2-② 各派閥の親睦会と思惑:その1
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<O-283年><初夏><山口-アテナイ市の郊外墓地にて>
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「我らが毛利アルクメオン家に属する方々、毎年恒例の墓参りにお出でいただき、まことにご足労でありました。皆さんの日頃の心がけがよろしいせいか、はたまたご先祖さまの御威光によるものか、とても晴れやかな天気に恵まれ、まことに喜ばしいかぎりでございます。なお本日は、我が父・ヒッポクラテス(毛利隆元)が体調を崩しておりますゆえ、わたくしメガクレスが代わりに代表としての挨拶をさせていただいております。いまだ三十代になって間もない若輩者ですが、父の世代の方々は、その兄クレイステネス(毛利元就)のご隠居様も含めて、何かと病がちになっておりますことゆえ、我々の世代も若い事を言い訳にせず、どんどん前に出なければならないと思っておるところです。」
参加者たち
「「「おお、メガクレスよ、あんたには期待しとるよ!」」」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「ありがとうございます。ですが、わたくしだけが突出するわけにはいきません、皆さんと共に前へ進んで参りましょう。」
参加者たち
「「「ワー! パチパチパチパチ!」」」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「さて、山口-アテナイの城門すぐ外にありますこの墓地は、数多の石碑や石像と、豊かな緑や川の水とが調和してまことに爽やかで麗しく、今は亡きご先祖の方々も、快くお休みいただいているのではないかと、左様に思うところであります。そのおかげもあってか、ご先祖様の余徳を賜りまして、我らが毛利アルクメオン家、およそ七百家族が、ここ山口-アテナイ市において、平穏無事に暮らせております。まことに目出たいことで御座います。
また、今から十数年前、ご隠居様たちが苦心して改革されたこの市の民主制も、今日に至るまで破綻する事無く順調に運営が続けられ、市民たちの生活に安定と幸福と自由をもたらしてくれております。とはいえ、少しでも気を緩めればまたペイシストラトス(大内義興)のような独裁者が現れ、元の木阿弥にしてしまいかねません。それゆえ今後も、我々が中心となって大いに励み、山口-アテナイ市の大黒柱としてその民主制をしっかり支えられるよう、弛む事なく共に精進してまいりましょうぞ!」
参加者たち
「「「ワー! パチパチパチパチ!」」」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「さあ、ご先祖さまへの弔いの儀も終わりましたゆえ、あとは皆さんごゆるりと自由に歓談などし、さらなる親睦を深めましょうぞ!」
参加者たち
「「「ワー! パチパチパチパチ!」」」
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青年a-レオボテス(毛利秀就)
「なぁ親父さん、あの人まだ三十歳ちょいだろう? 凄いやね、もうすっかり毛利アルクメオン家の頭だ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「メガクレス(毛利輝元)は、豪腕だからな。それに、本家筋の中では最も弁が立つ。まあ、彼が妥当だろう。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「ずいぶん評価されてんだな。で、親父さんは、どうなんだい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「私か? まあ、うちは分家筋だからな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「まるで、うちが本家筋だったら、頭になれたかのような口ぶりだ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「いやまあ、そりゃたしかに私程度だったら無理かもしれんが、だけどなレオボテス、たとえ分家筋でも、力量さえ認められればな、首脳陣に加えてもらう事は出来るんだぞ? そうすれば、例えばだ、毛利アルクメオン家の内密の相談事にも預かれる。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「それって、ご隠居様の別荘で不定期に開かれるとかいう、例の秘密会議ってやつ?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そうだ。私も詳しくは知らんが、クレイステネス(毛利元就)様が、色々意見を仰られるらしいぞ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「あのご隠居さん、もう七十歳を越えてるんでしょ? もうそろそろ惚けて来てる頃合いじゃあないのかい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「やい、レオボテス! そういう不注意な軽口は止めておけ! 仮にだ、あの方が惚けたとしてもだ、少なくとも私やお前なんかよりはな、よっぽど賢い意見を述べられるぞ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「へー、そーんなもんですかねぇ?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そーんなもんだ。あの人の『偉大な改革者』ってぇ二つ名は、伊達じゃ無いんだぞ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「そんならさ、もっと表に出て来てさ、公の場でも意見とか述べられたら良いのに。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「それだよ、そこが、あの方の偉いところだ。あの方はな、市の民主制改革のための様々な提案を民会で通した。十部族制や、五百人評議会の新設なんかがそれだ。しかしだ、それらのめぼしい提案が一通り実現すると、自らは潔く身を引いてだな、その後の運営を全て他の市民たちに委ねたんだ。あの人の抜群の名声であればな、その後もずっと政治を主導できる立場に居続けられたであろうに、だ。