表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/96

第56話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

「突然」って、本当に突然訪れるもんなんだね。

「じゃあ、あの、ゆっくりでいいから…考えといてね」

なんて言われたけれど、ゆっくりも何も驚きすぎちゃって。

「一緒に暮らさない?」の意味が、同棲なのか?結婚なのか?はたまたただのシェアハウス的なものなのか?

原さん、どういうつもりで言ったんだろう?

どれでもいいから、とにかく一緒にってことなんだろうか?

とりあえず一緒に住んでみて、後は成り行きに任せるみたいな?

「好き」って告白した時、ゆっくりじっくり愛を育んでいきたいからって言ってたのに。

どういうことなんだろう?

あ〜、こんな時はさとみ、さとみ。

さとみにニャインでメールしようとするも、手が止まった。

「あ…そっか…ダメか…」

まだ病院のベッドであんな状態のさとみ。

この間見舞った時も、来たメールはちゃんと読むけど、返すのは難しいって言ってたっけ。

じゃあ、明日の帰りに寄って、相談、相談。

そんな中、ピンポーンと玄関のチャイム。

「は〜い!」

ドアの覗き穴から見ると、そこにあゆみちゃん。

「あれ?どしたの?」

「あの、ちょっと相談したいなって思って…ごめんなさい、こんな時間に…ゆりしゃん、明日お仕事ですよね…だから、あの、ちょっとだけなんで…いいですか?本当に申し訳ないんですが」

ふと部屋の時計に目をやる。

まだ7時ちょい過ぎ。

「全然大丈夫!大丈夫!それより入って入って!」

同じアパートに住んでいるけれど、あゆみちゃんが私の部屋に来たのは初めて。

私は、まだあゆみちゃんの部屋に行ったことはないんだけどね。

でも、会えばいつも「純」に行くから。

そう考えると、別に全然って感じだ。

「どうしたの?深刻な顔して…」

「…だって、折角、このアパートで一人暮らし始めたのに…春には取り壊しちゃうって言うから…」

「まあ、そうだよね…わかるなあ、その気持ち」

「ありがとう、ゆりしゃん…でね、その話の後…」

どうやら赤瀬川君が、あゆみちゃんにプロポーズした様だ。

「突然、結婚しよう!って言うんだもの…」

そっかあ、赤瀬川君、結婚しようってストレートで言ったんだあ…

いいなあ、私も、そんな風に直球勝負がよかったなあ…

あ、だけど、そう言われても、やっぱり急すぎて、戸惑ってるか、うん。

「…あゆみちゃん…いいなあ…結婚しようっていいよ…だってね、私、雄大さんからね、一緒に暮らさない?って言われたんだよ〜!それってね、同棲しようなのか?結婚しようなのか?どっちかわかんないでしょ?」

「あ〜、まあ〜、そうですよねえ…って、ゆりしゃんも、原しゃんから誘われてるんだあ…そうなんだあ…」

「いや、本当はね、新しい部屋探そうって心に決めてたんだけどね…でも、僕のところに来るのも、選択肢に入れてって」

「きゃあ〜!その言い方、かっこいい〜!」

「え〜!赤瀬川君の結婚しようの方が、断然男らしくてかっこいいでしょ〜!」

「そ、そうですかねえ…あ、そだ、それでそれで、私と結婚するのを機に、牧場を継ぐって…そんで、私と一緒に牧場やりたいって…そう言うんです…どう思います〜?」

「え、どう思うって…私だったら…そうねえ…」

言いながら考えた。

私があゆみちゃんの立場なら、どうする?

「ん〜…お嫁に行っちゃうかなあ…」

「え!そ、そうなんですか?」

「うん…だって、あゆみちゃん、あの牧場大好きでしょ?」

「はい」

「何回も行って楽しいでしょ?」

「はい、そうなんです…牛さん達ともやっと仲良くなれて…おじさんとおばさんと酪農ヘルパーさん達もみんな優しくて…この前、泊まった時も…」

「え?泊まったの?」

「はい、私、土日がお休みだから、のりやす君は日曜日早番だったから、私だけ残って皆さんの作業のお手伝いさせてもらって…それで、のりやす君が帰って来てから、一緒にみんなで晩御飯食べて、牧場の車で送ってもらったんです」

「で、どうだった?」

「…ん〜、そうですねえ…私、あそこが好きだなあって思いました…それで、あそこで暮らすのも悪くないって感じた、かな…ちょっとだけだけど…」

「じゃあ、もう、答えは出てるんじゃない?」

「…ええ、まあ、そう言われると、そうかもしれないです…でも、私、銀行のお仕事も好きだから、辞めたくないんですよね…だから」

「あ〜、大丈夫!大丈夫!あゆみちゃん、赤瀬川君のこと大好きなんでしょ?ずっと一緒にいたいって思うんでしょ?だったらさ、赤瀬川君のプロポーズ、OKしてもいいんじゃないかなあ?それにね、結婚して牧場で暮らしたって、銀行はすぐに辞めなくてもいいんじゃない?住む場所が変わるだけで、とりあえずやってみて、後のことは後になってから考えればいいんじゃないかなあ、まずはさ、赤瀬川君と沢山話し合って、2人でじっくり色んなこと決めていったらいいんじゃないかなあ?どうだろう?」

これはあゆみちゃんに言ってるんだろうか?

それとも自分自身に行ってるんだろうか?

あゆみちゃんとこうして話しているうちに、私の中にある凝り固まった考えがゆっくりと解き解されていく感覚が、じわ〜っと広がっていった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とっても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