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第65話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

「へ〜え、そう、よかったじゃない!」

仕事帰りにさとみのところへ。

昨日の夜からここに来るまでの出来事を、順を追って丁寧に説明したばかり。

あまりにも衝撃的すぎて、仕事中も気持ちがふわふわしちゃったことなども話した。

「…じゃあ、原さん、今、住んでるとこ、前から手放そうと思ってたんだねえ…やっぱりそうだよね…結婚の約束してた元カノと同棲してた部屋って…なんか縁起悪そうだもんね…いっぱいドロドロした念とか粘りついてそうだもんねえ…」

「…うん…」

いや、ごめん、さとみ、違うのよ!違うの!

私が今1番気になってるってのか、私の脳を支配してるのはその話じゃないのよ!

ぶつかり稽古の方!

そっちの話なのよ!

などとは言えず…

心がモヤモヤ。

言いたい気持ちは強まるばかりだけど、嬉し恥ずかしでちょい自慢絡みもあるから…

原さんとの夜の話はそれっきり。

これでいいんだってわかってるんだけどね。

だって、原さんと付き合っていくってことは、自然とそういうことも多くなるだろうから、いちいち喜んで報告するのもおかしいとわかってるから。

もう、言えない。

言うとしたら、原さん本人としか、この話題は口にできない。

「…じゃあさ…なるちゃんとこの部屋で、彼と新婚生活って感じなんだね」

「へ?」

「え、だって…原さんも、なるちゃんハウスに引っ越してくるんでしょ?だったら、一緒に暮らすんじゃないの?それとも…別々の部屋借りてってこと?」

「あ…や…」

言葉に詰まった。

そこまで具体的なことを考えてもみなかった。

だけど…そうだよね…さとみの言う通りだよね…

あ…どうしよう…

ふと、今朝のことを思い出す。

たった一晩のことだけど、朝、原さんと一緒に向かい合わせで朝食をとった時、なんとなく「あ、この人となら一緒に暮らせる」って思ったんだった。

なんの根拠もないけれど、ただ漠然と「この人となら」って感じたんだった。

だったら、私、原さんと結婚しても大丈夫かもしれない。

いや、むしろ、結婚したい。

ひょっとして上手くいかなくなるかもしれないけれど、そんな起こるかどうかもわからない未来の心配を、今したところで…ねえ。

一歩を踏み出す勇気が欲しかっただけなのかも。

失敗を怖がって、逃げてただけなのかも。

今の生活に慣れきっちゃって、これ以上の変化が嫌だって思っちゃってたかも。

でも…でも…どうなるか想像できない怖さがあるけれど、原さんと一緒に一歩づつ前に進んで行けたなら…

そう思ったら、急にいてもたってもいられなくなった。

「ごめん!さとみ!また来るね!そんで、ありがとね!いっつも!大好き!おやすみ!」

それだけ言って、病院を出た。

病院前からタクシーに乗り込み、原さんの住所を告げた。

電話でもメールでもいいんだろうけど、今は、直接会いたい。

会って言いたい。

原さんに会って、私のこの気持ちを伝えたい。

伝えたいの。

ピンポーン。

マンションの出入り口で、原さんの部屋のインターフォンを鳴らした。

「あの、ごめんなさい、こんな時間に」

突然の訪問なのに、原さんは快く部屋に入れてくれた。

「どうしたの?ゆりちゃん」

お風呂上がりでまだ濡れたままの髪をタオルで乾かしながらの原さんに、勢いよく抱きついた。

そして、そのまま静かに宣言。

「私をお嫁さんにして下さい」

「え?」

多分、びっくりした顔をしているんだろうけど、今、彼に抱きついちゃっている私には、その顔を見ることはできないのだった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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