妻「あんた勇者なんだしそろそろ旅立ちなさいよ」
続編・「雨も止まないし」シリーズがございます。
勇者「うーホントは俺戦いとか好きじゃないんだけどなぁ」
子「父さん、勇者に選ばれたんでしょ! すげー!!」
勇者「いやぁ勇者なんて、街で適当に選んでるだけだよ それに危ない仕事なんだよ、勇者って」
妻「そうよね、無理には言えないわよね」
勇者「でも、困ってる人を助けながら旅するっていうのもいいかもなぁ」
勇者「それじゃ、行ってきます」
妻「気をつけてね! いつでも帰ってきてね!」
子「父さん、行ってらっしゃい! 帰ってきたらいろんな話し聞かせてくれよ!!」
勇者「おー! じゃあな!」
勇者「とりあえず酒場に行って仲間を集めるか」
勇者「頼りない勇者だからなー」
勇者「仲間は優秀な人材を揃えないとなぁw」
<酒場にて>
勇者「旅立つので仲間を選びたいんですが」
マスター「おお、腕に自身のある者が集まっておりますよ」
戦士「うむ・・・ここの筋肉をもう少し大きくしたいなぁ」ムキッ
魔法使い「この呪文を詠唱を行わず最大の効力を発揮するためにはこの呪文を習得しさらにそれを合成させ新たな・・・」カリカリカリ
僧侶「勇者様、今日からよろしくお願いいたします この一行が、神のお導きにより健やかに旅ができますようお祈りしておきました」メガネをふきふき
勇者「・・・・うむ、優秀な仲間ダナー」
勇者「では、皆さん武器や防具を揃えましょうか」
戦士「それには及ばない、私は既に装備しているものがある」
魔法使い「とりあえず、教科書の内容は全て覚えましたので、新たな魔法が習得できる書物があればいいのですが」
僧侶「わたしは・・・皆様の足を引っ張らない程度の装備があればそれで・・・」
勇者「はい俺の装備を揃えてきます」
勇者「一応最低限の装備はしましたが、皆さんもしかして物凄く強かったりとかします?」
戦士「この街の道場の師範だが・・・」
魔法使い「学校は主席で卒業しました」
僧侶「わたしなんてそんな・・・幼少から教会でいろいろと学ばせていただいておりましたが・・・」
勇者「・・・一回俺だけ修行させてもらえませんか?」
2週間後
勇者「一度家に戻り、体を鍛え直してきました」
戦士「うむ あとはフィールドで実践を積みながら鍛えていこう」
魔法使い「勇者様が修行をしている間、2,3魔法を覚えておきました」
僧侶「それでは皆様、出発しましょう!」
<フィールドにて>
モンスターが現れた!
戦士の攻撃! モンスターに50のダメージ!
モンスターは倒れた!
戦士「ふむ、この辺りのモンスターでは話にならんな」
魔法使い「魔法を使うまでもないですね」
僧侶「無駄な殺生はせず、次の街へ向かいましょうか」
勇者「ちょ、俺を鍛えさせてくれ!!!」
<第2の街にて>
僧侶「ここは美食の街と聞きますね」
魔法使い「効率よく体力を上げる食事をいただきましょう」
戦士「良質なタンパク質を摂取したい 鶏肉料理を食べよう」
勇者「・・・オムライス」
<フィールドにて>
戦士「しばし、あの木の影で休まぬか?」
僧侶「そうですね、勇者様が大変そうです・・・」
魔法使い「わたしの計算では30分程の休憩でしたら日が沈む前に次の街へ着くでしょう」
勇者「ひぃひぃ・・・」
小高い丘の上に生えた一本の木下で
勇者「はぁ・・はぁ・・皆さんに質問です」
勇者「なんでこんな足でまといの勇者に付き合ってくれるのでしょうか」
魔法使い「それは、勇者様の手助けをするのがわたしたちの役目ですから」
戦士「うむ 我々の力が勇者殿のためになれば、これ以上の喜びはない」
僧侶「それに、勇者様ったら、なんだか守って差し上げたくなる雰囲気なんですもの」ニコッ
勇者「あはははは」
僧侶「あら? その写真は・・・」
勇者「あ、妻と子ですw 街で待ってるんですよね」
戦士「ほお、私も道場に教え子達を残してきたな 皆たゆまず稽古を続けているだろうか」
魔法使い「魔法学校を卒業した同期はほとんど、各地で魔法を教えています 懐かしいですね」
僧侶「教会で一緒に育った方々も、街でわたしを待ってくださっております 無事に旅を終えて再び街に戻る日が待ち遠しいです」
勇者「・・・皆さんにも大切な方がいらっしゃるんですよね」
勇者(よし、どうしようもなくなったら里帰りの提案をしよう)
<第3の街にて>
戦士「さて、順調に旅は進んでいるな」
僧侶「道中で困っている方々をお助けすることもできましたね」
魔法使い「勇者様も日に日に強くなられて」
