第57話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
交際期間が短すぎると思う。
私と原さんも、あゆみちゃんと赤瀬川君も。
だけど、どうなんだろう?
やっぱりお互いのことをもっと知ってからの方がいいんだろうか?
それとも、勢いに任せて、そのまま突っ走っちゃうのもありなんだろうか?
答えが今すぐ出せたらいいんだろうけど、こればっかりはそういう訳にもいかない。
自分の鼻をよ〜く利かせて、自分の心に正直に従えばいい。
わかっちゃいるけど、こういうのは蓋を開けてみないとわからない。
そうだ!原さんにメールじゃなしに、直接どういう意味か聞けばいいんだ。
な〜んだ、簡単!簡単!
…でも、ないか。
お互い「好き」って確認しあうまで、結構時間がかかったものね。
なかなか「好き」って告白する勇気が出なかったから。
わざとじゃないのに、焦らして焦らして。
原さん、なかなかの焦らし王だから…って、訳でもないか。
「一緒に暮らさない?」は早かったものね。
色々考えなくちゃならないことがいっぱいで忘れてたけど、私、まだ原さんの家に行ったことないや。
私の部屋に原さんが来てくれたあのシチュエーションは、全く思い描いていたものと違ってしまった。
本当ならウキウキ、ドキドキしながら、「純」で習ったナポリタンを作って、一緒に食べて、あれこれ沢山お喋りして、そのまま泊まってもらって…って、きゃあああ〜〜〜!
考えただけで、鼻血出そう。
もういい歳の大人だけど、彼氏ができることに体勢ができてないから。
同じ早番だった今日、原さんに車の中で直接聞くことにした。
「あのね、雄大さん…今日は真っ直ぐ帰るんじゃなくて…あのね…また、あの展望台に連れてってほしいなあ〜って…どうですか?ダメなら諦めますが…」
「了解!了解!ゆりちゃんが行きたいって言うんだもん!もちろん、連れてくよ!今、曇りだけど、夜景はどうだろうねえ」
嬉しいな!嬉しいな!
だけど…ゴクンと唾を飲んだ。
ちょっと緊張してきちゃった。
そんな中、車内のカーラジオから、北山口さんのヒット曲が流れた。
「それではお聞きいただきましょう、北山口たかしとクール&ドライで「女の6合目」どうぞ〜!」
〜♪
女の一生 山に例えりゃ あたしゃ女の6合目 今がだいたい6合目
登り始めは緩やかな 道が続いて楽しくて
あちこち咲いてる花なんか 見惚れる余裕があるけれど
途中に始まる険しさが 苦しいばかりで辛くなる
それでも踏ん張り登るとさ 不意に視界が広がるさ
あ〜今は6合目 今がだいたい6合目
酸いも甘いも知った頃 男に頼るだけじゃない
しっかり自分の足だけで 目指すはてっぺん 頂上さ
あたしゃ女の6合目 丁度いい頃6合目
女の熟れ時6合目 女盛りの6合目〜
〜♪
はあ、なんか沁みるわあ〜。
歌詞がいいね、この曲は。
原さんと2人、しみじみ。
そうしている間に、展望台。
「わあ〜!綺麗〜!」
昼間に見た時も素敵だったけれど、夜景は一層ロマンチック。
ちょっぴりひんやりしていて、結構、夜景を見に来るカップルが多いけれど、深呼吸を一つしてから、真っ直ぐ原さんの目を見つめた。
「雄大さん…あのね、あの…この前言ってたことなんだけどね…」
「うん」
「その…一緒に暮らさないって…あの…どういう意味ですか?ごめんなさい、私、ちょっとわからなくて、その…ど、ど、ど、同棲とかですか?それとも、け、け、結婚…ですか?」
「ああ、そうだったね…ごめんね、ゆりちゃん、僕がはっきり言わなかったから…本当、ごめんね…で、え〜と、改めまして、僕と結婚しませんか?」
「えっ、ちょっ…えっ…えっ…ちょっ、ちょっ…え〜っ…えっ…ちょっ…えっ…ちょっ…まっ…え〜っ!ちょっ…ちょ、ま…え〜っ!」
「ゆ、ゆりちゃん…ふふふ…えっとちょっとまっが多いね…ふふふ…可愛いなあ…もう…」
「えっ!えっ!え、だって…え…ちょっ…え…だって…いきなり…だって、それって…プ、プ、プ、プロ…プロ…プ、プロ…」
「ポーズまで、なかなか辿り着かないね…ふふふ…か〜わいい…やっぱ…ゆりちゃん、大好き!」
ふふふと笑ってニヤニヤしたまま、原さんは私の肩をそっと抱いて、そのまま唇を合わせた。
これまでのちゅって感じのフレンチキスではなく、今回は口をハムハムさせるキス。
まだ、返事もしていないのに、原さんにすっかり唇を塞がれてしまったよ。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




