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『O-286. 萩-マラトンの戦い劇(主役は小早川ミルティ)』  作者: 誘凪追々(いざなぎおいおい)
幕の四:O-286. 四年目の決戦
73/115

4-① 野外劇場と同期の絆:その5


<続き><O-285年><春><訓練兵の駐屯地、国境近くの砦にて>


    市民兵たち

「「「いやー、ミルティアデスよ、噂通り、君のお手並みは凄かった。訓練兵たちも、実によく鍛え上げられているな。」」」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「ありがとう。それでは?」

    市民兵たち

「「「ああ、訓練兵たちの卒業を、一月ばかし早める事を、将軍たちの権限で民会に提案しよう。異民族の大軍がすぐそこまで迫って来ている非常事態ゆえ、これは特例として可決されるだろう。」」」

    主役-ミルティアデス(小早川隆景)

「おお、それは良かった。これで、異民族との戦いに、こいつらもギリギリ間に合いそうだ。」



    次男-キモン(小早川秀包)

「みんな、良かったな! これで僕らもいっぱしの兵士として、あのペルシャ軍と戦えるんだ!」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「うむ、楽しみで仕方無い。腕が鳴る。」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「こっちの二人は、そうでも無いみたいだけどね?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「なに言ってやがる! ペルシャ人なんて、マジでボッコボコにしてやんよ!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「そうそう、あいつら、脳筋で、頭悪そうだしな! 罠に嵌めて、ギャフンだ!」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「君らの発言も、すごく馬鹿っぽいけどね。」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「うるせぇな、馬鹿っぽいとかどうでも良いんだよ! とにかく、これでようやくこのしみったれた訓練兵生活ともおさらばだぜ!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「それそれ! オイラはよぉ、家に帰ったら、好きなだけ、フカフカの布団で寝過ごしてやる!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「お、良いねー! 俺は家に帰ったら、何するかな? そうだ、あれだ。やっぱ、親孝行だな!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「嘘つけ! そんな玉かよ? レオボテスはどうせ、女のとこでも行くつもりだろ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「よせやい! せっかく兵舎暮らしで、男に目覚めたってのに。」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「嘘をつきやがれ! お前さんにそんな高尚な趣味があるわけねぇ!?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「おいおい、人の性癖を勝手に決めつけんじゃねぇーよ。おめぇなんかに俺の何が解るってんだよ、まったく。

 でも、そういや、キモンとこの姉ちゃんは、けっこう可愛かったな。でも、たしか、エルピニケのお姫さんも、もう適齢期だろ? そろそろ結婚しないのか?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「なんだよ、突然?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「別にいいだろ? ちょっとした好奇心だぜ。」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「あのねぇ~、キモン君のお姉さんを、嫌らしい目で見るのは駄目だからね!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「ちげぇよ! そんなんじゃねぇよ! せっかくだから、卒業後はキモンの家にでも遊びに行ってやろうかってな話しだ。そいでそのついでに、暇を持て余してるお姫さんのご機嫌でも伺おうかと思ってな。」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「なんで、エルピニケさんが暇だって決めつけるんだよ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「そらぁ、良家のお嬢なんて、女部屋で機織りやってるか、くだらねぇ噂話しでも咲かせてるかの二択だって、だいたい相場が決まってんだろ? っていうか、さっきからおめぇはいいんだよ、腰巾着。俺はキモンに聞いてんだからよ。なぁ、キモン?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「もうっ!」

    次男-キモン(小早川秀包)

「う~ん、それが姉さんはまだ婚約もしてないんだ。」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「それおかしくねぇか? だって、おめぇより年上だから、もう二十歳過ぎてんだろ? 相手すら決まってねぇとか、さすがに遅くねえか?」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「うむ、小早川ピライオス家のお嬢なら、引き手数多だろうにな。」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「つまり、あれか? なんか、人に言えない癖を持ってるとかか?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「癖? マジか! 例えば胸とかちっちゃ過ぎて、脱がされそうんなると誰かれ構わず殴っちまうとかか?」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「そうそう、あるいはすげー男嫌いで、男に触られると、所構わず漏らしちまうとか?」

    次男-キモン(小早川秀包)

「いやいやいやいや、そんなんじゃないよ! そんな癖とかないよ、普通だよ、うちの姉さんは!

