第51話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
街の景色を堪能した後、同じ敷地内にあるおしゃれなログハウスのカフェへ。
落ち着いたインテリアとランタンの灯りが、とても素敵な雰囲気を醸し出していた。
店内に微かに流れるピアノによるクラシック音楽も、より一層大人の空間を演出している。
案内された席は、さっきまで見ていた展望台とは反対側の深い森が広がる緑の景色。
そこから見える外の数カ所の木には、小さなお家型のバードフィーダーがぶら下がっている。
「あ!可愛い!小鳥さん!」
入れ替わり立ち替わり、色んな小鳥が餌を食べに飛んで来る。
ふと、下の方の草むらに目を向けると、リスが忙しなくちょこまか動いている。
「リス!」
見たまんましか言えなかったけれど、こんな形で野生の小さな動物たちの姿を見られて、なんだか心がほかほかした。
「ここ、素敵ですねえ」
「そうだねえ、また、一緒に来よう!」
今がちゃんとした初めてのデート。
なのに、もう次のデートの約束しちゃった。
あ…居酒屋さんと、どっちが先になるだろう?
楽しい計画を話し合いながら、私は温かいココアを、原さんは温かいコーヒーを頼んだ。
見過ぎて飽きてしまうかと思われた深い森の景色は、小鳥やリス、後になってキツネもやって来たので、「わあ!」なんて、楽しくて少し興奮してしまった。
「ごちそうさまでした」
車に戻ってエンジンをかけると、すぐさまカーラジオから曲が流れた。
「…え〜…じゃあ、次は中町のピュルルンさんからのリクエスト…あ〜、これ、結構流行りましたよねえ、懐かしい…ぷりんちょの「チューしてける?」どうぞ!」
わ〜、懐かし〜!
この曲流行ったのって、確か、私が高校生ぐらいの時じゃなかった?
巨乳のグラビアアイドルのぷりんちょが、胸元が空いたセクシー衣装で体をフルフルさせて歌ってちょっとだけヒットしたんだよね。
〜♪
ずっと憧れてた、あなたに好きと言えなくて ツンデレばかりしてたっけ
だけど、あなたは全然気づかないで、他の子と仲良くて
勝手に落ち込み、勝手に泣いてたあの頃の私
だけど、今なら言える
きっときっと言える
ずっと大好きです 本当大好きです
だから、チューしてける?チューしてける?ける?
チューしてける?チューしてける?ける?
〜♪
高めの声で、バカっぽく歌って、クセになるフレーズが脳内で延々と周り続けて。
あの頃は、なんてバカみたいな曲って思ってたけど、今、改めてちゃんと聞いてみると、歌詞がすんごくわかる。
そして、刺さる。
そう思いながら、心で歌っていたつもりだったけれど、どうやら声が漏れちゃってたらしい。
まだ動き出さない車内で、運転席の原さんを見つめながら「チューしてける?」と歌っていたら、
「…ん〜…もう〜…仕方ないなあ」と、原さんが私のおでこにキスしてくれた。
え!え!え〜っ!
う、嬉しい!
嬉しいから歌を続けちゃおう!
「チューしてける?チューしてける?ける?」
今度は、私の肩をそっと抱いて、ちゃんと口にキス。
はあ〜、とろけるう〜。
原さんのキスは、コーヒーの味がした。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




