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第60話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

気持ちはあっても、どうにもできないことって多々あるなあと実感。

なるちゃん達の新しい家のリノベーションのお手伝いをしたい気持ちは高まるばかりだけれど、なかなかどうして。

私はまだ、一度も手伝えずにいる。

「それは…まあ、しょうがないんじゃないかなあ…そりゃ、僕だって少しでも手伝えたらって思ってはいるけど…仕事帰りは遅すぎるし…休みは休みで手伝いに行ける時は行けるけど…なかなか…ねえ…」

原さんも私ももどかしい気持ちで、なかなか手伝えない自分が不甲斐なく思えたり、社交辞令人間、口だけ人間の様に思えて悲しくなったり、腹が立ったり、まあ色々なのだ。

それでも、原さんと気持ちが一緒っていうのが、不謹慎かもしれないけれど、なんとなく嬉しい。

そんな些細なことで、原さんと自分の相性がいいことを実感。

他のことは相性がいいかどうか、今のところまだわからない部分が多いけど。

土日が忙しかった分、お客さんの数が割と少ない月曜日、なるちゃん達の保育園児が再び我がスーパーを訪れた。

今回は来月の行われる教会のクリスマス礼拝のポスターを、あちこちの協力していただけるお店などに配るお散歩のようだ。

前回の教会バザーのポスターの時と同じく、ちょっとした「式」もどきで、店長が不在の今日は、原さんが店長の代わりに代表として園児からポスターを受けとっていた。

ああ、可愛い。

なるちゃん、またまた仲良しの星矢くんと手を繋いで、反対側の手をこちらに笑顔で振ってくれた。

ポスターの絵は、ヒデさんが描いた絵。

星が瞬く夜空の下、坂の途中教会の玄関の横に飾られた大きなもみの木に、沢山の可愛らしいオーナメントがぶら下がっていて、手前にあるろうそくのほんわかした灯りにちょこんとした猫。

ああ、なんて素敵なんだろう。

前に言ってたミシェル牧師に頼まれていたと言うポスターの絵は、こういうのだったんだあ。

こんな素敵なポスターが、この街の至る所に貼り出されるなんて。

なんだか自分のことの様に嬉しい。

そう言えば、最近ヒデさんの顔を見ていない。

帰宅すると必ず部屋に灯りがついているところをみると、年明け早々フランスへ旅立つ準備で忙しいのだろう。

今抱えている仕事をしながら、家財道具一式は持って行かないから処分するそうだけど、向こうに立つギリギリまで使う物も多いだろうから…

引越しって大変だよね。

私がこのアパートに越して来た時もそうだった、そうだった。

って、そんなしみじみしてなんかいられなかった。

原さんからは「結婚しませんか?」と優しいプロポーズをされて、はっきりとした「はい」ではなく、ふんわりその方向でって感じでいるけれど、私、どうしたいんだろう?

自分のことなのに、自分では答えが出せない。

気持ちは焦るけれど一方では、まだ春まで大分あるからなんてどこか余裕をぶっこいている。

ああ、どうしたもんかなあ。

このまま、原さんと結婚しちゃう?

…ん〜…それはなんだか、まだ早い様な…

どうする私。

どうしたいんだ、私。

仕事中、ついぼんやり考えの沼にハマってしまった。


次の土曜日、ようやくお休みということで、あゆみちゃんと2人、なるちゃん達の新しい家のお手伝いをしに朝早くから出かけた。

到着したそこは、道路から入っていくとすぐ、楕円形の広いスペースになっており、そこに作業する車数台と、なるちゃんパパの黒い軽のワンボックスが停まっていた。

「なるちゃんパパさん、大手ゼネコンに勤めていたそうだけど、なんで軽自動車なんですかねえ?」

「あ〜…なんかね、確か、軽自動車が好きって言ってたと思ったよ…」

いつだったか、純喫茶「純」でなるちゃん家族に会った時、パパさんがそう言っていたのを思い出した。

パパさん曰く、軽自動車は小回りが効いて、スーパーなどの駐車場では出入り口付近に「軽」と書かれた駐車スペースが確保されている場合が多いから、そういう場所に買い物に行く際はとても楽だし、後、自動車税が安いからとか、維持費が安いからなど、沢山の利点があるそうだ。

「あ、な〜るほど〜!」

私と同じく車を持っていないあゆみちゃんは、目から鱗といった感じでものすごく感動していた。

早速、2人で建物の中へ。

建物よりも幾らか出っ張った玄関は観音開きで、中に入るとすぐもう一つのガラスの観音開きの扉がある。

二重扉にすることで外からの冷たい空気が暖かい部屋の中へ入らず、その逆もまた然り。

冬が長く、雪が沢山積もるこの辺りならではの工夫が施されている。

二つ目の扉の内側は少し広いホールになっており、右横にある小さな部屋へ進み、そこで靴を脱いで壁に備え付けられた棚にしまって、用意されたスリッパで再びホールに戻る仕組み。

「わあ〜!」

ホールの天井には、シーリングファンライトがぶら下がって、ぐるぐる回るファンの緩やかな風と、黄色みがかったライトの灯りがなんとも言えない素敵さ。

玄関から入って正面の少し高い目線の先には、美しい花々が描かれたステンドグラス。

外からのお日様の光が通ると、ガラス一つ一つのはっきりとした色合いが鮮やか。

奥の壁には大きな年代物の振り子時計と、丸い大きなテーブル。

その上には、リノベーション工事に使う道具類や材料が乗っかっていた。

ホールの右側の壁づたいに、チョコレート色の立派な階段が上の階まで続いている。

その階段の先の手すりに沿って左右に廊下がある様だ。

あゆみちゃんと2人、ホールで見惚れていると、靴箱の部屋側の廊下からミズエさんとなるちゃん。

「いらっしゃ〜い!2人とも今日はありがとうねえ」

「ゆりちゃん、あゆみちゃん、こっちこっち〜!なるが案内してあげる〜!」

笑顔いっぱいのミズエさんは、先週、やっと歯医者通いが終わったそうだ。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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