 でも、なんだろ? 父さんが手放したくないのかな・・・。」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「わかった! そんなら、結婚持参金を払いたくないってんだな、おめぇんとこの親父、意外とケチだな?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「おいおい、なに勝手なこと言ってんだよ!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「そういや、春祭りの悲劇ん時、罰金とか払ってたものな。千ドラクマ(千万円ぐらい)だっけか?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「おいおい、マグネス、腐っても小早川ピライオス家だぜ? 庶民と一緒にするんじゃねぇよ、そんなの端金程度だぜ?」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「へー、そんなもんなのか?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「そんなもんだ。」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「だったら、弾劾裁判ん時の悪評が、まだ尾を引いているとかか?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「なるほど、名家ほど、そういうの気にしそうだもんな。『お宅のお嬢さんには罪は無いんだが、残念ながらこの話しは無かったことに』、ってやつか。」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「おぬしら、人んちの詮索は、その辺にしておけ。キモンが嫌な顔をしている。」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「なら、キモンはどう思ってんだよ? 女の結婚適齢期っていやぁ、普通十代後半だぜ? 早けりゃ十三四ってのも居る。さすがに二十歳を超えてんのは、おかしくねぇか?」

    次男-キモン(小早川秀包)

「・・・別に良いんだよ、姉さんは無理に結婚しなくても。そう、ずっと家に居れば良いんだ。

 姉さんは本当に優しくて、弟を誰よりも大切にしてくれる。二人が子供の頃、弟はボーッとしていて、馬とか弓矢とか全然上手に出来なかった。幼なじみのエウティッポスにも大差で負けるぐらいに。だから父さんも母さんも呆れて、弟は者にならないって匙を投げた。けど姉さんだけは、弟を毎日連れ出して馬や弓矢の訓練に付き合ってくれた。嵐の日も、大雪の日も、欠かさずに。弟が泣こうが、怪我しようが、構わずに。そうして数年がかりでようやく、弟も人並みに出来るようになり、親に捨てられるかもしれないという最悪の悪夢から解放された。だから弟にとって姉さんは、姉さんである以上に、先生であり師匠であり命の恩人でさえあった。それ以来、弟は姉さんが幸せな一生を過ごせるように支えることを、人生の最大の目的にすることを決めましたとさ、ってね。」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「うんうん、キモン君とエルピニケお嬢さん、なんて良い話しだろう、グスっグスっ(涙)」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「はは~ん、なるほど、そういう事ね? おめぇら姉弟のくせして、やたらと仲良さげだったものな。たしかに、姉ちゃんがあんだけ可愛くて、あんだけ優しけりゃ、そりゃ、そうなるわな~。一線こえちまうのも無理はねぇか~。」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「おいおい、どういう事だよ、キモン! そういうのは良く無いぞ?」

    次男-キモン(小早川秀包)

「何がだよ! 姉さんと仲良くて、何がおかしいんだよ! 普通だろ? たった一人きりの姉弟なんだから。」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「ああ、悪かねーよ、仲が良いのは良いことだ。仲が良過ぎて、実の姉を愛人にしちまうなんて、さすがは貴族の御曹司さまだ。」

    次男-キモン(小早川秀包)

「愛人? くっ、レオボテスっ! 剣を抜けっ! 果たし合いだっ!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「おいおい、やべぇ! キモンが本気で切れたぞ!」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「そんなの当たり前だろ! 僕もキモン君に加勢する! 阿呆のレオボテスをやっつけてやる!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「おいおい、ついでにエウティッポスの野郎も切れたぞ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「おうおう、良い度胸してんじゃねぇかよ!? 腰巾着は大したことねぇが、二人がかりでやろうってんなら、こっちはヘルモリュコス、おめぇが加勢しろ!」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「レオボテス、もう好い加減にしろ! キモンがこんな怒るの、初めて見るぞ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「知らねぇよ! なんでこいつはこんな怒ってんだよ!?」