勇者「ははは・・・優秀な仲間に恵まれたカラデスヨwww」
僧侶「それにしても、ここはファッションの街だそうですね」
勇者「よし! ここは僧侶さんと魔法使いさんに可愛い服を買って着ていただこう!」
魔法使い「わたしはそれほど服に興味はないのですが・・・」
戦士「いや、女性は時には綺麗に着飾る時も必要であろう 存分に選んでくるが良い」
魔法使い「そ、それなら・・・」
僧侶「では、勇者様と戦士さんは先に宿でお休みになってください」
<宿屋にて>
勇者「あの二人も、女性らしい所があったんですねw」
戦士「うむ しかし、あの二人の前で言ってやるなよ」
勇者「はーいw あれ?」
戦士「む? 花瓶・・・か 花は萎れているがな」
勇者「最後に花が咲いたのはもう随分前になりますね」
戦士「モンスターが現れてから、数年に一度、数分だけしか咲かなくなったものだ」
戦士「私の父から聞いた話だが、昔は花は季節を告げ、色とりどりに咲き乱れていたそうだ」
勇者「・・・妻や子供に見せてやりたいな」
僧侶「ただいま帰りました」
戦士「うむ、それでは飯にでも・・・!!!」
勇者「!!!」
魔法使い「・・・な、なんでしょう やはりわたしには似合わなかったですよね・・・」
戦士「いや、魔法使い殿のセクシーな体型を際立たせる素晴らしいチョイスだ」
勇者「魔法使いさんの黒い髪によく映える服ですね」
魔法使い「そ、そんなに褒めないでください・・・」
僧侶「あのーわたしの服は・・・」メガネをふきふき
早朝<フィールドにて>
勇者「はぁ・・はぁ・・」 ビュンッ ビュンッ
戦士「ふむ 私の早朝稽古に付き合いだしてからもう一月になるか だいぶん様になってきたな」
勇者「はぁ・・はぁ・・ 勇者の俺が、みんなの足を引っ張るわけにはいかないんで」 ビュンッ ビュンッ
戦士「攻撃力、防御力、体力と旅立ちの頃と比べると見違えるようだ」
戦士「強くなったな、勇者殿」
<第4の街にて>
勇者「着きましたねぇ」
戦士「うむ ここは娯楽施設が揃った街だと聞くな」
ぴらっ
僧侶「今はミスコンが開かれていて、グランプリに輝いた方は夢のような国に移り住むことができる・・・だそうです」
魔法使い「夢のような国ですか そこに行くことを拒否したらどうなるんでしょうね」
司会者「今年のミス・グランプリは・・・A子さん!」
ワーワー パチパチ
観客「でも、毎年グランプリの子達、夢の国に行ったきり帰ってこないよな」
観客「よっぽどいい所なんだろうな」
司会者「では、A子さんはこちらの車に乗っていただき、夢の国へとお連れいたします」
勇者「なんだか有無を言わせぬ感じで連れて行かれるんだな」
戦士「たしかに、拒否権はなさそうだ その夢の国、どのような場所なのだろうか」
魔法使い「気になったものは調べましょう 色食魔法・透明!」
僧侶「体が透明に! これであの車のあとを追えますね」
<とある洞窟にて>
勇者「なんだか夢の国らしからぬ場所に着きましたね」
戦士「うむ 車から先ほどの司会者とグランプリの女性が降りてきたな」
魔法使い「洞窟の中に入っていくようですが・・・この魔法、そろそろ効き目が切れてくる頃です」
戦士「構わんだろう 姿が見えたところで、事情を話せば納得してもらえるだろう」
僧侶「そうですね それに、なんだかこの洞窟からは不吉な雰囲気が漂ってきていますし・・・」
コツ コツ
戦士「かなり深い洞窟だな ん?明かりが・・・」
勇者「しー、話し声がします」
司会者「魔物様・・・さあ、お連れしましたよ 今回の女はこちらです」
魔物A「へへへ・・・錯乱呪文!」
魔物B「これでこの女は幻覚を貪りながら我らに服従することになる」
司会者「これで・・・今年も街を襲わずにいてくださるのですね」
魔物C「ぐひひwww それはお前たちの態度しだいだなwww」
戦士「なんだあの者たちは・・・ モンスターではないな、言葉を喋っている」
魔法使い「かといって、人でもありません 魔物、と呼ばれておりましたが」
勇者「・・・あそこを!」
僧侶「!! なんて酷い・・・」
正気を失った女性が何人も、虚ろな目をしながら鍋をかき回したり、怪しげな道具を整理したり、魔物に寄りかかったりしている
戦士「ううむ・・・許せんな」
勇者「同じくです 行きましょう!」
僧侶「ええ、わたしは皆さんのサポートをいたします」
魔法使い「わたしはあの司会者を救出します 勇者様と戦士さんで魔物を撃破してください」
戦士「了解だ」
戦士「うぉおおおお!!!」
魔物「なんだ!?」
戦士の攻撃!