つまりな、反独裁の立場を身を以て示した、って訳さ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「なるほどねぇ。これぞ一流の振る舞い、ってぇやつですかい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「あのなぁ、お前も他人事じゃ無いんだぞ? そんなご隠居さまに代わってだ、山口-アテナイ市が独裁制に傾かないよう、しかと監視・監督するのが、我々毛利アルクメオン家一族の役割という事だ。ご隠居さまには子が無かったこともあって、今は弟のヒッポクラテス(毛利隆元)、もしくは甥のメガクレス(毛利輝元)が、表に出る際の顔役を担ってる。我々はそれを手助けして、きっちり力添えしなきゃならん、そういうこった。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「なるほどねぇ。あっ、噂をすればなんとやら」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ん?」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「おお、これはこれは、アルクマイオン君ではないか! 隣りの君はレオボテス君だったな?」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「こんにちわ、メガクレス(毛利輝元)さん。アルクマイオン(毛利秀元)の息子・レオボテス(毛利秀就)です。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「そうかそうか、元気そうで何よりだ。君は何歳になるのかね?」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「はい、もう十八歳になります。この夏から訓練兵です。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「おお、そいつはめでたいじゃないか! 君のような若者がどんどん育って、山口-アテナイ市と毛利アルクメオン家をしっかり支えて欲しい。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「はい、ご期待に添えるよう、せいぜい頑張ります。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「うむ、そうかそうか、ならばお祝いに何か贈らせていただこうじゃないか。何か入り用なものはあるかい、アルクマイオン君?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「い、いえいえ、そんな、もう、お気持ちだけで充分ありがたいんで。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「いやいや、そういう訳にもいかんでしょう。遠慮なく言ってくれたまえ。そうだ、剣などはどうだろう? 訓練兵でも使うしな。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「たしかに、それはありがたいですが、」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「うむ、じゃあ決まりだな! レオボテス君、楽しみにしといてくれたまえ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「どうもありがとうございます、メガクレスさん。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「うむうむ。ところで、アルクマイオン君、君はこないだの、あのミルティアデス(小早川隆景)の提案について、どのように思っているだろうか?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ミ、ミルティアデスの提案? い、いやー、あれは誠にけしからんと思いましたな。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「ほうほう、どうけしからんと思われるのか?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「それは、あんな事をしては、あーなって、こちらは、こうなって、きっとどうしようも無いでしょうからな。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「あんな事?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ええ、あんな事は、あーするから良いのであって、こんな事してしまっては本末転倒も良いところ、おそらくどうにもならないと言えそうに思えてならないこともない。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「うーむ、なるほどなるほど、そうですか。たしかに、そう言われてみればそう言えそうにも思えますな。まー、あなたも色々考えておられるようだ。その調子で、今後も毛利アルクメオン家の一員として、力を貸して欲しいと思っています。期待しておりますぞ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「は、はい。お任せを。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「それでは、私はそろそろあちらへ行かねばならないので。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「え、ええ。お元気で。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「おー、我が従兄弟エウリュプトモス(毛利幸松丸)よ! こないだの会議では有意義な意見を述べてくれていたな! こちらも負けてらんないな、今後も共に頑張って参ろうぞ!」
その従兄弟-エウリュプトレモス(毛利幸松丸)
「ああ、メガクレス、ご隠居様にはとうてい敵わんが、そろそろ世代交代だしな。」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「そういう事だな。そして、イソディケ(桂姫)ちゃんも、ずいぶん大きくなったなあ!」
少女-イソディケ(桂姫)