    次男-キモン(小早川秀包)

「クッ、だったらその体に、直に解らせてやる!(バキッ!)」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「痛ぇ! おいキモン、本気で殴りやがったな!?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「そうだよ、思い知れ! この口だけ野郎!(バチっ!)」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「痛、いやあんま痛くねぇけど! おめぇは関係ねぇだろ? ぶっ殺すぞ!?」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「おーおー、やったれレオボテス!」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「マグネス! おぬしは止めるのを手伝え!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「やなこった! これは祭りだ、祭りだ、喧嘩祭りだ! 卒業の前祝いだぜ! やっちまえよ、レオボテス!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「うるせぇよ、マグネス! おめぇもついでだ!(バキッ!)」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「痛ぇ! 何すんだよ、レオボテス! オイラは味方じゃねぇのかよ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「祭りってんなら、無礼講なんだろ? だったら恨みっこ無しだぜ! 日頃の分もやっといてやる!(バチッ!)」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「あったまきた、この野郎! お前のほうこそ、いけ好かねぇとずっと思ってたんだ! くらえ!(スカッ)ってアレ?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「おめぇの拳なんぞ、当たる訳ねぇだろ! 腰巾着とでも仲良くじゃれてろ! がっ、って痛ぇ!」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「いい加減、その『腰巾着』っての、止めてくんないかなぁ!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「だったら、たまにはキモンから離れろよ! おめぇが居ると、キモンになかなか友達が出来ねぇんだよ!?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「はぁ!? 僕は奥方から仰せつかってるんだよ! キモン君に『悪い虫』がつかないようにってね!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「誰の事だよ、『悪い虫』って?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「君らの事に決まってるだろ!?」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「へっ、おい、マグネス、ヘルモリュコス、おめぇら、散々な言われようだな? 『悪い虫』だってよ!」

    青年c-マグネス(路阿弥)

「マジかよ? レオボテスは『悪い虫』で間違いねぇけどよ、オイラとヘルモリュコスは、違うだろ? どっちかってぇと、『良い虫』だぜ? なぁ、ヘルモリュコス?」

    青年b-ヘルモリュコス(魁傑)

「うむ。おぬしら二人はともかく、このヘルモリュコスが『悪い虫』とは心外である。どうやら自分も、参戦する必要があるようだな。(ポキポキ、コキコキ)」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「えっ、あ、いや、君は『悪い虫』じゃないから! あの二人のことだから!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「アッハハハハ、こいつは傑作だ! あのなぁ、腰巾着よ、ガキってのは過保護に育てちまうと、かえってひ弱になるもんだぜ? むしろ手荒に扱ったほうが、頑丈に育つってもんさ。つまり、キモンの事を本当に考えてんなら、むしろ俺のような『悪い虫』こそ、逆に近づけるべきなんだよ。おめぇも『腰巾着』を名乗るんなら、それぐらいわきまえとけ!」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「べ、別にそんなの名乗ってないからっ! っていうか君も、キモン君の友達になりたいなら、素直にそう言えばいいんだ! 『僕と友達になって下さい』って!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「ばっ、馬鹿野郎! 友達ってのは、自然にそうなるもんだ! 恋人じゃねぇんだから、宣言とか告白とかいらねぇんだよ! まぁ、でも、キモンがどうしても友達になりたいってんなら、俺としてはなってやらんことも無いがな?」

    幼なじみ-エウティッポス(白井景俊)

「それは残念でしたー! 君はキモン君のお姉さんを辱めたから、もう二度とそんな幸運は訪れないだろうよー!」

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「えっ? でもあの程度の冗談、大した事ないだろ? なぁ、キモン、そうだよな?」

    次男-キモン(小早川秀包)

「レオボテスだけは、ぶっ殺す!!」 

    青年a-レオボテス(毛利秀就)

「あるぇ~? もしかして俺、やっちまった?・・・」



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