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『O-286. 萩-マラトンの戦い劇(主役は小早川ミルティ)』  作者: 誘凪追々(いざなぎおいおい)
幕の四:O-286. 四年目の決戦
83/115

4-③ 鹿児島-スパルタよ!:その2(地図あり)


挿絵(By みてみん)


<O-286年><夏><肥後-アルカディア地方の人吉-テゲア市にて>

<アッティカ暦の第二月メタゲイトニオン(現代暦の8月頃)中旬>

<三人は、山口-アテナイを発って四日目に、鹿児島-スパルタ市のすぐ手前にある人吉-テゲア市に着いた。そして、鹿児島-スパルタ市への入国申請をしつつ、宿で返事を待っていた。するとそこへ、ゴルゴ姫(篤姫)からの使者がやって来た。>


    ゴルゴ姫からの使者

「ゴルゴ姫からの言伝にて候。『山口-アテナイ市から三人の将軍が参られたと聞く。わらわもこの町に泊まっておるゆえ、ぜひ会いたい。』との仰せで御座る。」



    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「おお、この冬以来じゃな、ミルティアデス殿、よくぞ参られた。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「その節はお世話になりました、ゴルゴ姫。お元気そうでなによりです。それにしても、人吉-テゲア市であなたと偶然出会うとは。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「うむ、わらわも国に居づらくての。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「そうですか・・・ゴルゴ姫、我々はあまり詳しい事情を知りませぬゆえ、不躾な問いになってしまうであろうことをお許し下され。驚くべきことに、あなたの父君・クレオメネス(島津斉彬)王が、国外へ逃亡されたとか。これは一体、どういう事態なのでありましょうや? 何が起っているのでありましょうや? お教えいただける範囲で構いませんので、話していただけないだろうか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、そうか、貴殿らの耳には、まだ詳しか情報は入っておらぬか。でもまぁ、そう気を使うてくれるな。つまるところ、謀略の隠蔽に失敗して、父上が失脚した、それだけの事たい。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「しかし、あの謀略は、そう簡単に証拠を突きつけられる類いのものでは無かったはず。なにしろ奈良-デルポイの神託を、買収したと疑うのは易しいが、それを証明するのはかなり難しいのであるから。にも関わらず、なにゆえ、このような短期間で、王が逃亡せねばならぬほどの事態に立ち至ってしまったのか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「・・・うむ、そうじゃの。わらわが思うに、レオテュキデス(黒田清隆)が、図に乗り過ぎたのが原因であろうな。

 父上と彼の者は、デマラトス(大久保利通)を失脚させる事に成功し、デマラトスの王位は廃され、レオテュキデスがその後を継ぎ、父上と並ぶもう一人の王になった。そして、デマラトスには、他の一般的な市民が務めるような普通の官職が与えられた。まぁ、ここまでは良かとして、そのデマラトスが夏の運動会で、これは『ギュムノパイディアイ』という若人が競う体育祭(盛夏の候、7月上旬頃)なのじゃが、これを観客席で見物しておった時、それを見かけたレオテュキデスが、おのが家来を彼の許にやって、『王を辞めた後、今のような官職に就くは、どげな気持ちで御座ろうか?』と、わざわざ嘲りの問いかけをし、公衆の面前で彼を辱めたのじゃ。

 これに我を忘るるほど怒ったデマラトスは、観客席ば抜け出して家に帰ると、すぐにおのが母親を呼び出した。そして、生け贄の血も滴る牛の臓腑をおのが母親の手にしかと握らせると、『神々に誓って、自分の本当の父親は、誰なのか、教えてくれんね!』と、強く問い詰めた。すると、デマラトスの母親はこう答えたそうじゃ。『前の夫と別れ、アリストン(島津斉興)王の家に迎えられてから三日目の夜、アリストン王にそっくりな者が寝屋に現れ、自分と枕ば交わした後、頭に花の冠ば被せてくれたと。次の日、アリストン王にその花の冠ば見せたけんが、全く身に覚えが無かち言わしゃる。そこでその花の冠ば調べると、それは内庭の入口に祀っとう、かの英雄廟に供えられていたものであったとよ。そうこうするうち、それから七つ月でデマラトスを産んだ。つまりお前は、かの英雄神の子か、さもなくばアリストン王の子であるかのどちらかであることは、神々に誓って間違い無かこつぞ。そいは偉か占い師も同意したし、これが真実の全てやけん、そげな邪な噂ば流すレオテュキデスやその他の者どもこそ、きつか神罰に当たって、ロバ飼いの子でも産むが良かったい!』と、そう罵ったのじゃ。