魔物Aに190のダメージ! 魔物Aは倒れた!
勇者の攻撃!
魔物Bに100のダメージ!
魔物C「くっ 司会者、謀ったな!!」
魔法使い「司会者さん、こちらへ! 岩石魔法大!」
魔物Cに200のダメージ! 魔物Cは倒れた!
魔物Bの攻撃! 勇者に80のダメージ!
僧侶「勇者様! 中回復魔法!」
勇者「うらぁぁぁ!」
勇者の攻撃! 魔物Bに98のダメージ! 魔物Bは倒れざまに光線を放った!
司会者「ぎゃぁぁぁぁぁあぁあぁ」
魔物B「ま、魔王様がいる限り、我々は蘇る・・・」
僧侶「司会者さん! 回復魔法! 回復魔法!」
戦士「・・・だめだ、即死だろう・・・」
魔法使い「計算外でした・・・申し訳ありません」
勇者「う・・・俺が確実に倒していれば・・・」
戦士「気にするな とにかく捕らわれていた女性たちを救出しよう」
僧侶「・・・はい、錯乱解除の魔法を施します」
戦士「なんだ?壁が崩れて奥にもう一つ部屋が・・・ む!これは!!」
魔法使い「広大な洞窟湖ですね 中央の陸地に向かい何方向からも橋が掛かっています」
僧侶「あれは・・・何かを祀っているような・・・」
戦士「とりあえず、魔法使い殿は僧侶殿と女性たちの回復を」
魔法使い「わかりました 勇者様は・・・」
勇者「・・・」
フラフラと橋を渡り始める勇者
戦士「勇者殿!」
(己の無力を嘆くか)
(力を欲すか)
(この刀を鞘から抜いてみせよ)
(我を屠ったその刀)
(己を変えたくば抜くがよい)
勇者「刀を・・・鞘から・・・」
シャッ
勇者「不思議な力が漲ってくる」
戦士「それは! 遥か昔魔獣を葬った刀・八岐大蛇ではないか!」
戦士「・・・そうか、抜いてしまったか」
戦士「絶大な攻撃力を誇るものの副作用で持ち主の人格を変えてしまうという」
戦士「ここに封印されていたのか・・・」
(我と対話したくばまたここに来い)
勇者「・・・」
一行は街に戻り
戦士「街の皆、彼女たちは悪党により捕らえられていた!」
戦士「錯乱状態から戻ったばかりで、まだ混乱している 安静にさせてやってくれ!」
戦士「それから、この街の責任者と話がしたい!」
ざわざわ
町長「うむ、貴方の言うとおりにいたします さっそく、明日から騎士団の募集をかけましょう」
町長「もしよろしければ、勇者様御一行にご指導いただければと思うのですが・・・」
翌日から、各地に第4の街を守る騎士団が集められた
戦士「それでは今日から訓練の指導をさせていただく!」
騎士団「おおおお!!!」
僧侶「あれ? 勇者様はどこでしょう」
魔法使い「一人で街の外へ行かれましたが・・・」
勇者「・・・」
モンスターが現れた!
勇者は刀をなぎ払った! モンスターに320のダメージ! モンスターは倒れた!
勇者「・・・魔王」
<宿屋にて>
戦士「勇者殿の件だが、あの刀を抜いてしまったことによる副作用だ」
戦士「刀を取り上げたからどうなるものでもない 精神力を高め、副作用を抑えるしか方法はない」
戦士「おそらく、それでも人格は元には戻らないであろう だが、それでも勇者殿は勇者殿だ」
僧侶「そうですね、どんな人格になろうとわたしたちの勇者様ですよね」
魔法使い「一つ気になるのは、勇者様が魔王、魔王と独り言をおっしゃるようになったことです」
戦士「うむ たしか魔物が死ぬ間際に口走ったが・・・ 魔物たちの親玉と考えてよいのだろうか」
魔法使い「おそらくはそうでしょう 魔王様がいる限り我々は蘇る、と言っておりましたので」
戦士「魔物や、おそらくはモンスターも魔王がいることが原因なのだろう 魔王を倒さぬ限り、平和は訪れないということか」
僧侶「魔王について、わたしたちは知らないことだらけですよね」
魔法使い「出来得る限りの情報を集めましょう」
戦士「そうだな、さっそく明日にはここを発つ 情報を集めつつ、次の街を目指そう」
勇者「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
<フィールドにて>
勇者 スタスタスタ
戦士「勇者殿、疲れはないか?」
勇者「・・・・・・ない」
モンスターが現れたがたちまち勇者に切り伏せられた!
