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プロローグ

 ああ、また転生するんだわ。

 薄れゆく意識の中で○○は思っていた。


 今度はヒロインを押しのけて、どなたか素敵な男性と結婚できるのかしら?

 どなたか……どなたでもいい。

 侯爵令嬢という身分に相応しい人ならば、誰でも。


 だって、この世界では

 この乙女ゲームの世界では、私が本当に好きな人とは結ばれないのだもの。


 なぜならば、彼は攻略不可能なキャラだから。

 完全に脇役キャラだから。

 私はすっごく好みなのだけど、世間一般的な女性にとっては違うんでしょう。

 だから、このゲームの世界では2つのシーンでしか出てこないし。


 でも、いい。

 また転生したということは、また彼に会えるということ。

 ひと目でもいいのだ、彼を見かけることができれば。


 それはさておき。

 今回こそは絶対に、ハッピーエンドにしてみせる。

 悪役令嬢がハッピーエンドになる世界。

 そして、ヒロインがバッドエンドを迎える世界!

 今まで悪役令嬢……セシリーはとても辛い思いをしてきたのだから。彼女を幸せにさせなければならない。それが、この世界で転生を続ける自分の使命なのだ。


 次こそは立派な悪役令嬢としてヒロインを蹴散らし、どなたか素敵な男性と結婚してみせる。


 そのためだったらなんだってする覚悟だ。

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