第50話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
家に帰る来慣れた道を外れ、更に上へ進んで行く。
「…そう言えば…」
婚活パーティーの帰り、居酒屋さんから出てきた私とヒデさんを見かけたそうだ。
パーティーに一緒に参加した友達と、肌寒い中、ぐだぐだと喋ってタクシーを待っている間、ヒデさんにおんぶされてる姿も見てしまったと。
それで、私がヒデさんと付き合ってるのかなあと思ったようだ。
「いや…あれは…あの日は…だって…雄大さんが婚活パーティーに行くって言ってた日だから、私…」
そうだった。
その前に「純」で婚活パーティーの話が出て、あゆみちゃんも行きたいって言ったのを、赤瀬川君が「ダメ!」って止めて…
本当は私も赤瀬川君みたいに、原さんに「行かないで!」「行っちゃダメ!」って言いたかったんだ。
けど、「別に付き合ってる訳じゃないから」とか、原さんを傷つける様な、キツくて強い言い方しちゃったんだ。
だから、原さん、婚活パーティーに。
…
ちょっぴりしんみりしてしまった。
けれども、その言い訳を今、ちゃんと言えたからよかった。
ものすごい言い訳中の言い訳だったけど。
ヒデさんとのことも誤解だって、ちゃんとキッパリ言えたから。
「…で、婚活パーティーはどうでした?」
恐る恐る聞いてみた。
楽しかったよ〜!とか、話が合う女性と会ったとかだったらどうしよう?
…あ、でも、あの後、職場でも全然その話してなかったから…
「…ん〜…飯はね、美味しかったよ…それだけ…かなあ…」
はあ〜、よかった。
原さんの様子から、本当にそれだけだったんだとわかる。
「あ、今度さ…僕もあの居酒屋行ってみたいなあ…」
「はい!是非一緒に!」
うふふ、うふふ。
嬉しいなあ。
やっぱり原さんの言う通りだなあ。
好きって確認したんだもん。
こうして2人でおしゃべりしてるだけで、もう最高!
さっきまでキスして欲しいとか、その先もなんて…ちょっと猛烈過ぎちゃった。
もう何年も男の人とちゃんと付き合ってないから、なんか焦っちゃったんだね、私。
そう…彼氏がいたのって、何年前になるんだろう?
二十歳ぐらいの頃だったっけ?
まだ、お互いに学生で…
それっきり。
それっきり、男の人と付き合ってないから、キスだのなんだのはご無沙汰だ。
あ〜…だから、私…なんか欲求不満なのかなあ?
人肌が恋し過ぎるのかなあ?
原さんはどうなんだろう?
前の彼女は、いつ頃付き合ってたんだろう?
婚活パーティーに誘われるぐらいだから、結構長い間、人肌はご無沙汰なんだろうか?
…って、何、変なこと考えちゃって。
ヤダなあ、私。
折角、原さんと正式にお付き合いすることになったってのに。
と言っても、まだほんの1時間半程度だけど。
…
そうしている間に、坂の頂上に到着した。
展望台とは名ばかりっぽい雰囲気の、展望台の駐車場に車を停め、2人で外に出た。
「わあ〜!」
そこから下に広がる景色に感動。
「あ!あそこ!さっきまでいた…」
大きな外国客船と、その向かいにある公園が見える。
さとみが入院している総合病院。
私達が勤めているスーパー。
あゆみちゃんの職場のエーゲ海銀行。
なるちゃんが通っている保育園と、同じ敷地の坂の途中教会。
「あ!うち!」
私が住んでいるアパート「コーポ純」と隣の純喫茶「純」も小さく見えた。
「ここ、初めて来ました〜!なんか感動!」
「ね〜!僕もここは初めてだから…こんなに見えるもんなんだねえ…あ〜、じゃ、きっと、ここ、夜景も綺麗だろうねえ」
そうだと思う。
私も同じこと考えてた。
嬉しいから、そのまま原さんに後ろから抱きついた。
「え!ええ!ちょ、ゆりさん…人が…人が見てるから」
「えへへ…お願い!ちょっとだけだから」
さっきまでおしゃべりしてるだけで最高!って思ってたけど…
ごめんなさい。
今は、どうしてもこうしたかったの。
「も〜!困った人だなあ」
そう言いながらも、私の腕をほどこうとしないところをみると、原さんもまんざらじゃないんだなあって。
ふふふ。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