勇者 スタスタスタ
<第5の街にて>
戦士「ふむ・・・街の者によると、ここは魔王の城に最も近い街らしい」
僧侶「なんだか病院が多い街ですね 教会もとても立派な作りですし」
魔法使い「モンスターや魔物に襲われることが多いのでしょうか」
男「おい、お前さんたち、火をだせねぇか?」
男「火の魔法、ほれ、お前さん出せるだろう タバコに火をつけてくれ」
魔法使い「・・・はい、わかりました」 ボッ
男「悪いねぇ いやしかし、お前さんたちは勇者御一行かい?」
戦士「その通りだが」
男「ここに来たってことは、旅の目的がわかってるんだろう? 最近の勇者たちは旅の目的も知らず遊び歩いているのが多いと聞いていたが、お前さんたち珍しいねぇ」
僧侶「もしかして、魔王についてなにか知ってらっしゃるのですね?」
男「あぁ、知ってるといえば知ってるねぇ」
男「まず、お前さんたちに信じてもらおうとは思わんがね、わしは魔王を倒したことがある」
魔法使い「!!なんですって!?」
戦士「では、このように魔物やモンスターが蔓延っているのはなぜなのだ?」
男「わからんねぇ 俺は確かに魔王を殺したんだ」
男「魔王を倒して、俺の仲間には空を飛べる魔法を仕えるやつがいたから、そいつの力ですぐに脱出して」
男「だけど、そいつも魔力が限界だったんだろう 途中で地上に落っこちちまった 仲間とはぐれて、俺はこの街にたどり着いた」
男「その日はこの街全体で祭りになった だがどうだ、次の日にはモンスターの襲来だ 俺は一夜で大嘘つきのバカ野郎さ」
男「お前さんたち、魔王を殺りにいくんなら、今度こそ完璧に殺してきてくれよ」
男「肝心の勇者が少し心配だが、戦力としては申し分ないだろう?」プハァー
勇者「・・・・・・・・」
戦士「その話、本当なのだな」
男「お前さんたちが信じるんなら本当だ 疑うんならきっと嘘だってこった」
<宿屋にて>
魔法使い「かなり有力な情報を得ることができましたね」
戦士「うむぅ・・・私にはよくわからん話だったが」
僧侶「魔王は何度も蘇っているということでしょうか」
魔法使い「そうでしょう おそらく、花の件についてもこれで納得がいきます」
戦士「花?」
魔法使い「はい わたしたちの世界で花は、よくて数年に一度ほんの一時だけ咲いています」
魔法使い「ですが何十年も前は、おそらく魔王が現れる前でしょうが花は季節の移り代わりを告げながらいつまでも咲き誇っていたものだと聞きます」
魔法使い「魔王がいるから花が咲かないのであれば、もし魔王が一時でも倒れていれば」
魔法使い「花は咲くのではないでしょうか つまり、魔王は何度となく倒されているのです」
僧侶「なるほど・・・」
戦士「うむ・・・では、我々に勝機はないのではないか?」
魔法使い「実際に戦ってみないとわかりませんが、特別な倒し方があるのかもしれません」
戦士「やはり、戦いの中で勝機を見つけるしか方法はない、か」
僧侶「魔王の強さも、実際に戦ってみなければわかりませんしね」
勇者「・・・・・・・・・」
戦士「うむ・・ 明日、魔王の城へ乗り込む 今日は皆休み、疲れを取ろう」
<魔王の城門にて>
魔物「ぎひっ久しぶりに人間がきたぞ!」
魔物「やってしまえ!!!」
戦士「うおおおおお!!!!」ドゴォォッォォ
魔法使い「大火炎呪文全方位!」ゴォォォォッォ
僧侶「皆さんの全能力を増加!」パァァァァァ
勇者「・・・・・・・・・・・・・」ズシァァ ブシャァァア
戦士「勇者殿の動き、まさに疾風の如し・・・」
魔法使い「あれも、あの刀の力なのでしょうか」
戦士「おそらく、あの刀により身体能力が覚醒しているのだろう」
僧侶「勇者様の目・・・怖いです・・・」
魔物リーダー「ほう・・・なかなかのやり手が来たようで・・・グッッッ!?」
勇者「・・・・・・・・」ズシャァァアッァ
魔物リーダー「か、カハァァ・・・・」
魔物リーダー「ウ・・・グフッ しかし、魔王様は不死身なのだ・・・魔王様がおられる限り我々は・・・」
勇者「・・・・・・・・・・」
<魔王の部屋>
戦士「いよいよだな」
魔法使い「もしも、のためにわたしは魔力を温存して戦います」
僧侶「そうですね、魔王が蘇ったときに退避するための魔力が必要ですから」
勇者「・・・・・魔王」
魔王「ニンゲン・・・コロス・・・」
戦士「くっ なんて巨大なドラゴンなんだ!!」
魔法使い「わたしと僧侶さんは魔法で援護します 勇者様と戦士さんは物理攻撃をお願いします」
僧侶「ゆ、勇者様!!!」
勇者 タタタタタタタタタタッ
勇者は魔王の首を思い切り斬りつけた!
