1/2
プロローグ
陽人にはずっと好きな人がいた。
彼女は幼なじみで、陽人よりも背が小さく、昔は男勝りな性格だったのに今では随分しおらしくなって、思ったことをすぐ口に出すくせに肝心な事は言わず一人で抱え込んで、誰よりも近くにいるのに、誰よりも遠くに感じる少女だった。
海花にはずっと好きな人がいた。
彼は幼なじみで、海花よりも背が高く、昔は泣き虫だったくせに今では人一倍正義感が強くて、傷付くのが嫌なくせに困っている人がいたら自分のことなんか後回しにする損な性格をしていて、誰よりも近くにいるのに、誰よりも遠くに感じる少年だった。