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九話 覚悟を新たに

1ヶ月って早いっすねー。

毎週、日曜日投稿頑張ります。


 その後、冒険者ギルドのつくまでに家族で話し合った結果、今日の日程は次のようになった。


 まず、冒険者ギルドで換金して、ついでにギルドカードも発行し身分証も作る。そして、冒険者として登録出来るようならすぐにする。

     ↓

 取り敢えず腹も減ったし、異世界飯を食べる。

 これにはアルディス達にもついてきてもらう。…俺たちはこの街について何も知らないからな。土地勘もなければ、うまい飯屋も知らん。その辺色々教えてもらおう。

     ↓

 飯を食い終わったら、街の散策だ。色んな所を回りながら、物の値段や、価値観…というか文化のような物に触れられればいいなと思っている。

 因みに、回る場所はある程度決まっている。八百屋や肉屋のような食材店。武器、防具を売ってる装備店。一応、アクセサリーなどを売っている装飾品店。後は、道具、魔道具屋だ。一日で回れるか分からないが、取り敢えずは値段がわかればそれでいい。

 そうこうしていると、日が暮れるだろう。そうなったら次だ。

     ↓

 宿はクソ安いとこに、俺と親父の二人部屋を取るつもりだ。

 俺がどんな宿を取ろうか悩んでいると、親父が「いや、夜は地球に帰ろう。皆んな自分では気づいていないかもしれないが、異世界に来たことによる精神的疲労は相当な物だぞ。一応〈精神耐性〉の能力はもらったが、それとこれとは別だ。……ぶっちゃけ俺は疲れたし、一旦地球に戻りたい。」と皆んなに言った。

 その意見に皆んなが賛同したことによって、今夜は一旦地球に帰ることになった。

 しかし、見つかる可能性が低い場所があったとしても野外で転移するのは危険だ。マギソルドの世界から地球への転移は何も心配することは無いのだが、地球からマギソルドの世界に戻ってくる時に転移を見られるリスクがある。

 だから、一応宿は取ろうということになった。


 まぁざっとこんな感じか。この通りになればいいが…。


 異世界の街の空気を楽しみながらアルディスについていくこと約15分、向かいに〈冒険者ギルド〉という文字がデカデカと書かれた建物が見えてきた。

 外見は…学校のような感じだ。高さは、窓の数から察するに3階建てで、周りの建物と比べてもちょっと大きいかあまり変わらない。しかし、横の広さは相当な物だ。建物の広さも相当だが、敷地の広さがバカ広い。先程咄嗟に学校を例に出したが、まんまそのまま学校だ。


「広いなぁ。冒険者ギルドはもっと狭いもんかと思ってたぜ。…にしてもこの広さ一体何に使うんだ?」


「ん?まぁうちの街は小さいけど冒険者は多いからな。それに他の街から冒険者が来ることもあるからでかけりゃでかいほどいいんだよ。」


「そういうもんか?」


「あぁ、っていうか狭いよりは全然使いやすいと思うけどな。」


 まぁ言いたいことはわかるが、コンパクトにまとめてくれてた方が便利なような気がしなくはない。使ったことないから分からんけど。


「まぁ取り敢えず入ろうぜ。こんなとこに突っ立ってても無駄だし。」


 アルディスにそう言われた俺たちは取り敢えずギルドの敷地に入る。

 ゲートを抜けた瞬間、何かとても懐かしさを感じた。その懐かしさはなんなのか、すぐそこまで出てきているが上手く言葉で表せない。


「…なんか、小学校の登校を思い出すわね。」


 聖奈がそう口に出した瞬間、俺の頭の中でピースがカチッとハマる音がした。


「それだ!」


「…ちょっと脅かさないでよ。リズちゃんもびっくりするじゃない。」


「あ、ご、ごめん。」


 ちょっと驚いたような表情をするリズの頭を、手を繋いでいる反対の手で優しく撫でてあげる。すると、リズの表情がほにゃっと和らいだ。


「あぁ、こんなこと昔あったなぁ。俺が登校班の班長で、聖奈が副班長。」


「そうそう。朝、私たち二人で揃って寝坊して班のみんなには先に行っててもらってて…。」


「いや、あれは俺がお前の家に迎えに行ったらまだ寝てて〜って話だったろ。」


 そう、確かその日は聖菜の両親が諸事情で家におらず、聖奈とお兄さんだけが家にいた。当時は、聖奈もお兄さんも朝に弱く、なかなか起きてこなかったらしい。俺は、ちゃんと起きて学校に行けるか心配した聖菜のお母さんに朝、二人の様子を見てほしいと頼まれた。だから、朝二人を迎えに行ったが案の定二人とも起きておらず俺と聖奈は遅刻、お兄さんは仮病で休みにした。