魔王「ギャァァァァァアアア」
魔王は尻尾を振り回した! ドゴォォォォォォオオオオオオ
戦士「ぐわぁぁぁ」
僧侶「戦士さん! 大回復魔法!」
戦士「かたじけない! 後ろからで悪いが許せ!」
戦士は魔王の翼に斬りつけた!
魔法使い「聖五芒星魔法展開準備! これを放ったあと、わたしは魔力を温存します!」
僧侶「魔法使いさんの魔力を最大増加!」
魔王は勇者の肩を爪で切り裂いた!
勇者「・・・・・・・・・・」ぽたぽたぽた
戦士「僧侶殿! 勇者殿の回復を!」
勇者 スタタタタタタタタタッ
勇者は再び魔王の首を思い切り斬りつけた! 魔王の首は切り裂かれた!
魔法使い「いきます! 聖五芒星魔法発射!!」
眩い光線が魔王に降り注ぐ!
魔王「グワァァァァアアアアアアア」
魔王はどぉっと倒れ込んだ
僧侶「はぁはぁ・・・皆さんを回復いたします!」
戦士「・・・うむ、魔王が蘇るのなら早めのほうがよいだろう」
魔法使い「はぁ・・・はぁ・・・」
勇者「・・・・・・・・・」
僧侶「うっ・・魔力が・・もたない・・」
戦士「全員、全回復はできなかったか」
魔法使い「このまま、もう一度魔王と戦うのは難しいですね・・・」
僧侶「申し訳ありません・・・」
戦士「いや、いいのだ おそらく過去に魔王を倒したものも同じだったのであろう」
戦士「魔王が蘇ると知らなければ、怪我を負ったまましばらくここで休んだかもしれない」
戦士「命を落とすことになるとはしらずにな」
戦士の足元には無数の人骨が散らばっていた
戦士「しかし・・・首を切り落とされてもなお蘇るのだろうか」
僧侶「特別な倒し方が、もし首を切り落とすことなのでしたら・・・」
勇者「・・・・・・・・もういっかい」ニヤッ
魔王の首が動き、みるみる動体と繋がっていく
戦士「くっ 駄目であったか!!」
魔法使い「皆さん、ここに集まってください!」
戦士「勇者殿! 一度退却だ! 勇者殿!」
魔法使い「勇者様をこの光の中に!」
魔法使い「瞬間移動魔法!!」
4人を藍色の光が包み込む
魔王「ニンゲン・・・」
4人はその場から跡形もなく消え去った
戦士「・・・っ ここは」
魔法使い「魔王の城の外です 今の魔力ではここまでが限界でした」
僧侶「すぐにここも離れたほうがいいでしょう、魔王が蘇ったなら、魔物やモンスターも・・・」
戦士「そうだな・・・」
勇者「・・・・・・・・・・・」
戦士「今の強さでは、我々では完全な意味で魔王に勝つことができない」
戦士「特別な倒し方、というものが存在するのかもしれない」
戦士「それを探しつつ、各々力を付けぬか」
戦士「何年かかるか分からぬが、答えを見つけ出そう」
魔法使い「そうですね ありとあらゆる書物から新たな魔法を学び取り、精進します」
僧侶「わたしも、これから各地をめぐり修行に励みたいと思います」
(我と対話したくば)
勇者「・・・・・・・」フラッ フラッ
戦士「勇者殿にはわたしが付いていく 各自機が熟したら再び集まろう!」
魔法使い「はい」
僧侶「わかりました!」
4人は方々に散った
一輪の花が、名残惜しそうに萎れていった
5年後
