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第82話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

早番の土曜日の帰り、「なるちゃんハウス」を見せてもらいに、原さんと2人で寄った。

前はあゆみちゃんとだったけれど、今回は一緒に暮らす原さんと。

だもんで、行く前から妙にテンションが上がった。

「こんばんは〜!」

到着したそこは、前よりだいぶ明るい印象。

「やあ、久しぶりだねえ…ささ、上がって上がって!」

なるちゃんパパの出迎えで、私達は暗くて冷えた外から暖かい室内へ。

「あ…玄関のここ…違う部屋になったんですねえ」

前回来た時は玄関を入ってすぐ横の小部屋は下駄箱部屋で、ここで靴からスリッパに履き替えたけれど、今は飲み物の自動販売機が数台置かれていた。

なので、靴は脱がず、土足で建物に入る形になった。

床も階段も壁も天井も、すっかり新しく綺麗になっている。

「わあ〜!こういう感じなんだあ」

私も雄大さんも、ここに来たのは2回目。

だもんで、前回の様子をちゃんと覚えている。

食堂はそのまま食堂としてリフォームし、純喫茶「純」のお二人と、なるちゃんママのミズエさんで、来年の春頃から新しく「カフェ」として営業を開始するそうだ。

「ゆりちゃ〜ん!原く〜ん!いらっしゃ〜い!」

食堂の大きな部屋から、ミズエさんとなるちゃんがお揃いの可愛いエプロン姿でお出迎えしてくれた。

原さんと2人、案内された食堂で、温かい紅茶とレモンのシフォンケーキをいただいた。

「わっ!これ、美味しい〜!」

爽やかなレモンの風味のシフォン部分と、ほんのり甘酸っぱいヨーグルト風味の生クリームが絶妙な美味しさ。

「でしょ〜!ママが作ったんだよ〜!なるもね、レモン乗せるのお手伝いしたの!えへへ」

なるちゃんは顔を赤らめて、照れながら教えてくれた。

「え〜っ!そうなの〜!なるちゃん、お手伝いしたんだあ、偉いねえ!」

「ホント!なるちゃん、すごいねえ!」

私と原さんで驚きながら褒めると、なるちゃん、もっと照れてミズエさんの後ろに隠れちゃった。

可愛い!

そして、このレモン風味のシフォンケーキは、新しいカフェのメニューになるそうだ。

あまりにも美味しすぎるので、私も原さんももう1切れおかわりをいただいた。

「まだ、1階のお風呂場とか、洗濯室なんかは、これからどうするか考え中なんだけど…部屋はすっかり仕上がってるから」

なるちゃんパパについて行き、借りる予定の2階の海側の部屋を見せてもらった。

「わあ〜!」

広々としたワンルーム。

天井も高いので、余計に広く見える様な気がした。

壁に沿った緩やかな階段を上ると、そこに6畳ぐらいのロフト。

ロフトにも窓があり、そこから街の灯りや港が見える。

海側の大きな窓は2つあり、外には広めのバルコニー。

両方の窓から出入りできるようになっている。

これなら、洗濯物も布団も悠々干せるし、プランターで家庭菜園とか、小さなテーブルと椅子を設置したら、ここでご飯を食べたりできる。

そして、横長の窓のところに台所。

これなら料理中、窓から海が眺められるし、換気もしやすそう。

脱衣所とお風呂はよくある普通サイズで、脱衣所の側にすぐトイレがあるのが便利でいいなあと思った。

真新しい匂いでいっぱいのこの部屋で、来年から雄大さんと一緒に暮らす。

そう思うと、急に嬉し恥ずかしで、1人きゃあきゃあ騒いでしまった。

「わあ、なんか嬉しいねえ!」

「そうだねえ、早く住みたいねえ」

私も原さんも同じ気持ちだった。

「あ…いつでもいいんだよ」となるちゃんパパ。

「へ?」

原さんとハモった。

「ああ、ここだけじゃなくて、アパート部分はもういつでも引っ越してきてもらって、大丈夫だから」

「え?そ、そうなんですか?」

「そうだの〜!」と今度はなるちゃん。

「もうね、ガスも水道も電気も全部大丈夫だから、2人の気持ちが合えばさ、いつ越してきても大丈夫だから」

なるちゃんパパの言葉の後、原さんが驚いた様子で続けた。

「あ…じゃ…あの…次の休みとかでも、引っ越して来て大丈夫ですかねえ?」

え?え?え?え?次の休みにここに引っ越す?え?もう?私、何も引っ越す準備してないけど…

「え?雄大さん…あの…」

「ああ、ごめんね、ゆりちゃん、言ってなかったっけ?」

「うん、何も聞いてないよ…」

「ごめんごめん、実はさ、純の常連の不動産屋の松崎さん、ほら、お腹がぽこんと丸く出てて、頭がバーコードみたいになってる…」

「あ〜!あの!」

私は「純」の店内を思い出し、そこにいつもじゃないけれど、たまに会うそういうおじさんを思い出した。

「そうそう、思い出した?あの松崎さんに今住んでるマンションのこと相談してたんだけどね…」

まだたった1ヶ月ぐらいの話なのだが、原さんはマンションの売却を松崎さんに相談すると、すぐさま動いてくれたそうだ。

そこでまずは貯金から残ってたマンションのローンを完済すると、駅に近いこともあって、早い段階で買い手がついたとのこと。

原さんが思っていたよりも、ずっと高い値で売れたそうだ。

それで、松崎さんから「できれば年内にでも…」と、マンションの部屋の明け渡しを促されていて、今、なるちゃんパパから「いつでも入れるよ!」と教えてもらったから、次の休みにでもと思ったらしい。

「…先月の中頃だったか、元カノがお金返してくれたんで…それと、マンション売ったから…いや、それにしても松崎さん、凄腕だわあ…え〜!こんなに高く売れたの〜?って、びっくりしちゃって…」

興奮気味の原さん。

よかったね!

よかったけど…すぐ引っ越せるの?

「…もうね、ベッドとか、結構、家財道具売っちゃったんだよね…鍋とか細かい物はまだあるし、使ってるけど…だから、そうだねえ、今、うちで大きい物と言えば、冷蔵庫と洗濯機と後、布団ぐらいしかなくって…」

ええ〜〜〜〜っ!そうなの〜!

引っ越してから新しく色々買い揃える方向みたい。

「…で、そうそう、ゆりちゃん、僕らの部屋、どういう感じにしたいかとか、教えてもらっていい?そんでさ、一緒に買いに行こうよ!」

「え?え?え?え?ちょっと待って!ちょっと待って!話が早すぎるし、雄大さんはどういう感じの部屋にしたいとか、希望はないの?」

「え!…ん〜…特にないけど…」

「え?そうなの?」

「うん…だから、ここに引っ越す時、ゆりちゃんに全部任せようって思ってて…あ、じゃあ、次の休みに引っ越すのは無理かあ?いや、とりあえず、今ある物だけ全部持って来ちゃって、部屋を開け渡すのもありかあ…ん〜…」

え?嘘?嘘〜!

私も原さんに全部任せようって思ってたんですけど〜!

そんで、原さん、もうここに引っ越すの〜?

え〜〜〜〜〜っ!

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

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