(うん。そんなストーリーもあったな。)


「う、そんな話だったような気が…しなくもないけど。……けどまぁ遅れたことによって、迷子の子を学校まで連れて行けたから良かったじゃない。私たちがいなかったらあの子、ずっとあそこにいたままだったかもよ?」


「まぁな。……いや、助けられたのは俺たちもなんだがな。」


「?どういうこと?」


「俺たちは家を出た時点で遅刻は確定していた。つまり、その日の宿題が倍になるのは確定していたんだ。でも登校中に、迷子の子を見つけて一緒に登校した事によって『ただの遅刻』から『迷子の子と一緒だったから〈仕方ない〉遅刻』になったわけだ。だろ?」


「確かに。」


「そう、迷子の子は無事学校に。俺たちは遅刻したが、迷子の子と一緒に登校した良い子に。ほらウィンウィンだろ?」


「本当ね、気がつかなかったわ。」


「ふ、俺のことは天才と呼んでくれ。」


「はぁ?……はぁ。」


 oh…反応が冷たいぜ。

 俺たちが昔話に花を咲かせているのをアルディスがニヤニヤしながら見ていた。そして、話が終わったタイミングで近づいてくる。


「お前達仲良いなぁ。」


「えぇ、そりゃ幼馴染ですから。」


「だな。付き合いが長いだけあって、面白い思い出話のレパートリーは多い。」


「ハハ、そうかよ。」


 そう言った次の瞬間、アルディスの顔が真面目になる。


「さて、ギルドの中に入るが、あんたらに二つほど注意しとく。まず一つ。不用意に冒険者の連中に目を合わすな。中には気が立ってる奴がいるかもしれねぇ。無駄な戦闘や、変な言いがかりをつけられたくなかったら極力目を合わせない方がいい。そして二つ目。これは…ハルと親父さんだけに言っとこう。こっち来てくれ。」


 俺と親父はアルディスの方へ行く。


「さっきは目を合わすと〜って話をしたが、目を合わせなくても変なことに巻き込まれる可能性は高い。特に初心者は他の冒険者からちょっかいを受けやすい、それに加えてこのパーティーには美少女達がいるんだ。十中八九いや、十中十トラブルになる。ギルド内は戦闘禁止だが、それもあってないようなもんだ。内で戦闘できないからと、外まで追っ掛けて戦闘をふっかけてくる奴もいる。…まぁ何が言いたいかと言えば、お前らが皆んなを守れよ。俺は弱いから力を貸せない。…もし、これで日和るようなら、悪いが冒険者には向いていないから他の事を勧める。」


 ……なんだそんなことか。いや、悪いが俺も親父も異世界テンプレは履修済みだ。それくらいのトラブルは予想できて当然。まぁ、具体的な解決方法があるわけではないが、俺の武、親父の知、そして異世界転移。この三つがあれば大抵のことは解決できる。と、言うわけで…。


「「そんなの、望むところだ!」」


 俺と親父の声が重なる。

 …まぁ、だよな。俺は親父と目を合わせ、腕をガチッと合わせる。うん。息ぴったり。流石似たもの親子ってとこだ。

 そんな俺たちをアルディスは、やれやれって表情で見て言う。


「まぁ、俺もサポートはするから安心してくれ。冒険者全員に顔が効くわけじゃないから信頼されすぎるのも困りもんだがな。」

 

「いや、そこまで頼りきるつもりは無ぇよ。」


「そうか…。じゃあ、入るぜ。」


 アルディスはそう言って、ギルド内に入っていった。

 俺はみんなのところに戻って、リズと手を繋ぎ直す。


 この小さな手、母親、妹、そして、先程思い出話をした幼馴染兼想い人。


 (俺が守らないとな)


 俺は覚悟を決めてアルディスの通った入り口に入っていった。


一旦、短めです。

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