(精神が安定してきたようだな)
(刀の力に呑まれるかと思ったのだが)
(案外芯の通った人間であったか)
勇者「まず聞きたい この刀の主はどうなった」
(魔王に敗れた)
(魔王との戦いの前にその刀をここに封印し、そして去った)
(その後何人もの人間がその刀の封印を解いたのだが、すべからず廃人となった)
勇者「何故、刀を置いて戦いを挑んだ?」
(その者は気づいたのであろう 魔王を葬るのは力ではないと)
勇者「どういうことだ?」
(知りたくば白龍のもとへ 真実は白龍のもとに)
(刀が封印されていた台座を見るがいい 白色の石があるはずだ)
(その石が白龍のもとへ導くであろう 刀の主が共に封印していったものだ)
勇者「・・・なぜお前がそこまで知っている」
(ここは我の墓なり それに)
(彼の者とはすでに友人となっておる)
<宿屋にて>
バトルマスター「ぬ? 戻られたか勇者殿 今日も魔獣の霊と対話してこられたのか?」
勇者「ああ 今日は収穫があった」
バトルマスター「その石は・・・」
勇者「真実に辿りつく石、だそうだ」
ブワッッッッ
バトルマスター「魔法使い殿! 僧侶殿!」
魔道士「いいえ、今は魔道士ですよ 職業を極め昇華させました」
賢者「はい、わたしも賢者になりました! そういう戦士さんも、バトルマスターになっているではありませんか」メガネをふきふき
バトルマスター「この5年間、皆無駄にしていなかったようだな」
勇者「二人共、久しぶりだな」
勇者「魔王との戦いの際は身勝手な真似をしたようですまない」
賢者「あ・・・勇者様少しクールになられました?」
バトルマスター「やはり人格は元に戻りはしなかったようだ それより」
バトルマスター「この石のことなのだが」
賢者「導く・・・とは具体的にどのようにでしょうか」
魔道士「それに白龍・・・魔王と同じドラゴンでしょう その情報源の魔獣も本来は悪の象徴です 信じていいものでしょうか」
勇者は石を握りしめた 眩く石が輝き始めた
勇者「とりあえず、石を握るとどちらに進めばよいか手に取るようにわかるんだ」
バトルマスター「この5年間、花が咲くことはなかった つまり誰も魔王に挑んでいないということだろう」
賢者「進まなくてはなりませんね」
魔道士「おそらくは、真実に一番近い勇者一行がわたしたちでしょうしね」
騎士団A「勇者様御一行が出発なさるぞ!」
騎士団一同「お気を付けて!!!」
バトルマスター「うむ! 皆稽古を怠ることのないようにな!」
魔道士「すっかり慕われてしまったのですね」
賢者「バトルマスターさん、熱心に稽古をつけてらっしゃいましたから」
<第2の街近辺の山にて>
バトルマスター「この山を越えると、さらに標高の高い山々が見えてくるはずだ」
魔道士「ゴケシム・・・この世で最も高い山ですね」
賢者「別名、天国への入口・・・頂上にたどり着いたものはひと握りの人間だけと聞きます」
勇者「・・・!」 スタタタタタタタタタッ
バトルマスター「勇者殿?」
巨大イノシシモンスター 「ブォォォォオ」
4人の男女が襲われている
勇者の一閃! 巨大イノシシモンスターは倒れた!
