第80話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。今回は以前に書いて投稿しお話「僕には案外深い悩み」に登場した曲や、「毎度の2人」に登場した曲などが出てきます。
あんなに緊張していた原さんのご家族への挨拶は、意外とあっさり済んでしまった。
その後、大きなリビングのテーブルの上に、数々のご馳走や飲み物が並んだ。
もちろん、私もお手伝いしようと思ったのだけれど、やっぱりまだ「初めて」なのでお客さん扱いという訳でもないけれど、子供達の相手を仰せつかった。
赤ちゃんを抱っこするなんて、何年ぶりなんだろう。
私の腕の中で静かに眠る潮君と、横でお話ししながらお絵描きしている雫ちゃん。
なんとも言えない幸せな時間。
リビングの隣の仏間で子供達との時間を堪能しつつ、リビングで忙しなく動いている原さんと、その家族を眺めた。
うふふ、うふふ。
家族と色々話しながら、せっせと手伝う原さんの姿が新鮮だった。
そうしている間に、近所に住んでいる原さんの親戚の叔父さん夫婦や、従兄弟家族もやってきて、総勢14名となった。
緊張が混ざる笑顔で挨拶を交わすと、食事会が始まった。
お母さんと兄嫁さんが作ったお料理も、親戚の方々が持って来たお寿司やピザなど、美味しいものがいっぱい。
お酌したり、お酌されたりで、縁もたけなわとなってきたタイミングで、お兄さんがカラオケの機材をどこかから出してきたかと思ったら、姿が見えなくなっていたお父さんが派手な衣装で登場。
えっ?えっ?えっ?えっ?お父さん?
イントロが流れてくると、原さんが耳元で「ごめんね、ゆりちゃん、驚かせちゃったね…実はさ…」まで聞き取れたけれど、そこから何と言っていたのか、聞き取れないほど大きな声でお父さんが歌い始めた。
波川ケンイチの「双子座の女」(「毎度の2人」にも出てきます。)
あれ?なんか…
そう思ったタイミングで、また原さんが耳元で謝ってきた。
「ごめんね、ゆりちゃん…実はうちの父さん…モノマネ好きで…」
「え?」
どうやら原さんのお父さん、芸名を「なによ!ケンイチ」として、アマチュアながらもモノマネであちこちのお祭りや、デイサービスなどでちょっとした「歌謡ショー」をやっているそうだ。
あんまり…似てない…
私がそう感じた途端、やっぱり原さんが耳元で「いや、本当、ごめんね…全然似てないでしょ…」と囁いた。
確かに…申し訳ないけど、似てないね。
人前で披露するほどクオリティが高くないから…
お父さんの歌が終わると、今度はお兄さんの出番。
ニャンズナのヴォーカル「イズム」の真似で、「とろけちゃう愛」(これも「毎度の2人」に出てきます。そちらも読んで頂けたら、嬉しいです。宜しくお願い致します。)を熱唱。
…これは…似てる。
そう思った途端、やっぱり原さんが耳元で「これは案外似てるでしょ」と。
「ええ、すんごくそっくり!」
思いがけず感激しちゃった。
その後も、お母さんと兄嫁さん、親戚の女性陣による「ノボリ坂37チーム」の「そうでも騎士」や、「ボーイズ!ドンと恋!」(これは「僕には案外深い悩み」に出てきます。)などなど、モノマネ混じりの歌合戦が続いた。
私と原さんは2人で、ぷりんちょの「チューしてける?」を振り付きで歌って踊った。
ラストはそこにいる大人全員で、北山口たかしとクール&ドライの大ヒット曲「女のブルース3丁目」で歌い納めとなった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




