第59話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
「で?どうだったの?お泊まり会は…」
早番の後、さとみのお見舞いに。
入院中、差し入れに何かおやつでもと思い、「何か食べたいもの言って!買ってくるから」と言ったけれど、さとみからは「いや、そういうの、別にいいかなあ…全然動いてないから、あんまお腹空かないし、それに、これを機に少し痩せられたらいいなって思ってるから」とのこと。
更に言うと、「ここの病院、なんか知らないけど、ご飯が美味しいんだよねえ…味は薄味なんだけど、それが食材本来の美味しさを引き出してるって感じで」なんて、まるで食レポのプロの様なことも。
「え…ああ、お泊まり会ね、すんごく楽しかったんだあ〜」
「へ〜え、良かったねえ」
「うん、初日はね、雄大さんとキャンプに行ってね」
「ほ〜う…で?」
「2人共初めてだから、行きに買い物して、色々どっさり買ってね、その後、予約してたオートキャンプ場でテントの設営とか、火おこしとかちょっと手間取っちゃったけど、なんとか形にできて…そんで、バーベキューして、マシュマロ焼いたりしてさ、夜は満天の星空を2人で眺めながら、あったかいコーヒー飲んで…楽しかったよ〜!思い出すと、ニヤニヤしちゃう、それぐらいロマンチックで、素敵な思い出になったんだよねえ〜、んふふ」
「あ〜、そう…いや、それは良かったんだけど…ごめんね、野暮なこと聞いちゃうけど…肝心のぶつかり稽古は?できたの?」
「え?…ううん、2人共すんごく疲れちゃったから、テントで寝袋でそれぞれ寝ちゃったよ…私も雄大さんも爆睡…慣れないことしたからなのかねえ…あれ?なんかダメだった?」
「…い〜や、ダメじゃないけど…ん〜…あ、そだ!彼の家は?次の日行ったんでしょ?」
「ああ、行ったよ〜!朝起きてからね、キャンプ場の近くにサウナ体験ができる施設あってさ、そこ男女一緒に入れるとこでね、そこの水風呂がまたすんごく冷たいんだけど、気持ち良くってさ〜…日頃の疲れも吹っ飛ぶ感じっての?で、その後、雄大さんの家に行って、あ、雄大さんの家って、駅の向こう側にある中古のマンションでねって、それはどうでもいいか…ははは、で、そうそう、そうでした、2人ですんごく怖いホラー映画と、サスペンス続けて観ちゃって…ホラーは怖すぎてちょっと目え閉じちゃってて、観てない場面もいっぱいなんだけどね…サスペンスの方も違う怖さで、雄大さんと犯人の予想したりして…あ、で、雄大さん、ピザとってくれたから、2人で映画観ながら、ピザ食べて美味しかった〜」
「…え?それだけ?」
「うん…それだけだけど?」
「え?え?映画観た後は?」
「ん?次の日仕事だから、夕方に送ってもらったけど…あ、帰り、ファミレスで晩御飯食べちゃった、えへへ…久しぶりだったから、びっくりしちゃった…今、ロボットが配膳するんだねえ…」
「あ…へ〜え…そうなんだあ…ふ〜ん…まあ、ゆりがそれでいいなら、いいさ」
さとみの何か含みのある言い方が少し気になったけれど、私達は私達でゆっくりお互いを知っていけばいいんだもの。
焦って急いで体を合わせるのもいいんだろうけど、私達は今、こういう感じがベストだから。
中学生みたいな恋愛でも、いいんだもん。
それでも今は十分なんだもん。
それからしばらく経ったある日、帰りが一緒の原さんと2人で「純」を訪れると、そこにはいつものメンバーが勢揃い。
こんな風にみんなが揃うのは、なんだか久しぶりだった。
「え!家、買ったんですか?」
「そうなんだよねえ」
なるちゃんのパパさん、退職金で坂の途中教会の隣にある古い洋館を購入したそうだ。
昔、教会にいたシスターが数人で暮らしていたと言うその洋館は、私がこのアパートに来る大分前から空き家になっていたらしい。
「結構、安かったのはいいんだけど、やっぱり古いからさ、リノベーションしなくちゃ、とてもじゃないけど、住めないんだよね」
だもんで、溜まっていた有給休暇を消化している今、少しづつ自分達であちこち直しているとのこと。
「なるもね、お手伝いしてるの」となるちゃん。
「へえ、そうなんだあ…」
たまにテレビなんかでやってる「古民家再生」ものは、大好きで観ているけれど、実際にやってる人がこんなに近くにいたなんて。
正直、驚いてしまった。
色々話が進むうちに、手伝いに行ける時は手伝うと言う運びになった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




