第84話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
「え〜っ!結局、お茶碗とマグカップしか買えなかったんだあ…そんで、原さんと急遽、同棲って…なんかすごいね〜!怒涛だねえ…」
早番の帰り、原さんに送ってもらってさとみのお見舞いへ。
本当は原さんも一緒にって思ってたんだけど、さとみが「こんな姿だから、まだ会えない」と断ってきたのだ。
なので、原さんは「後で迎えに来るよ!」と、港の公園へトレーニングしに行った。
「そうだの…怒涛なの…それにしても、家具とか買うのって、嬉しくて楽しいはずなのに、地獄だね…楽しい地獄…どれもこれもね、全部おしゃれですんごく素敵なの!…だから、私も雄大さんも、迷って迷って、迷宮に迷い込んじゃって…」
「あはは…なんかわかる〜!そうだよねえ…ああいうところって、コーナーコーナーで、それぞれそのまんま生活できちゃう空間にしてあるからねえ…だけど、ゆりさ、お店に行く前、部屋の広さ測ったり、2人で家具とかの配置を図にしたりしていかなかったってのが不思議で…だって、普通、そういうの紙に書いたりするでしょ〜…」
さとみの言うのもごもっとも。
「だよねえ…なんか、でも、あの時、私も雄大さんもね、まっさらな気持ちでって考えてたの…まずは心を真っ白にして臨んで、ビビビッときたやつをフィーリングで選べば、まず間違いないって思ってたんだよねえ…」
「でも、沢山、ビビビときちゃったんだ」
「そうだの!見るやつ、見るやつ、ほぼ全部ビビビだったの…」
「そっかあ…あはははは」
病室の花瓶には、今日もお花が飾られている。
ヌーディストの彼の情熱が感じられて、ちょっぴり羨ましい気もする。
「あ〜、私ね、年末には退院できそうなの」
そう言えば、さとみ、もうだいぶ自分で起きたり、立ったり、歩けるようだ。
「良かったねえ」
「うん」
…で、彼のところにそのまんま行くそうだ。
「それはそうと…どう?原さんと一緒に暮らしてみて楽しいでしょ〜」
「えへへ…まあ…そうだねえ…あ、でも、自分から誘っておいてなんだけど、同棲となったらね、トイレとか色々さ、細かいことなんだけど、ちょっと心配だったんだよね…だけど…まあ、今のところ、大丈夫みたい…まだ、お互い遠慮みたいなのがあるからなのかなあ?…お互いの暮らし方に、無理して合わせるって感じはね、今のところ全然なくって…なんか、ずっと前からこうしてたって思っちゃうぐらい、すごく自然にやれてるから…」
「そっかあ…じゃあ、すぐに結婚しても、大丈夫だね!良かったね!」
「ありがとう」
さとみに報告しつつ、自分にも改めて教え込む形。
本当に、不思議なぐらい、原さんと一緒に暮らし始めたけれど、違和感は全く感じない。
きっと、まだ、数日だからかなあ?
そのうち、お互いの「粗」とか、綻びみたいなのがちょっとづつ出てきちゃうと思う。
それが理由で喧嘩になったり、喧嘩までじゃなくても、険悪な状況になっちゃうかもしれない。
だけど、今からそんなこと考えてもしょうがないものね。
その時になったら、その時考えればいいんだものね。
それより、まずは…家具だけじゃなく、家電もどうするか、2人でよく話し合わなくちゃね。
それと…クリスマスにプレゼントするパジャマ、早く縫っておいて良かったあ。
でも、帽子は…
一緒に暮らしてるから、こっそり編むのは難しいなあ…
さて、どうしようか?
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