「わー、叔父さまー!」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「おー、可愛いな、こっちにおいで!」
その従兄弟-エウリュプトレモス(毛利幸松丸)
「イソディケ、わたしはもう八才になるんだよねー? ほら、メガクレス叔父さんに、コンニチワーって?」
少女-イソディケ(桂姫)
「メガクレス叔父さん、コンニチワー!」
有力市民-メガクレス(毛利輝元)
「ハハハ、イソディケちゃん、コンニチワー! 良い子だね、ほーら、高い高ーい!」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「フー、相変わらず、圧が強いな、メガクレスは。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「親父さん、ホッとしてるとこ申し訳ないんだが、あなたは今、首脳陣に誘われる絶好の機会を逃しちまったような気がするのですが、これは気のせいでしょうか?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「息子よ、お前もそう思ったか? ・・・い、いや、そんなことは無い。ただの気のせいだ。気にするな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「そうかい? なんか、顔色が悪ぃように見えるけど、大丈夫か?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そ、そうか? 青いか? たぶん大丈夫ではあるのだが、だが、どこかに木陰でもあると良いかもしれんな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「そんなら、あすこが良い。ちょうど人も居ないし、あっ、」
少女-イソディケ(桂姫)
「レオボテスお兄ちゃん、コンニチワ!」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「おー、イソっち、久しぶり! あれ? その髪型可愛いじゃん、すんげぇ似合ってるぜ。」
少女-イソディケ(桂姫)
「わー、ありがと! やっぱりお兄ちゃんは優しいね。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「だろう? おかげで女にはモテモテなんだぜ、お兄ちゃん。」
少女-イソディケ(桂姫)
「えー! うわきは嫌だよ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「すまねー、モテる男に惚れた女の弱みだ。堪えてくれ。」
少女-イソディケ(桂姫)
「もう、さすがレオボテスお兄ちゃん。でも、イソディケを捨てないで。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「さーて、そいつは約束できねえなぁ。」
少女-イソディケ(桂姫)
「えー! なんでー!?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ちょっと待ちなさい、イソディケちゃん! 君はまだ八歳そこらだとはいえ、そろそろ男を見る目を養ったほうが良いな。将来、泣きを見たく無ければね。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「いやいや、親父さんさー、子供の言う事なんざ真に受けちゃいけませんぜ? 特にこの年頃の娘なんざぁ、日ごと月ごとに好きな男も替わるもんでしょうに。」
少女-イソディケ(桂姫)
「えー、イソディケはひとすじだよ! いままでお兄ちゃんしか好きになった事ないし。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「おー、そうかそうか! うんうん、ありがと、ありがとな。イソっちは、本当に可愛いな。よしよし。」
少女-イソディケ(桂姫)
「もう、すぐそうやってはぐらかすんだから、知らない! じゃあね。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「おう、元気でやんなな、イソディケっち! ・・・フー、ずいぶん可愛く育ったもんな、あの子は。ありゃあ、子育ての成功例だ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「なにが、成功例だ。いいか、レオボテス? あの娘に手ぇ出しては駄目だからな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「解ってるよ! ていうかまだ八歳だろ? 手を出すも何も」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「イソディケちゃんは、本家筋(メガクレスの従兄弟)の娘だからな。当然しかるべき相手に見合いさせる事んなる。それを傷物にでもしちゃー、本気でぶっ殺されるからな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「はいはい、政略結婚って奴ね? うちとは無縁の貴族さまの風習だ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そんなことは無いぞ、レオボテス。うちだって、それなりの家柄だ。お前にだって、うちに見合うような家柄の娘さんを見繕ってだ、きっちり見合いさせてやるからな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「見合いねえ。だったらせめて、あのイソディケちゃんよりかわいい娘さんを期待したいものですなぁ。つーか、まだ十年以上も先の話しでしょうよ?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「まあ、とにかく楽しみにしてろってこった。それまでせいぜい、男を磨くことだな。でなきゃ、せっかく器量良しの娘さんを捕まえてもだ、向こうが断ったら、終いだからな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「はいはい、もう、この話しはいいよ。終いだ、終い。それより、さっきから気になってんだけど、親父さん、あの小川のほとりの木陰で休んでるの、あれ誰か知ってるかい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ん、あれか? うむ、あれはクサンティッポス(桂小五郎)だな。