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第76話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

もうすぐ12月。

原さんと勤務が全て一緒だから、なんだか心躍る。

そんでもって、12月最初の休みの日、な、なんと!原さんの実家へ結婚の挨拶に行くことになった。

きゃあ〜!どうしよう!

原さんのご両親とお兄さんご家族、それに近くに住んでいると言う親戚の方々も集まるって。

ぎゃあ〜!何着て行ったらいいの?

どんな顔して出向けばいいの?

誰か教えて〜!

教えて〜!詳しい人〜!

と言うことで、お昼休みの休憩室、毎度のメンバーで会議となった。

高島さんも水島さんも、そういうことは経験済み。

とはいえ、それぞれ私とは全く違う状況だから、参考になるかどうかはわからない。

でも、お話は伺いたい。

「う〜ん…そうねえ…私の時は…え〜と、どうだったかなあ?高島さんは?どうでした?」と水島さん。

「ん〜…私なんて、もう古すぎて古すぎて、申し訳ないけどゆりちゃんの参考になるかどうか…ん〜…」なんて、高島さん。

「いやいや、そこをなんとかお願いしますよ〜!だって、生まれて初めてなんですよ〜!そういうの〜!ドラマや映画やコントなんかではちょいちょい見かけますけど…実際は…ねえ」

「まあ、そうだよねえ…うん…え〜とね…私の時はねえ、デートで何回も着ちゃってたワンピースじゃなくて、確か母がね、きちんとした場だからって、わざわざ一緒にデパートで買ってもらった…んじゃなかったかなあ…薄いピンクの襟なしのスーツ…後、そうそう、それに合わせた靴とバッグも新調してね…それで確か、パパの実家に行く当日は、朝早くから起こされて、母と仲良くしてた近所の美容院で髪をセットしてもらってさ…今考えると、ちょっとやりすぎだよねえ…なにもそこまでしなくてもって、今なら言えるよ…それで、パパが車で迎えに来てくれて…2人で一緒に挨拶したんだよ〜…その後、あちらの実家でお義母さんの手料理をいただいて…それがすんごく美味しかったんだけどね…私、ものすごく緊張してたから、食べ始めてすぐ、目がぐるぐる回って倒れちゃって…それからは…まあ、なんか上手くいったみたいだよ…全然覚えてないけどね…パパとか、お義父さんお義母さんが上手いことやってくれたんだってのはわかるけどね…そんなんかなあ…私は…」

水島さん、そんなに気合いを入れて準備してったんだあ。

どうしよう、私、着ていく服とかどうしよう。

高島さんは普通のデートの最中、旦那さんが川に落ちて、着替えしに実家に戻ったついでに、「俺、この人と結婚するから」などといきなり紹介されたそうで…

「なんかね…どさくさに紛れた形だったから…私も心の準備とかしてなかったからびっくりしちゃって…それまで2人でなんとなく、いつか結婚したいねえぐらいの話しかしてなかったから…まだきちんとしたプロポーズもされてないうちに、俺、この人と結婚するからだもの…ねえ…まあ、いいんだけどね…今もこうして父さんと一緒にいるんだからさ…ごめんね、全然参考にならなかったでしょ?」と高島さん。

確かに参考にはならないものの、なんて可愛らしいシチュエーションなんだと感動しちゃった。

2人に「結婚前の挨拶」の話が聞けて、本当に良かった。

さて、私はどうしようか?

後で原さんに相談しちゃおうっと。

浮かれた気分で仕事場へ。

もうすぐ3時からのタイムセールという最中さなか、忙しく動いている視線の端に原さんの姿。

嬉しくてつい手が止まってしまった。

いけない!仕事!仕事!なんて慌てていると、1人の女の人が真っ直ぐ原さんに向かって歩いて行くのが見えた。

わあ、素敵な人〜!

思わず心の声で呟いてしまうほど、女優さんかモデルさんの様に見える、ほっそりとした身体の美しい女性。

その人に気づいた原さん、一体どうしたの?と聞きたいぐらい、今まで一度だって見たことない怖い表情に変わった。

えっ?雄大さん?どしたの?

女性が何か話しかけている様だが、ここからでは聞こえない。

え?何?何話してるの?

怖い顔の原さんが、「しっしっ」みたいなジェスチャーをしている。

それに対して、女性は両手に何かを持っていて、それを必死に渡そうとしている。

え〜?なにしてるの?

そんでもって、いつも紳士的な原さんのあんな態度。

嘘でしょ?どうしちゃったの?

私が知ってる原さんじゃない様に見えた。

「あ〜、ゆりちゃん!急いで!頼むよ〜!」

不意に高島さんに声をかけられ、ハッと我に返った。

そして、タイムセールが始まった。

3時からの目玉は、「柔らか豚ヒレカツ」と、「炙り焼きチキン」、「太巻き寿司」「3種のサラダ」などなど、夕方だからおかず系が人気だ。

並べても並べても飛ぶように売れていく。

それが堪らなく楽しいはずなのに…今は心が曇り模様。

持ち場に戻って、何事もなかったかの様に振る舞う、原さんが気になって仕方がなかった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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