 かくして、おのが母親の言い訳じみた告白を聞いたデマラトスは、国ば捨てる覚悟を決め、どこぞへ去っていったというわけじゃ。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「それはつまり、デマラトスが十月十日を経たずに産まれたのは、つまりアリストン王の血を引いていないというのは、真実であったという訳ですか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「うむ、こん話しが一から十まで、本当であるならな。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「当のデマラトスは、この母親の言葉を全て信じたのですか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「判らぬ。いずれにせよ、デマラトスは路銀を整えると、『奈良-デルポイへお伺いに行く』とだけ言い残し、日向の延岡-エリスへと向かったのじゃ。それを知った鹿児島-スパルタ市は、彼の者に『国抜け(国外逃亡)』の疑いありとして、すぐさま追っ手を放った。デマラトスは、日向-エリス地方の沖に浮かぶ吐噶喇-ザキュントスなる島まではどうにか逃れたとばってんが、ここで追っ手が追いつき、彼の者の従者ば拉致することには成功した。しかしデマラトス本人は、吐噶喇-ザキュントス人たちが引き渡しば拒否したけん、追っ手の手からは危うく逃れ、その後は、この島から大陸アジアへ渡り、どうやらペルシャ人のもとに亡命したち噂なのじゃよ。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「鹿児島-スパルタの王を勤めたほどの者が、よりによってペルシャ人のもとへ亡命するのか・・・」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「まぁ、あくまで噂ぞ、真実は知らぬ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「ゴルゴ姫、急かして申し訳ないんだが、その辺りの話しまでは、俺らもある程度は知ってるんですよ。デマラトス王の国外逃亡事件は、一月も前の話しですからね。俺らがちょうど新年度の将軍なんかに就任してバタバタしてた頃の話しだ。それにデマラトスの国外逃亡に関しちゃあ、俺らにとっては、直接的な関係がない。俺らが知りたいのは、その後、どうして急に、あなたの父君・クレオメネス王が国外逃亡してしまわれたのかという点です。彼は俺らの総大将なんだ。迎え撃たなきゃならねぇペルシャ帝国の大軍が、もうすぐ目の前まで迫ってるっていう、この最悪の時にだ。俺らには全く理解できんのですよ。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、その粘り気のある物言い、相変わらずたいね、テミスなにがしよ。

 うむ、そうじゃの。そもそも一般の鹿児島-スパルタ人にとって、ペルシャ帝国軍が迫っておるのは、あくまでそなたら山口-アテナイや出雲の松江-エレトリアに対してであって、自分たちにであるとは考えておらんのじゃよ。国内問題のほうが、よほど優先事項なのじゃ。そして、デマラトスの派閥であった者、あるいは我が父君を良く思っておらぬ者どもにとっては、デマラトスをあのように惨めに落ちぶれさせたのは、さすがに腹に据えかねる行いだったのじゃ。