お前も知ってるだろ? あのメガクレスの妹婿って奴だ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「そう、アガリステ(津和野局)の夫だ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そういやぁお前、その娘に惚れてたんだったっけか?」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「なっ、知らねぇよ! あんな凶暴な女! そもそも年上だし、本家のお嬢さんだし、はなから釣り合わず、でしょうよ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「ふふふ、よく解ってんでじゃないか。そうだな、あの二人が結婚したのは、今から三年ほど前のことだから、他家のクサンティッポスが我が毛利アルクメオン家に入ってからは、まだ間もないのだがな、あの男はとにかく弁が立つ。だからな、メガクレス(毛利輝元)たち本家筋からも、かなり重宝がられてんだよ。ご隠居さまの秘密会議にも呼ばれてるって話しだ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「けっ! つまるところ、口だけの奴、ってぇ事かい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そうは言って無いぞ。まぁ、そうじゃ無いんだが、とにかくここ山口-アテナイ市はな、民主制の市だろ? ということはだ、評議会や民会で、人々の意見を主導する力、つまり弁論の力を持つ者こそが、権力に最も近しい男だと言える、ってこったな。残念なことに、戦場で目立つ男よりも、な。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「その割には、みんな体を鍛えて、武器の扱いに余念がねぇ。それって、戦場で役立たずの意見なんて、誰も耳を傾けないからじゃないのかい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「もちろん、それは最低限の義務だからな、市民としての。たしかに、戦場で怖じ気づいて下手こいた奴は、民会なんかでも軽んじられる。でもな、会議はしょっちゅうあるが、戦いはごくたまにしか無いんだ。つまり活躍する場は、弁舌のほうがはるかに多いってことだ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「そういや、こないだの春祭りで、プリュニコス(観阿弥)の劇に難癖つけて罰金刑にまで持ち込んだの、あれ、あの男の演説だったよな? 弁舌の力だけで、あのミルティアデス(小早川隆景)をあっさり打ち負かしちまった。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そういう事だ、レオボテス。あれは実は、メガクレス(毛利輝元)からの指示だったという話しでな、つまり余所からやって来たミルティアデス(小早川隆景)がやたら目立つのは、毛利アルクメオン家の側としては、面白く無い。しかしだ、ああいうみんなが楽しんでる劇とかでな、頭のヒッポクラテス(毛利隆元)やメガクレス(毛利輝元)の辺りが先頭切って非難すんのは、世間体上よろしく無い。やれ名門貴族の専横だの、やれ金持ちの我が儘だの、とかく大衆からの嫉妬を受けやすい立場だからな。それに、実際のところ、あの人らも大衆向けの弁舌はそこまで得意じゃあない、ご隠居様はさすがにそういうのも凄かったのだけれどな。
そこでだ、ああいうクサンティッポス(桂小五郎)のような種類の男のな、使い道ってやつが出て来る寸法なんだ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「まぁ俺だって、山口-アテナイ人の端くれだ、弁舌の大切さは重々弁えてるんだけどね。まったく嫌なご時世だ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「それがそうでもないぞ? 逆に言えばだ、立派な鎧兜を持たない貧しい下級市民とて、弁論の力さえあれば、ある程度上に這い上がれるんだと思やぁ、どうだ?」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「つまり、うちのような毛利アルクメオン家一族の端くれにも、上に行ける望みはあるんだから、お前もせいぜい頑張って出世しろよ、ってそういうお説教ですかい?」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「そういうことだ、わかってんじゃないか、レオボテスよ。お前は、体力も人並みだし、家柄も人並みだし、容姿だって人並みだ。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「いやいやいやいや、実の父親に言われたか無いんですけど、そういうこと!」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「まあ、残念ながらお前さんはこの平凡な父親に似ちまったって話しだ。ただし、お前は頭の回転については割と他より早いんじゃあ無いか? 少なくとも、この私よりは、な? だったら、一つ身ぃ入れてよ、弁論の力を磨いてみるのも、良い手なんじゃないかと思ってな。」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「よして下さいよ、親父さん。頭の回転も、あなたに似て、人並みですよ、あたしゃ。びっくりするくらい。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「とはいえだ、たとえ人並みだったとしてもだ、武術とかだって、『全く練習しない天才より、熱心に練習する凡才のほうが、戦場で役立つ事もある』って、よく言うだろう?」
青年a-レオボテス(毛利秀就)
「どうですかねぇ、天才なら、全く練習しなくても、凡才よりかは活躍するんじゃないですかねえ。」
市民-アルクマイオン(毛利秀元)
「やいやい、いい加減にしやがれ! さっきからグチグチ言い訳ばかりで情けねぇ! あすこのクサンティッポスを紹介してやるからよぉ、奴から弁論の術を盗んでこいって言ってんだ! こいつが親心ってぇもんだ、たまには親の言うこと素直に聞きやがれ!」
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