第95話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
やっぱり1月の半ばぐらいまでは、なかなかの忙しさ。
子供達の冬休みが終わり、新学期が始まった頃、ようやくお店の混み具合も落ち着いて、普段となんら変わりない雰囲気に戻った。
そこでやっと引っ越しの準備を始めた。
なるちゃん達は、お正月明け早々にアパートから新しい家に引っ越してしまったので、今、このアパートには私達とあゆみちゃん達だけ。
なので、雄大さんと家に戻ると、アパートの空いた部屋の真っ暗加減がなんだか寂しかった。
けれども、私達も2月の頭には引っ越しが決定!
なんとなく抜け駆け感が、あゆみちゃん達に申し訳ない気分。
そんなあゆみちゃん達も私達のすぐ後、引っ越すそうだ。
最初は一緒に「なるちゃんハウス」でと言っていたけれど、やはり赤瀬川君が牧場の仕事を本格的にやるにあたって、「通い」では都合が悪いらしく、「通う」のはあゆみちゃんの方にしたとのこと。
だもんで、あゆみちゃん、車を買った。
免許は持っていたものの、運転していないペーパードライバー。
だからか、アパートの駐車場に停めてある、納車したての新車の白の軽自動車で、休みの土日、赤瀬川君に助手席に乗ってもらい、運転の練習をやっている最中。
12月のボーナスで購入して、クリスマスの後に納車となってから練習を開始したので、もうだいぶ上手になった模様。
今度乗せてくれると言うので、ありがたく乗せてもらおうと思ってはいるけれど、その「今度」がいつになるやら。
まだまだ、やることがいっぱいで、お互いそれどころじゃない状況なので。
2月に入り、節分の前日の休日、私達の引っ越しとなった。
平日だけれど、仕方がない。
業者に頼んだから大丈夫と伝えたはずなのに、何故か雄大さんのご両親と叔父さん夫婦、そして、うちの両親と妹のまりと弟のみちおまで、みんな仕事を休んで応援に来てくれた。
事前に雄大さんと2人でせっせと持って行く荷物を詰めたり、部屋の掃除をしたり、結構頑張ったつもりでいたけれど、やっぱりいざ引っ越し当日となると、やることが山のようにあった。
そうなると、「2人で全然大丈夫だから」なんて大風呂敷を広げていたことが、恥ずかしいやら申し訳ないやら。
朝から始まった引っ越し作業も、お昼頃には大体終わった。
「後の細々(こまごま)したのは、自分達でやれるから…今日は本当にありがとう!」
雄大さんと一緒に、集まってくれたみんなに挨拶をすると、ピンポーンと部屋のチャイムが鳴った。
「誰だろう?」
は〜いと出ると、ミズエさん。
「ゆりちゃん、もう大体終わった?」
「ええ、はい…後は、私と雄大さんでできるかなあって…」
「じゃあさ…下でご飯の用意してあるから、皆さんで来て下さい」
「わあ〜!いいんですかあ〜!」
「いいに決まってるでしょ〜!」
バタバタと階段を降り、みんなで食堂へ行くと、大きなテーブルの上にずらりとご馳走が並んでいる。
「お腹空いたでしょ?皆さん、どうぞ!どうぞ!召し上がって下さい!」
嬉しい!
引っ越し当日だからと、私も雄大さんも水島さんから頂いたレーズンパンしか食べていなかったから、気づくとお腹がぺこぺこだった。
ミズエさんとなるちゃんパパも加わって、食事会は大いに盛り上がった。
なるちゃんは残念ながら、保育園。
なので、大人ばかりの食事会となった。
美味しくて温かいご馳走でお腹がいっぱいになった辺りで、まりのテーブルマジックがスタート。
そのあまりの巧さに、初めて見た面々は驚きの声をあげていた。
まりのマジックの間、姿が見えなかったうちの両親と弟のみちおは、少し経った頃、それぞれ楽器を持って戻って来た。
「じゃあ、マジックはこれでおしまい」
その後、うちの父のアコーディオンに合わせて、母の三味線と弟のギター演奏。
そこですかさず、雄大さんのお父さんが曲のリクエスト。
それはやっぱり波川ケンイチの「双子座の女」
後に続くは、叔父さんによるカモメ大三郎のヒット曲「あばれ!荒波!日本海!」
そして、雄大さんのお母さんと叔母さんのノボリ坂37チームの「ボーイズ!ドンと恋!」
うちの家族による伴奏で、次々と歌が歌われていく。
雄大さんもディーズのケンヤのモノマネで、「ゴーオン!キープゴーイン!」を熱唱。
なるちゃんパパが北山口たかしとクール&ドライの「女の6合目」を歌い出した時は、他の全員でコーラスを担当。
みんなで歌うと楽しいけれど、ふと思った。
私達の結婚式の披露宴も、多分こんな感じになるんだろうなあと。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