 そこで彼らは、調査隊ば奈良-デルポイへ送り例の神託ば徹底的に洗うことを提案し、長老会と民会で可決させた。かくして、我が父上が奈良-デルポイの神託ば買収したち称する証拠を、何者かから手に入れて来るやいなや、それを長老会や民会で暴露し、大いに騒ぎ立てたのじゃ。買収に関わったという奈良-デルポイの神官や巫女の実名を添えてな。たしか、コボン(岩倉具視)とペリクロス(堀河紀子)? じゃったかの。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「それは解せませんなあ。なんで、そいつが発覚しちまったんだろう? 共犯者の誰かが裏切ったとか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「さあな、そこまではこのわれわも知らぬ。父上かレオテュキデスの従僕あたりが裏切ったか、あるいはそなたらのあの家の連中が下らぬ事をしおったとか。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「え? それって、毛利アルクメオン家のことですか? いや、それはありえませんよ、だってこっちはポリスの存亡がかかってるんだから、こんな時にわざわざクレオメネス王を失脚させて、援軍が来れないようにする訳がない。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、そなたも存外、ウブかのお、テミスなにがしよ。仮に、我が鹿児島-スパルタ市の長老会なり監督官なりが、あの家の者に裏取引を持ちかけていたとしたらどうじゃ。例えば、我が父上を失脚させるのに協力すれば、援軍はそのまま確約する、しかし協力せぬのならば、王が健在であったとしても、議会で援軍派遣に強く反対ばする、などと脅した場合じゃ。

 我が父上は、あれらに危険視されておるからのお。ペルシャ軍相手に下手に大活躍でもされた日には、また好き放題に外征しまくられて敵わん、などとな。援軍を送るにしても、自分らの目の届くもとで動かすべきだ、とかな。まぁ、連中の考えそうな事ばい。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「・・・で、でもその裏取引が本当だとしたら、援軍は確約されてるって事になるのか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、やはり、存外ウブかのお、そなたは。約束なんぞはその時点での約束に過ぎぬ。状況が変われば約束が履行できぬ言い訳になるし、ましてや裏取引なんぞは少数の者しか知らぬ最も危うい約束じゃ。この世に『確約』などというものは存在せぬぞ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「そ、それは、いくらなんでも、言い過ぎなんじゃ。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「例えばじゃ、これは国家機密に触れるけん、あくまで例え話しなのだが、我が鹿児島-スパルタ市の頭痛の種、大隅-メッセニアの隷属民ヘイロイタイどもが、『近々反抗の動きば見せつつある』、という情報が届いたとする。それが本当ならば、援軍どころではなく、そなたらとの約束を違えても、『まず先に大隅-メッセニアへ出兵しべし』という動きになるであろう。我が父君がそれに反対するというならば、汚い謀略を使ってでも王を失脚させるかもしれぬ、という訳じゃ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「・・・もしかしてそれが、急に方針転換した本当の理由とか?・・・」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、もっとも、あれらの謀略であるという証拠は全く無かけん、こいはあくまで、わらわの戯れ言に過ぎぬがな。

 さて、話しば戻そうか。そう、神託買収の証拠ば持ち帰ったち称する調査団が大いに騒いだおかげで、このまま裁判が行われれば、ほぼ確実に我が父上が有罪になるであろう事態となった。事ここに至りては、さすがの我が父君もいかんともしがたく、デマラトスと同じく、国抜けする道を選んだという訳じゃ。この最愛の娘・ゴルゴ姫も放り出してな、カッカッカッ・・・」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「やれやれ、なんたる事だ。不運にも程があるぞ・・・。

 ゴルゴ姫、それで、当のクレオメネス王は今、どこに居られるのです?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「はてさて、どうじゃろうのう。追っ手が手を出せぬところとなると、限られては来るが、潜伏先がバレれば我が父上の身が危うくなるゆえ、仮にこのわらわが知っていたしても、そなたらに教える訳にはいかぬであろうがの。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「そうですか。・・・」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「あっ、もしかして、あの王さまもペルシャ帝国に亡命しちまったんじゃないでしょうねえ?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「そこの腹の緩んだ男! 大概な物言いは許すばってん、我が父上ば侮辱するは許さんぞ!」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「そうだぞ、テミストクレス、言葉を慎め!

