ。

 特にこの中だと〈防御力アップ〉は今の俺とシナジーが高い。

 何故なら、俺は今素手だからだ。武器を持ってない以上、攻撃する際や相手の攻撃を受け流す際に自分の拳を使うことになる。その時に、〈防御力アップ〉のあるおかげである程度、自分へのダメージを緩和させることができる。


 バフがかかって、準備万端になった俺は家族とミオンにギルドの建物の中にいるように伝えてから、一人で建物の外に出る。

 それを見た三下冒険者達は何か言いたげだったが、俺の後に続いてゾロゾロと出てきた。

 そのうちの一人が、


「おい、テメェなんのつもりだ。まさか本当に一人でこの人数相手にするのか?」


 なんて怖い顔をしながら聞いてくる。

 よっぽど、聖奈たちがギルドの建物から出てこなかったのが不服なのだろう。


(…まぁ、そうだろうなぁ。この人数るんだから、数人に俺の相手をさせて、残りの人数で俺の家族を人質にするなり攫うなりする予定だったのだろう。)

 

 だが、そんな三下の考えることは俺も親父もお見通しだ。


「なんだよ、お前らみたいな雑魚たくさんと俺一人。ちょうどいいハンデだろ。」


 いや、やっぱり聖奈のバフがあるから1.5人かな?

 

 そんな事を思っていると、向こうも準備が整ったようだ。

 改めて数を確認すると、ざっと二十人くらいはいるようだ。しかし、その大半の顔が赤い。これは怒り、と言うか、完全に酔っ払いのソレだ。

 

 俺が勝った時のインパクトを強くするために、わざわざ揃うのを待ったと言うのに…。

 このままだと、俺が勝っても「あの時は酔っていたから」とか「どうせ酔っ払いに勝っただけだろ」とか言われそうだ。


「はぁ、もういいや。酔っ払ってても、俺の強さを覚えていますよーに。」


 俺はそう呟いてから、地面を思いっきり蹴る。そして、その勢いのまま先頭に立っていた男の腹を殴る。すると、その男は「おごっ」という言葉を残し、後ろにいた三下冒険者十人と一緒にギルドの敷地内に消えた。


(あ、ヤッベ。ギルドの敷地内に入っちまった…。ど、どうしよう。)


 ギルドの内での戦闘ではないが、結果的にギルド内に入ってしまった。これでは、俺も注意を受けてしまうかも知れない。

 何かそれを回避するいい方法がないか考えていたら、残っていた十人が


「こいつwギルド内で戦闘してやんのw」

「職員にちくってやる」


 なんて会話をしていた。(こいつら、うっぜー!)と思っていたら、フッと妙案が湧いて出た。

 俺は徐に、俺を挑発してくる残った三下冒険者の方に近づく。俺の接近に気づき、一瞬動きを止めたが、また俺を煽りだす。

 特に向こうから攻撃してくるわけでもないので、簡単に近づくことができた。

 そして、俺はまだ煽ってくる冒険者を片っ端からギルドの敷地内に投げた。何が起きたか分からずキョトンとしている奴ら全員の意識をそのまま刈り取っていく。


 その様子を見ていた俺の家族は、今にも「うわ〜」と言いそうな顔で引いていた。周りにいた一般冒険者は「何やってんだあいつは」という目で見ている。

 しばらくして、通報を受けた職員が一人の冒険者に連れられてやってきた。


「君たち!ギルドの敷地内で何をやっている!ここでの争いは禁止だ!」


 お、来たきた。俺は職員が現場についてから、ついさっき用意した返答をする。


「いや〜それが。この酔っ払った人達が目の前で喧嘩しだしちゃって…。あ、勿論、僕は止めよとしたんですよ?でも、気がついたら殴り合いの喧嘩に発展しちゃってたんですよね〜。こうなると、僕が介入したら変に巻き込まれるな〜なんて思っていたら、勝負がついてたんですよ。んで、最後に残った人は恐らく酔いが回って寝ちゃったんだと思います。」


 俺は淡々と答えた。周りは「いや、めっちゃ嘘つくやん。」「大嘘やんけ。」「どの口が…。」なんて反応をしているが、俺の家族が近づいてきたことによりソレはピタッと止まった。


「あなた方は?」


 職員が尋ねる。


「俺達はこのバカのパーティー、というか家族だ。」


 親父がそう言って、うちの女性陣の方を向く。

 職員もつられてそっちを向いて、何かを察したようだ。


「…なるほど。…もしかして最近冒険者になったのでしょうか。」


「あぁ、ついさっきな。」


「………。分かりました。初回であることと、倒れている冒険者の普段の振る舞いから考慮して、今回は()()()()()()罪に問いません。しかし、今後同じ事が起こすようでしたらその時は容赦しませんので。」


「あぁ、感謝する。」


 おぉ〜あぶねー。俺としてもさっきのは、大分賭け要素があった。


「春明…。」


「はい!」


 ヤバイ。親父のトーンがマジだ。


「はぁぁぁ。…今回は何とかなったから見逃すが、余り余計な行動はするな。お前のその行動一つで何が起きるか分からん。正直言って肝が冷えた。」


「悪かったよ。でも、あれが一番丸かったんじゃないか?」


 俺たちに喧嘩を売ってきた奴らをボコせた&罪を背負わせた。…まぁ濡れ衣だが、それだけのことをされる言動だったのだ。自業自得。


「まぁな。ま、何にせよお前が勝って良かった。これで一つ山を超えたと言ってもいいだろう。」


「そうだな。…ってか腹減った。予定を少し押してるっぽいし、このままの勢いで街を廻ろう。」


 俺がそう先導すると、後からみんながついてくる。まずは飯だ。美味いかは分からないが、そこは〈異世界ランチ〉と割り切って食べるのがいいだろう。

 というか俺達はこの街について何にも知らないんだった。

 そう思った俺はミオンにおすすめの食事処を聞く。すると、近くの〈メイガ亭〉をお勧めされた。俺たちはミオンの案内で、〈メイガ亭〉へ向かう。その道中に俺は皆んなに戦闘中の俺はどうだったかをきいた。

 これは別に、俺がナルシストとかそういうのではなく、単純に客観的に見て俺の戦闘はどうだったかを確認したいだけで……


「とってもかっこよかったです!」

「あ?そうだなぁ。よく分からんがやりすぎの一言だな。」

「一瞬で勝ってたわね〜。」

「え?…魔法のこと考えたから見てなかった。」

「…完全にやりすぎよ。最初の十人もそうだけど、そのあと煽ってくる冒険者にニヤニヤしながら近づいて行ったのは、私が見ても怖かったわ。」


 ……………。

 うん。まぁね。皆んなも武の心得が無いから、的確な答えが帰ってくるとは思って無かったけど…。

 

 っていうか、一人完全に論外な奴いるし。なんだよ魔法のこと考えて見てなかったって…。

 …もしかしたら、心晴はさっき自分たちがピンチだったことも認識して無かったのだろうか?ギルド内でもずっとニヤニヤしてたし…。どんだけ魔法バカなんだよ。


 もういいもん。美味しいもの食べて忘れてやる。


 俺は、傷付いた心を食で癒すために、皆んなが潜って行った〈メイガ亭〉の暖簾を潜るのだった。


頭のいいキャラを書こうと頑張ってるけど、いかんせん作者の頭が悪いからとても難しい。(小並)

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