スタタタタタッ
勇者「・・・大きくなったな」
<ゴケシム山の麓 小さな村にて>
勇者「やはり、山の頂上に導かれている」
バトルマスター「用意を周到にしていかねば、この山を登りきることはできんな」
賢者「魔力や体力もしっかりと回復しておきましょう」
魔道士「おや、あの方は・・・」
巨大な大剣を背負った老人が、子供たちに囲まれ遊びの相手をしていた
老人「おぉ・・・そなたたちは勇者の一行かね?」
バトルマスター「はい、その通りです」
老人「ほぉほぉ、良い一行じゃ わしも昔は旅したもんじゃ 一度は魔王を倒したり・・・ほほ、こりゃいけない、またじじいの戯言が出てしもうた」
魔道士「いえ、わたしたちも一度魔王を倒したので、お気持ちはよくわかります」
老人「なんと、そなたたちもか! ふむふむ そして再び挑もうというのかな?」
賢者「はい 平和を取り戻すためには、挑み続けるしかありませんから」
老人「あっぱれじゃのう その勇姿、しかとこのじじいの目に焼き付けたぞ」
「おい、聞いたか!」 「ついさっき念話魔法で届いた情報だ・・・」 「ああ、第1の街が・・・」 「ここから離れてるけど、心配だよな・・・」
勇者「第1の街が、どうした?」
村人「襲われたんだってよ、魔物の軍団に!」
バトルマスター「!!なんと!?」
賢者「すぐに駆けつけなくては!」
魔道士「皆さん集まってください! いきますよ! 瞬間移動魔法!」
<第1の街にて>
魔物「勇者の家は潰したが、女しかいやしねえ」
魔物「魔物リーダー様が、一番マークしていた勇者だ、襲撃に失敗したとなりゃあ」
魔物「とにかく、街をぶっ壊して燻りだせ!」
ドゴォォォ バァァァァン
魔道士「この街の人間全員を対象に、瞬間移動魔法!」パァァァァ
町外れの丘
賢者「皆さん、無事ですか!?」
魔道士「はぁ、はぁ、なんとか全員助け出せた・・・」
バトルマスター「けが人はいないか!?」
勇者「!!!」
勇者「妻・・・」
妻「・・・あなた 生きてた・・・のね・・・」
勇者「ああ 今すぐ手当をする、そこにいろ」
妻「ふふ・・・なんだか頼もしく・・・なって・・・」
勇者「賢者、賢者!」
妻「もぉ・・・いいの・・・ダメなのは、自分が一番・・わかってるから・・」
勇者「妻・・・」
妻「あの・・ね あの子に会ったら・・・ね・・・」
勇者「・・・」
妻「あ・・・ごめ・・」
賢者「申し訳ございません・・・わたしの回復魔法では手遅れで・・・」
勇者「賢者の魔法で手遅れだったら、どちらにせよ見込みはなかったんだ」
賢者「勇者様・・・」
勇者「街にまだ魔物がいるはずだ バトルマスターと片付けてくる」
スクッ
魔道士「やはり、勇者様の人格・・・感情は・・」
バトルマスター「変わってなどいなかったのかもしれんな」
勇者の瞳からは大粒の涙が溢れていた
勇者「おそらく、これで魔物は全て片付けたはずだ」
バトルマスター「うむ 何人かは既に引き上げていたのかもしれんが・・・」
勇者「少し、先に戻っていてくれないか?」
バトルマスター「うむ では我々は先に丘の向こうで待っていよう」
勇者「・・・」
勇者「この公園・・・息子が小さい時によく来ていたな」
勇者「このラーメン屋、好物だったな もう一度食べてみたい」
勇者「なにもかも、奪っていってくれたな」
?「母さん! 母さん!」
ガラッ ガラッ
一心に瓦礫をかき分ける息子の背中
(・・・・・・・・・・・・・)
勇者「母さんは、もうそこにはいない」
バトルマスター「勇者殿、もうよいのか?」
勇者「ああ、大丈夫だ」
魔道士「申し訳ないのですが、先ほどの魔力消費で瞬間移動魔法はしばらく使えず・・・」
勇者「ああ、歩いて向かおう」
賢者「先ほど、若い僧侶さんにお会いして、街の方々のことをお願いしてきました」
バトルマスター「うむ、では行くか」
数ヵ月後
<ゴケシム山山頂付近>
バトルマスター「ふぅ・・・まもなく山頂か」
魔道士「ここまでくると、モンスターさえ現れないのですね」
賢者「おかげで、ダンジョンに専念することができました」
勇者「・・・ついた」
石が眩く輝きだした
大気が震え、回りに霧がたちこめた
?「ワガナは・・ハクリュウ・・ニンゲン・・・ヨウはナンダ・・・?」
巨大な純白のドラゴンが現れた
勇者「この石に導かれてやってきた 真実をここで知ることができると聞いてきた」
白龍「シンジツ・・・マオウのシンジツ・・・」
バトルマスター「うむ、聞かせてくれ!」
白龍「ナンジュウネンモムカシ・・・ワタシとマオウ・・キョウダイダッタ」