 ゴルゴ姫よ失礼いたした。その通りです、クレオメネス王に限って、そのような事はあるはずが無い。我が輩も請け負いましょう。王はきっと、盟友クセニア関係の有力者が各地に大勢居られたゆえ、そのいずれかにでも潜まれておられるに違いない。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「その通りじゃ、ミルティアデス殿。あの父君であるからな、あちこちから兵士ばかき集め、鹿児島-スパルタ市を攻め取る算段なのやもしれんばい? カッカッカッ」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「ハハハハ、確かに、かの王ならやりかねませんな!」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「いやいや、お二人とも、笑い事じゃ無いですぜ? そんな荒唐無稽なことがあり得たとしても、いずれにせよ、そんな境遇に陥った王が、すぐに帰国して、元のように鹿児島-スパルタ王に戻り、こっちに援軍にかけつけてくれる、なんていう都合の良い話しは、少なくとも近いうちには絶対あり得ない、って事でしょ? あ~あ~、もう何もかもお仕舞いだぜ、ちくしょー!」

    十組の将軍-アリステイデス(児玉源太郎)

「テミストクレスよ、これから是が非でも援軍要請に成功せねばならん我々が諦めてどうする? それに、クレオメネス王が居なくなったとはいえ、他の鹿児島-スパルタ市民が皆、援軍に反対という訳でもなかろう。とにかく、可能性があるかぎり、なんとしてでも解決策を見い出すのだ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「はぁ~、はいはい、だったら、糸口ぐらいはお前が示せよ!」

    十組の将軍-アリステイデス(児玉源太郎)

「・・・、ゴルゴ姫よ、クレオメネス王が国外へ去られて、その空いた王位はどうなるのでしょうか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「うむ、次の王はまだ決めておらぬようじゃ。」

    十組の将軍-アリステイデス(児玉源太郎)

「そうですか。それで例えば、王位が一つ空席のまま、王も一員であるはずの『長老会』などは、まともに運営できるのでしょうか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「うむ、そうじゃのう。それについては、どうやら我が父上の腹違いの弟・レオニダス(西郷隆盛)殿が、しばらく王の代役ば勤めるらしかな。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「レオニダス殿! おお、そいつは一筋の明かりじゃないですか! 彼は我々の同志ですからね。長老会でもきっと、有利な発言をしてくれるはずだ。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、腹の緩んだ男よ、そうは期待せぬが良かぞ。我が叔父御殿はあくまで代理の王に過ぎぬし、デマラトスに続いて、我が父上もかような不祥事を起こした後ではの、王族の発言権は、著しく弱まっておる。きっと、厳しく監視されておってな、そなたらのような外人と気安く会う事もままならんだろうて。そしてもう一人の王、レオテュキデス(黒田清隆)もな、今回の買収事件に全く無関係とは思われぬであろうし、それを抜きにしても、彼はまだ半年そこらの新米の王じゃからな。おまけに軟弱ときておる。ゆえに、王族の力ば使うて、長老たちや監督官どもの意向を覆すんは、まず無理だと知れ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「だったら、どうすりゃ良いっていうんですか? 俺らは、『援軍の確約を得て、すぐに帰って来い』って言われてるんですぜ? 誇張なんかじゃなくって、本当に敵がすぐそこまで来てるんだ!」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカッ、どうせ、我が父上が率いぬ鹿児島-スパルタ軍なぞ、大した事は出来ぬのじゃ。そんなものに期待せず、そなたらだけで腹ばくくって戦うが良かとぞ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「そんな殺生な。こっちは頑丈な命綱がついてるからってんで、崖から荒海にでも飛び込んでやろうってな気になったってのに、その命綱くんが『やっぱり休業しました』って急に言われたって、もう半分飛び出しちまってるんですぜ?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「カッカッカ、テミスなにがしよ、ちと弱気になり過ぎばい。鹿児島-スパルタ市は、『援軍に赴くことは絶対に無い』と明言している訳でもなかろうて。そなたらの交渉如何によっては、命綱はまだ繋がっておるやもしれぬぞ。」

    四組の将軍-テミストクレス(高杉晋作)

「だったら、ゴルゴ姫も俺らと一緒に行って下さいよ。そんで連中に、『ビビってんじゃねーよ』って、『男ならペルシャ軍と戦いやがれ』って、発破かけて下さいよ。お姫さんなら、そんぐらいの発言力あるんじゃないんですか?」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「・・・、テミスなにがしよ、そなたとの下らん話しは終いじゃ。

