第87話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
12月はホント早い。
気がつくともう真ん中。
休みの今日は、市内にある大型ショッピングモールへ。
私も原さんもボーナスが出たこともあって、少し浮かれている。
開店とほぼ同時に入店するも、既に人でいっぱい。
はぐれない様、手を繋いだ。
そんなさりげないことが、私には妙にキュンとなっちゃう。
1人ニヤニヤしながら、隣を歩く原さんの顔の表情を伺う。
原さんは通路の両側の綺麗なディスプレーや、品物に目を輝かさせている。
うふふ、うふふ。
半袖の季節には1人だったけれど、今は好きな人と一緒。
それが嬉しすぎて、余計キャッキャしてしまう。
「ねえ、ゆりちゃん、なるちゃんのプレゼントどうしようか?」
そうだった。
この間、なるちゃんが「ベンデール博士」の何かしらのグッズが欲しいと言っていたけれど、私達としてはそれはちょっとって思ってしまって。
「ベンデール博士」
子供達の間で爆発的な人気なんだろうけど…なんかプレゼントで買うのに抵抗がある。
「ん〜…正直なところ、私、ベンデール博士の物よりも、どっちかって言ったら、もっと、こう、可愛い物をあげたい…かなあ…」
「…ん〜、だよねえ…僕もね、可愛い動物の物とか、キャラクターの物をさ、あげたいって思ってるんだけど…ねえ…でも、なるちゃんが欲しがってるから…」
「そうだよねえ…」
原さんも思いは同じ。
モールの中をゆっくりあちこち歩き回り、2人でよ〜く相談しながらやっと購入。
私達からなるちゃんへのクリスマスプレゼントは、ふわふわで抱っこするのに丁度いいサイズの可愛らしいひつじのぬいぐるみと、可愛いリボンがついたもこもこの靴下、それと動物たちの可愛い絵の缶に入ったクッキーの詰め合わせにした。
クッキー缶は、ヒデさんの分とあゆみちゃん達の分、それと純喫茶「純」の大家さんの2人の分も買った。
その他に、私はさとみのプレゼントも購入。
「はあ…買ったねえ…じゃあ、次は…」
原さんはそう言うと、私の手を繋ぎながらニコニコ歩き出した。
「え?どこ行くの?」
「いいから、いいから」
人混みの中を原さんと手を繋いだまま、流される形でついて行くと、そこにジュエリーショップ。
「…え…?ここ?」
「そう!僕達の指輪、買うよ!」
「え〜〜〜〜〜っ!嘘っ!嘘っ!ちょっと待って!ちょっと待って!ごめん!待って!ごめん、雄大さん!心の準備させて…心の準備がまだだから…ちょっと…」
生まれて初めてだもんで、驚きすぎて動揺しちゃって、落ち着くまで結構時間がかかってしまった。
僕達の指輪…って…
デザインもさることながら、予算ともよ〜く相談して…丁度いい値段のお揃いの指輪を買ってもらった。
私のには、小さなダイヤモンドが嵌め込まれている。
ああ、なんて素敵で可愛いんだろう!
そんな指輪。
「本当にいいの?」
「え?いいに決まってるじゃない!」
原さんはニコニコしたまんま。
私は…私は…今まで男の人に指輪を買ってもらったことなんてないんだもん。
びっくりしちゃって、どうしたらいいのか…
気がつくと、目から勝手に涙が出ていた。
「…え?ゆりちゃん…なんで泣いて…」
「…だって…だって…嬉しいんだもん…嬉し過ぎて、私、どうしたらいいのか…わかんないんだもん…」
いきなり泣き出した私に動揺したのは、原さんだけじゃなかった。
私達の店員さんも、少し驚くも笑顔で対応して下さった。
本当はすぐ持ち帰りたいところだったけれど、指輪の内側にお互いのイニシャルと今年のクリスマスの日付を入れてもらうことに。
あ〜、なんて幸せなんだろう!
嬉し過ぎて、まだ涙を流しつつ、しばらくポ〜ッとなってしまった。
頼んだ指輪はクリスマスイブの仕事帰り、2人で取りに来ることに。
まさかこのタイミングで「結婚指輪」を買ってもらうと思っていなかったから、驚きすぎちゃって、正直戸惑った。
けれども、すぐにハッとした。
そしてすぐさま、原さんの手を引っ張って、靴屋さんに向かった。
少々強引な形で、原さんにトレーニングシューズを選んでもらって、それをクリスマスプレゼントの1つに加えた。
この靴とパジャマと手編みの帽子。
それが私から原さんへのクリスマスプレゼント。
えへへ。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