白龍「マオウは・・コクリュウ・・ワタシとマオウ・・ナカヨシ・・ダッタ」
白龍「ヒトリノニンゲン・・・ ワカイ・・アカイカミのオナゴダッタ」
白龍「オナゴは・・コドモウンデスグニ・・オトコニステラレタ」
白龍「ワタシとコクリュウ・・オナゴをタスケタ・・オナゴ、ワタシタチにコトバオシエタ」
白龍「コクリュウ、オナゴのコト・・スキニナッタ・・コイシタ・・」
白龍「アルヒ、オナゴステタオトコ、キタ オナゴに・・ワレワレのチ・・トルヨウニタノンダ」
白龍「リュウのチ、ノムトフジミにナレル オトコ・・チ、ホシガッタ・・デモ、オナゴはコトワッタ」
白龍「オトコ、オナゴコロシタ コクリュウ・・オコッタ、モノスゴク・・コクリュウ、オトココロシタ」
白龍「コクリュウのイカリ、オサマラナカッタ・・コクリュウのイカリ、ジャアクなモノウミダシタ」
白龍「ジャアクなモノカラ、アタマイイモノ、アラワレタ・・アタマイイモノ、コクリュウダマシテ、シロにトジコメタ」
白龍「ワタシ、ニンゲンにケイコクシタ・・ニンゲン、ユウシャエランダ・・ユウシャ、コクリュウをタオシタ」
白龍「デモ、コクリュウはタオレナカッタ・・コクリュウ、シンデル・・コクリュウ、レイタイにナッテウゴイテル」
白龍「コクリュウ、シンデルノニイキテル・・シニキレナイ・・コクリュウ」
賢者「なんてこと・・・」
白龍「コクリュウ・・タオセルノ、タブン・・オナゴのマツエイダケ・・」
白龍「ハナシ、オシマイ・・コノハナシシタノ、ニカイメ・・ワタシ、コレカラもキカレタラコタエル・・」
白龍「ソノイシ・・ワタシがニンゲンにアタエタ・・ワタシとアイタケレバ・・ツカエ」
白龍「ワタシ・・カエル・・マオウ・・タスケテ・・・」
霧が晴れた時には、白龍はもうそこにいなかった
バトルマスター「悲しい話だ・・・」
賢者「魔王も・・・救われるべき存在だったなんて」
魔道士「白龍と魔王・・黒龍に言葉を教えた女性には子供がいたとか」
勇者「だが、何十年も前の話だ 今は生きているかもわからない」
賢者「とにかく、その子孫を探すことが重要ですね」
バトルマスター「次の勇者一行が魔王に挑む前に、な」
魔道士「もう、犠牲者は出したくありませんからね」
勇者「・・・・・・あいつは・・・」
<第5の街にて>
勇者「以前ここに来たときの記憶は定かでないのだが」
バトルマスター「魔王の城から最も近い街だ なにか手がかりがあるかもしれない」
魔道士「せめて、名前がわかればよかったのですが・・・」
賢者「髪の色・・・たしか赤い髪のおなごっておっしゃっておられましたよね」
バトルマスター「それだ! 赤い髪など珍しい、探せばもしかしたら」
男「うわぁぁぁぁ俺は魔王を倒したんだぁぁぁ!!!」
看護士「男さん、また!」
バトルマスター「む?あの男性は・・・」
男「ひゅーー、ひゅーー、おまえ、どっかで見た顔だな、ひゅーひゅーー」
魔道士「覚えていらっしゃいませんか? 以前タバコの火をつけさせていただいたのですが」
男「ひゅー、ひゅー、覚えてるぞぉ、勇者一行、ばんざーーーーい」
看護士「ごめんなさいね、この方、少し精神の病気で・・・」
男「ばんざーーーい、今日もまた魔王の城へ、ひゅーひゅー、勇者の一行が向かったぞぉぉぉ」
バトルマスター「なに!? それは本当か?」
看護士「あ、それは本当ですよ 今朝旅立っていかれました 朝から教会ではお祈りがあってましたよ」
賢者「そ、そんな・・・」
看護士「個性的な御一行でしたね これから魔王の城に乗り込むというのに、なんだか観光にでも行くような」
勇者「・・・行こう」
勇者「すまない・・・俺のわがままで」
バトルマスター「気にするな 我々は勇者殿にどこまでもついて行く」
魔道士「それがわたしたちの役目ですから」
賢者「たとえそれが命を落とすことであっても、です」メガネふきふき
<魔王の城門にて>
勇者「やはりすでに魔物が倒されている」
バトルマスター「息子殿・・・なのだろうか」
勇者「たとえ違ったとしても、その一行を救うことはできる」
魔道士「死にに行くようなもの・・・ですが、わたしたちが永久に勝ち続ければ、永久に平和は続くのです 確率は限りなく0ですが」
賢者「あら・・・こんなところに」
賢者の指が示す、一輪の花
萎れてなお、美しい
勇者一行の歩いたあとで、ふわりと風に揺れる
咲き誇る機会を今か今かと待ちわびて
この冒険の勇者一行
・お父さん勇者
・筋肉バトルマスター
・黒髪ロング魔道士
・メガネっ娘賢者
第二章 <完>