 ミルティアデス殿、実を言うと、わらわがここにおるのは、我が父上からの内々の言伝を、貴殿に伝えるためじゃ。国では自由に会わせてもらえぬだろうからな。二人きりで話しがしたい。」



    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「ミルティアデス殿、このたびはとんだ迷惑ばかけてすまなんだ。ばってん、口惜しいと言えば、我が父上ほど悔しか思いばしておられる方も他におるまい。ゆえにどうか許してほしいのだ。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「ええ、それはもちろん。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「我が父上は、大勢の兵士ば率いて異国の軍と戦うを、毎晩の夢枕に見るほど楽しみにしておられた。それが直前になってこの有様じゃ。わらわも悔しくてたまらんぞ。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「ええ、まったく。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「これは他言無用ばってん、国抜けした父上は、『加賀-テッサリアに向う』ちおっしゃられていた。ゆえに今ごろは、彼の地で匿われておられることであろう。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「おお、やはり、そうでしたか。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「ばってん父上は、『このままで終らす気は無か』ちおっしゃっていた。『我をこげな目にあわせた奴らば悉く後悔させてやる、そのためには形振り構わん』と。機を見て、九州-ペロポネソスに舞い戻り、『鹿児島-スパルタ市の傘下にあって独立したがっておる者共ば煽るも善か、大隅-メッセニアの隷属民ヘイロタイどもの反乱ば後押しするも善か。とにかくポリスの根底からぶっ壊し、監督官どもも長老どもも、民族の敵として裁いてくれる』ち、そう申しておられた。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「それは、いささか・・・」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「いささか常軌ば逸しておるち言うか? うむ、ばってん父上は『異国の軍が居る間は、そのような騒ぎは決して起こさぬ』ともおっしゃっていた。今からどう頑張ってみても、異国軍との戦いには間に合わぬであろうからな。しかもそれが原因で異国軍に敗れたちあっては、本末転倒やけんの。

 そこでじゃ、ミルティアデス殿。我が父上は貴殿に大いに期待しておる。我が父上無き跡の鹿児島-スパルタ軍を、上手く率いる器はおらぬし、ややもすれば異国の大軍と戦うを避けようちするかもしれぬ。ならば、貴殿がその役目を勤めるしか無かろうという訳じゃ。そして父上としては、『異国軍が去るまでは自分は決して動かぬ所存であるから、早く貴殿らが異国軍を退けてもらわねば困る』、とな。」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「それは、いささか・・・」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「いささか身勝手な都合ち言うか? うむ、たしかに身勝手ばい。ばってんが、ミルティアデス殿、わらわは貴殿が羨ましかぞ! この上なく妬ましかぞ! わらわはなにゆえ父上の娘として産まれてしまったとか? わらわが息子であったなら、今頃は父上の跡ば継いで、王になれておったであろう。さすれば、このわらわが鹿児島-スパルタ軍ば率い、九州-ペロポネソス同盟の諸市からの軍勢も率い、長州-アッティカまで勇ましく出陣できたのじゃ。そこで異国の大軍ば迎え撃ち、数百年、いや数千年後の子孫たちにも語り継がれるであろう不朽の武勲ば建てられたかもしれんのじゃ。

 しかし、わらわは女ゆえ、なにも、誰も、動かせぬのじゃ、なにも・・・ううっ(涙)」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「ゴルゴ姫・・・」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「・・・くっ、このわらわが他人にかような醜態ばさらすとは。

 ミルティアデス殿よ! わらわのかような姿ば見たからには、責任とってもらわねばならぬ! 貴殿も真の男であるとなら、我が父上に代り、見事異国の軍を退け、女どもば安心させんね! わらわや父上の分まで、至上の武勲ばたててみせんね!」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「・・・、承知しました。我が友とあなたに誓って、このミルティアデス、たとえ貴市からの援軍が無くとも、必ずや異国軍に勝利いたしましょう。」

    スパルタ王女-ゴルゴ姫(篤姫)

「うむ、その言葉、武者が良か!」




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