第83話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
迂闊に、軽い気持ちで行っちゃいけない場所ってあるんだね。
今日はつくづくそう思い知らされた。
前の休みに、新しい部屋へ引っ越しちゃうと言っていた原さん。
予定通り、今回の休みの朝早くから、あのマンションを出る運びに。
だもんで、前日、私の部屋に泊まった原さんと一緒に住んでいたあのマンションに到着すると、手伝いに来てくれた原さんの両親と叔父さん夫婦が待っていてくれた。
そんな訳で引っ越し開始!
…となったはいいのだけれど、持ち出す荷物は僅か。
「え?何?雄大、お前、持ってく荷物これだけ?」
「え?ああ、うん」
最後まで使っていた冷蔵庫や洗濯機、布団などは、予約していたリサイクル業者の方にすっかりお任せ。
買い取ってもらうものより、処分してもらう物の方が多かった。
前日の仕事帰り、原さんと2人で掃除しておいた新しい部屋に荷物を運び込むついでに、原さんのご両親と叔父さん夫婦は我々の新居を見て行ってくれた。
「やあ〜、いいなあ、ここ」とお父さん。
「ホント!素敵ねえ」とお母さん。
「海、見えるわ〜!」と叔父さん、叔母さん。
皆さんから褒められると、なんだか嬉しかった。
「はあ〜、案外早く終わったねえ。」
2人でもう一度、部屋全体を見る。
「広いねえ〜」
「ホント、がらんとしてる」
持ち込んだ申し訳程度の荷物は、部屋の端っこにちょこんと置いてあるだけ。
後はだだっ広いフローリングで、少し寂しい。
「したら、もう帰るかな…折角、張り切って来たけど、もう、俺らやることないからなあ」
お父さんは少しがっかりしていた。
「まあまあいいじゃない…それより…あなた達、これから新しい家具買いに行くんでしょ!いいの買えるといいわねえ」とお母さん。
なるちゃんハウスで、ご両親と叔父さん夫婦と別れた。
お父さん達一行は、原さんが教えた山の上の展望台に寄ると言っていた。
あの思い出の展望台。
「もうすぐお店開くんじゃない?」
「あ、ホントだ!じゃあ、ゆりちゃん、行こうか!」
2人共ワクワクしちゃって、部屋をどうしようか、何買おうかなんてはしゃいじゃった。
到着した大型インテリアショップの店内に入った途端から、目の前いっぱいに広がる素敵でキュンとするものに、で出しからやられてしまった。
店内のあちこちに「こんなお部屋はいかがですか?」と提案されたインテリアの数々。
私も原さんも目移りしちゃって、大変大変!
ナチュラル系、北欧系、和風、ヨーロッパのお城の様な感じ、カントリー系、オールドアメリカン系、アジアン系、ハワイアン系などなど、見るもの見るもの、全て素晴らしすぎて。
「あ〜、こんな感じいいねえ!」だの、「こっちの雰囲気も素敵!」だの、インテリアにこだわりがない私達は、どうしたらいいのか迷いに迷って、そして悩んだ。
「…雄大さんはどんな感じにしたい?」
「ゆりちゃんこそ、どういう風にしたい?」
こんな会話が永遠に続きそうだった。
結局、約5時間、店内を見て回ったけれど、何も決められず。
2人では埒が明かないとなり、やむなく店員さんに助けを求めると、「お部屋のサイズはどういった…」なんて逆に聞かれてしまった。
「あ…測ってない」
「…そうだったね…どうしよう…」
「…そうだね…ん〜………じゃあさ…また次回、仕切り直しと言うことで…いいかい?ゆりちゃん」
私も原さんも迷いすぎて頭も体も疲れ果てた。
それでも、お揃いのお茶碗とマグカップは買った。
帰りの車内で…
「どうしよう…もう引っ越しちゃったけど…布団とかないや…」と原さんが困った顔をしている。
「…ん〜…じゃあ……雄大さんが嫌じゃなかったら…うちに来る?」
そう提案すると、原さんはすぐさま「宜しくお願いします!」と、まだ動き出さない車の中で、勢いよく頭を下げると、ハンドルにゴンッと激しく頭をぶつけた。
「イタタタタタタ」
「大丈夫?雄大さん…ぷっ…ぷふふふふふふ…ごめんなさい…吹き出しちゃった…」
「ううん…イタタタ、ンハハハハ…」
2人で大笑い。
そんな訳で、本格的に引っ越す前に、原さんと同棲することになってしまった。
それにしてもヤバい、インテリアショップ。
見るもの全てが素敵って、何?
なんなのよ〜!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




