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第67話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

「じゃ、僕はこれで…失礼します…ゆりちゃん…また、明日」

そう言うと、原さんは爽やかなまま帰って行った。

「雄大さん…とても良い方ね…」

「純」でのパーティーの後、そのまま両親と共に私の部屋に戻ると、客用布団で父はすぐに高いびきをかいて寝てしまった。

なので、母と2人、ゆっくり話をした。

「うん…そうでしょ…雄大さん…すんごくいい人なんだあ…」

「わかるなあ…まだ会ったばっかりだったけど、誠実さが滲み出て…きっとゆりのこと、大事に大事にしてくれるって思った…」

母の言葉が胸に沁みて、自然と涙が溢れてしまった。

「…ねえ、お母さん…」

「ん?」

「…その…お父さんとさ、結婚するって決めた時ね、不安とかなかったの?」

「え?不安?…ん〜…ありまくり…だったかなあ…」

「へ〜え、やっぱりそうなんだあ…」

「だって、お父さんとは恋愛結婚だけど…あの時は、お父さんが本当はどういう人で、どういう考え方をする人なんだとか、ほとんどわかんなかったから…そら不安だわさ…」

「…だよねえ…」

「…ん〜…だけど、実際、結婚してみて、2人で暮らし始めたらね、驚きの連続で…何だか毎日面白かったのよね…お父さんって、こういう風なお風呂の入り方するんだとか、ご飯はデートで一緒に食べてたから、何となく想像はついてたけど…朝起きてからのやることの順番とか、トイレの使い方とか…まあ、色々…ちょっと戸惑う感じだったかもねえ…だって、男の人と一緒に暮らしたことなかったから…ははは…」

「…そっかあ…」

「でも…なんだろう…毎朝お父さんを見送った後、全然慣れてない家事を一生懸命こなしたり、晩御飯、何食べたいかなあって考えたり…上手く言えないけど…お母さんね、自分が誰かの奥さんになるなんて思ってなかったから…だから、なんか、こう、嬉しかったんだよね…奥さんやるのが…まあ、今の時代にはそぐわない考え方かもしれないんだけどね…結婚する前に、すっぱり仕事辞めちゃって、専業主婦になったから…まあ、お母さんはさ、昔の人間だから…主婦を専業でできる悦びみたいなのが、本当に嬉しかったんだよねえ…いや、結婚だけが女の幸せじゃないって十分わかってるんだけどね…わかった上でさ…お母さんは奥さんになれた悦びってのか、お父さんと一緒になれた悦びをさ、噛みしめてる訳さ…まあ、今はお互い文句ブ〜ブ〜だけどね…でも、お父さんがいなかったら、寂しいもの…」

「そうなんだあ…奥さんになる悦び…ねえ」

「うん…やっぱりさ、一度きりの人生だから…一回ぐらい結婚しておいてもいいかなあって…失敗したとしても、それはそれって…そういう感覚でいいんじゃない?一度きりの自分の人生なんだもん…だから、お母さん、ゆりとまりとみつおを産めて、育てられたのも…大変だったけど…自分の人としての経験値が上がった気がしてね…あ〜、自分も子供が産めた…毎月必ず訪れるしんどい生理も、この為を思えば…って感じでね…ちゃんと子宮も使ったって言うのも嬉しくて、なんとなく誇らしくて…だけど、世の中には子供を授かりたくても授かれない方も大勢いることを思うとね…とてつもなく切なくて哀しくて、辛すぎて打ちひしがれちゃうよね…だからお母さんは、あんた達を授かれたことに感謝しかないのよ…奇跡って思ってる…だって、もしかしたら、お母さんだって、そちら側の人だったかもしれないんだもの…だから、ありがたくて…って、ごめん、何の話してたんだっけ?」

途中から脱線して、話している張本人もどこに着地したらいいのか迷ってしまった様だけど…

こんな風に母とじっくり話せて、本当に良かった。

母だけど、女性の先輩で、人生の先輩だから。

色んな経験をして、色んな壁にぶち当たって…だけど、それをお父さんと一緒に必死で乗り越えて来たって言う自負があるから…だから、お母さんの話は為になるなあと感じた。

そして、私も母と同じとはいくはずはないけれど、私なりに雄大さんと2人で一緒に色んなことを乗り越えていくんだと、心の中で固く決心したのだった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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