第48話
前回の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
細すぎず、ゴリ過ぎない、程よいマッチョの原さん。
その程よい加減がまた、絶妙で絶妙で。
丁度いいのよ!
それを維持できてるのは、こうした地道なトレーニングのおかげなんだね。
もうラグビーはやっていないらしいけど…
そんでもって、原さんのびっくりしちゃう食欲は、ラグビー時代の名残のようだ。
あ〜、それにしても、こんな形で原さんと港が見える公園で、パンをはむはむ食べてるなんて。
これって、一応、ピクニックだよね、うん。
外で食べてるんだもん、ピクニックでいいんだよね。
パンを挟んでベンチに腰掛ける。
うふふ。
さっき、パン屋さんでいっぱいパン買って良かった。
こんな偶然な出会いが起こるなんて、わからなかったのに…
「あ〜、美味しかったあ〜、ゆりさん、ご馳走様でした…なんかごめんね」
「え?」
「だって、折角買ったパン、僕がいっぱい食べちゃったから」
「そんなの…全然…一緒に食べられて、逆に嬉しいです」
今、「逆に」って言ったけど、なんの「逆」?
まあ、いいか、そんなのどうでも。
すっかり全部食べきっちゃうと、パンのスペースが空いた。
すすす、すすすと、港を見ながら、体は徐々に原さんに近づく。
肩が触れるほど隣まで来て、その距離で原さんの顔を見つめた。
「…あ…あのさ…あのね…この間からさ…なんとなく…ゆりさん…近くない?」
「へ?」
「その…なんと言うか…その…ほら…なるちゃんが家出した時からさ…ゆりさん…その、積極的って言うか…その…え〜と…どうしたの?」
「…ああ…ええ…まあ…」
だって、原さんが好きなんだもん。
ちゃんと言葉に出してないけど…原さんのことが好きなんだもん。
だから…
曖昧に返事らしい返事はしないまま、また、原さんの手を勝手に掴んでしまった。
…あ、これって、もしかしてセクハラ?
男の人からその気もない女の人に勝手にこういうことしたら、完全にセクハラだけど、この場合もそうなのかな?
「あ…ご、ごめんなさい…あの…これって…セクハラ事案ですか?だったら…あの…」
そう言うと、慌てて手を引っ込めた。
「…や…その…セクハラ…では…ないかな…別に…嫌じゃないから…」
「じゃあ、じゃあ、あの、手、繋いでもいいですか?」
「う、うん…いい…よ」
甘い気まずさのまま、原さんも私もとりあえず前を向いた。
前方には大きすぎる外国の客船。
一体何人ぐらい乗ってるんだろう?
少し経ってから…
「あの、あの…寄りかかってもいいですか?」
「え…あ…うん…どうぞ」
「うふふ…ありがとう、ございますう」
じゃあ、遠慮なく。
原さんのガッチリした肩に寄りかかってみた。
うふふ、うふふ。
幸せ〜。
もう少し経ってから、再び…
「あの、あの…雄大さん…」
原さんの顔を見つめた。
「ん?」
「あの…あのね…今度…あの…腕に顔をつけても…いいですか?」
「え?え?どういう?」
「あ、あの、こういう感じで…」
ニヤニヤと言いながら、原さんの腕に顔を埋めた。
「…ダメでした?」
「…いや…ん〜と…ダメじゃ…ない…けど…汗臭いと思うけど…それは大丈夫なの?かな…」
原さんの焦った様な表情も素敵!
こんな間近で見られる幸せ。
大丈夫なの。
大丈夫だから、顔つけてるの。
犬や猫に顔を埋める様に、私も原さんの腕に顔をつけて…吸ってる…原さんの匂いとか…
あ〜、幸せ〜!
原さんの優しさにつけ込んで、調子こいてる私。
心の片隅では、申し訳ない気持ちも少しはある。
だけど、「いい」って言うから…
じゃあ、宜しくお願い致しますって感じで…
「やだ!」「やめて!」なら、即座に止めるよ!そりゃあね。
でも、いいって、私を許すから…
腕の後、「胸板、触ってもいいですか?」とお願いすると、原さんなんだかズルい表情をした。
「いいよ!」と言いながら私の手を引っ張ると、自分の胸を触らせた。
「これで…満足?」
私はコクンと頷いてから、大きめの声で「ありがとうございま〜っす!」と体育会系の部活みたいな返事で返した。
服の上からだけど、温かい原さんの胸。
そのまま何も言わず、勝手に耳をつけた。
ドクンドクンドクンドクン。
原さんの心臓の音が聞こえる。
くっついたままそっと目を閉じると、彼に優しく髪を撫でられた。
嬉しい。
幸せ。
原さんに髪、撫でてもらえた。
そすと、何故かわからないけれど、勝手に涙が溢れてきちゃった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。




