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第88話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

「結婚指輪」って、一緒に買いに行ってもいいんだねえ。

よく男性が女性にプロポーズする際、ひざまずいた状態で相手を真正面に見つめながら、小さなビロードの小箱をパカッと開けて、「結婚して下さい!」とかって言う場面を、ちょいちょい見かけていたもんだから…

それって、男の人が勝手にって言い方も乱暴だけど、でもまあ、女性に断りもなく…これも乱暴か…まあ、いいか…そんな感じで、女性には内緒でこっそり1人で買いに行って、そうするのばかり見て知ってたから、まさか原さんと一緒にお店に行って、一緒にどの指輪にしようか選んで買ってもらうって言うのが、嬉しいんだけど、「え〜、これでいいの〜?正解なの〜?」って少しモヤモヤしていた。

「あ〜、確かに…私の時は、跪いてプロポーズではなかったけど、パパが1人で勝手に買って来た指輪をもらったなあ…嬉しかったし、好きなデザインだったからよかったんだけど、サイズが合わなくてブカブカだったから、後で直しに行ったけどねえ」と水島さん。

「え〜!そうなんですかあ〜?」

「そうなの!だからね、男の人が勝手に買ってくれるのもいいけど…好きなデザインじゃなかった場合、嬉しさも微妙になっちゃうだろうねえ…後、サイズが全然合わなかった場合もね」

水島さんの発言に、思わず「なるほど〜!」と膝を打った。

続けて高島さんの話を聞いた。

「あ〜、そうそう、そうなのよ!そうなの!私じゃないんだけどね…私の学生時代の友達が、付き合ってる彼からプロポーズされた時にね、なんか2匹の蛇が絡まり合ってるデザインの指輪を贈られたって言っててさ…見せてもらったら、なんつうか…ロックとかやってる人がつけてそうな指輪でびっくりしちゃったのよね…すんごいごっついやつ…あれは〜、結婚指輪にはちょっとって思ったね」

そう言いながら、高島さんは手で指輪の大きさを説明してくれた。

確かにそうかもしれない。

折角大好きな彼からのプレゼントなんだから、嬉しいに決まってるはずだけど、でも、貰った指輪なり、他のアクセサリーだとしても、自分の好きなデザインじゃない場合、ちょっと戸惑うかも。

「確かに、そうですねえ…本当、そう思います」

「そうよ〜!だから、ゆりちゃんと原さんみたいに、一緒に買いに行く方が絶対いいのよ〜!結婚指輪って長く身につける物だから、余計に…ねえ」

水島さんと高島さんにそう言われると、今回のことは、絶対に間違わない大正解だったんだと改めて知った。


とうとうクリスマスイブ。

なんだか目まぐるしかった12月も残りわずか。

それにしても…忙し〜〜〜っ!

今日はクリスマスケーキやオードブル、フライドチキンを予約してた方への受け渡しの他、予約なしのお客様用のそれらに加え、ピザやお寿司、サラダにフルーツ盛り合わせなど、店内はご馳走だらけ。

お客様が沢山来店してくださるのは嬉しいけれど、心も体もへとへとだった。

「お疲れ様でしたあ!」

「本当にしんどかったねえ」

声を掛け合うスーパーの仲間達全員、いつにも増してがっちりとしたチームワークで目の前の仕事をどんどんとこなしていった。

そんな中、早番だった原さんと私は、仕事終わりに「指輪」を取りに行った。

ジュエリーショップで確認の為、仕上がった指輪をお互いはめる作業。

原さんの指にスルスルッとピカピカの銀色の指輪。

そして、私の指にも小さなダイヤモンドがめ込まれた指輪が。

2人で手を少しだけ高く掲げて、自分達の指にはまっている指輪を目つめた。

感激!

嬉しい!うふふふふ〜〜〜〜!

だけど、今ここで「指輪の交換」をやるのが「最初」になってしまった。

2人の結婚式が「最初」だったらよかったなあと。

でも、しょうがない。

ここで、この場でちゃんと確認しないと、「本番」で指輪が入らないだの、ブカブカだののトラブルが起きちゃうものね。

ちょっぴり残念な気持ちもありつつ、嬉しくてきゃあきゃあ騒ぎたい気持ちもあって、心がなんだか忙しかった。

「さて…この後、どうしようか?」

駐車場で車に乗った私達は、少し悩んだ。

「ねえ…どうしましょうか?」

「そうだねえ…ん〜…展望台に夜景でも見に行く?それとも、何か食べに行こうか?」

この日に至るまで仕事でもプライベートでもやることがいっぱいで、何も考えていない状態だった。

「…あ…そう言えば……」

純喫茶「純」で毎年恒例のクリスマスパーティーをやるから、仕事が終わったら「おいで〜!」と誘われていたことを思い出した。

「じゃあ、決まりだね!」

私達は真っ直ぐ帰ることにした。


純喫茶「純」は、常連客やアパートの住人達で賑やか。

「こんばんは〜!遅くなっちゃって、すいませ〜ん!」

原さんと2人、店内に入ると、すぐさまみんなと同じカラフルな紙の三角帽をかぶった。

「メリー!クリスマ〜ス!」

オーナメントいっぱいの大きなクリスマスツリーや、可愛らしいクリスマスの飾り付けのお店の中は暖かい空気に包まれていた。

カラオケで流れるクリスマスソングを、ここにいる全員で合唱。

そんなのが楽しかった。

テーブルと言うテーブルの上には、うちのスーパーにも売っていたご馳走がずらり。

私達が買ってきたフルーツ盛り合わせも、仲間に入れてもらった。

ある程度歌い終わると、今度はわいわいご馳走を食べた。

大人達は持ち寄ったワインやビールで乾杯し、なるちゃんと私とあゆみちゃんはジュースで乾杯した。

宴もたけなわとなった頃、大人達からなるちゃんへのプレゼントを渡す会が始まった。

「はい!なるちゃん、どうぞ!メリークリスマス!」

「なるちゃん!メリークリスマス!」

「これ、私達から!なるちゃん、メリー!クリスマス!」

「わ〜い!わ〜い!みんな、ありがとうなの〜!」

顔をパーッと明るくしたなるちゃんは、早速「開けていい?」とプレゼントを1つ1つ開け始めた。

すると…あ〜!やっぱり〜!

大人達はみんな考えることが一緒だった。

私と原さんもそうだけど、みんなもメインのプレゼントの他に、なるちゃんが欲しがっていた「小部屋探偵ベンデール博士」のグッズを買った模様。

私達はうちのスーパーで売っている「ベンデール博士」のクリスマスブーツ。

中身は全て「ベンデール博士」のチョコレートやスナック菓子の詰め合わせ。

私達があげた物と同じ物が、後3つ。

「わあ〜!嬉し〜の〜!」

「ベンデール博士」のメモ帳と色鉛筆のセットは、2つあった。

助手のションベの小さなぬいぐるみのキーホルダーも、2つあったっけ。

「よ…よかったねえ…」

なるちゃんがこんなに喜んでいるのだから、これでよかったんだよねえ…うん…


「あ〜!楽しかったあ〜!ご馳走様でした〜!」

パーティーがお開きになり、集まった全員で片付けをしてそれぞれの家路に着くと、今度は私と原さんの2人っきりのクリスマスになった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

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