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第53話

前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

部屋は万全だ!

さとみのお見舞いから帰ってすぐ、夜中までかかっちゃったけど、周りに迷惑をかけない様、静かに静かに部屋を綺麗に掃除した。

出しっぱなしの洗濯物などはないにしろ、ゴミ箱が若干あふれ気味になってたり、台所に洗ったプラごみを干してたり、洗面所のヘアブラシに髪の毛がいっぱいだったりしてたから…

でも、もう大丈夫!

いつでも来なされ!原さんよ!

と、そこまでで満足しちゃっていた私。

けれども、仕事中、不意にお客さんの会話が耳に入って来ると…

「今日の献立どうする?」

「あ〜、うちは今日麻婆豆腐にしようかと思って…」

あ〜、麻婆豆腐美味しいよねえ。

って、なんかお腹空いてきちゃった。

そっかあ、主婦に限らず、毎日献立立てるの大変…

献立…献立と言えば…手料理!

手料理と言えば…あ!手料理!

原さんを部屋に招いた時、振る舞う手料理だよ!手料理!

どうするよ!私。

何を作れば…

気づいてしまうと、居ても立っても居られない気持ち。

もう休憩時間も終わっちゃったし、さあ、どうする?

帰り支度の最中、スマホであれこれ検索をかけて、彼に喜んでもらえる手料理を探すも…なんか違う。

なんか、こう、ピンとこない。

そこで、帰りにあゆみちゃんのところへ行くからと、一緒に外に出た赤瀬川君に何か助言してもらおうと声をかけた。

「え?手料理?…ん〜…そうですねえ…ん〜…何だろう?」

2人で坂を上り始めたところで、同じく仕事帰りのあゆみちゃんと合流。

「ん〜…そうですねえ…」

あゆみちゃんもまだ、赤瀬川君に手料理を振る舞ったことはないそうだ。

「…いや、だって、ねえ…純のご飯、どれも美味しいから…」

あゆみちゃんの発言にヒントあり!

そうだった!そうだったよ!原さんも「純」のファンじゃない!

だったら…

ようやく答えが導き出された。

3人並んで少しだけ早足で坂を上り切り、息が上がるまま、勢いよく「純」の中へ。

「あら、いらっしゃい…3人共、どうしたの?そんな息切らして…」

笑顔の純子さんと純平さん。

そして、店内にはやっぱりヒデさんがいつも通り、クリームソーダをちゅ〜っと啜っている最中。

更に今日は、なるちゃん家族も仲良く晩御飯を食べていた。

「はあはあはあはあ…んっ…はあはあ…あのっ…あのっ…お願いします!純平さん!純子さん!あの…はあはあはあはあ…」

「ゆ、ゆりちゃん…一旦、お水飲んだら?そして、落ち着こう、ねっ?」

純子さんに差し出されたお水をグビッと一気に飲み干し、深呼吸して呼吸を落ち着かせた。

そして…

「あのですね、純平さんと純子さんに、是非、ここのナポリタンの作り方を伝授していただきたくて…お願いした次第でして…あの、どうか、あの…お願いします!どうしても覚えたいんです!どうしても、ここの味を覚えたいんです!」

私に続いて、同じく水を飲んで落ち着いたあゆみちゃんと、何故か赤瀬川君も深々と頭を下げた。

「私達も是非習いたいです!どうか、教えて下さいませんか?お願いします!」

突然の私達の申し出に、やっぱり何故か賛同したなるちゃん家族とヒデさんも、「お願いします!」と頭を下げた。

「え〜、どうしたの?みんな…」

純平さんと純子さんは少し戸惑いの表情を浮かべるも、すぐさま笑顔で「いいわよ!教えてあげる!」と言ってくれた。

「わあ!ありがとうございます!」

「なるも!なるも習う!」

「はいはい」

そんな訳でそれしか他に客がいない「純」で、急きょ「ナポリタン講習会」が開かれることとなった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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