第4話
アイスについての考えと、坂の上も案外いいなと思う瞬間とかです。
大人で一人暮らしが「最高!」って思えるのは、多分こういう時なんじゃないかなあ。
うふふ。
晩御飯を食べた後にアイスを食べ、それからお風呂上がりにもう1本アイスを食べるこの至福の時間。
あ〜、美味しい!
美味しすぎ!
実家にいた頃は、「アイスは一日1個」と決められていた。
特に幼稚園や小学生の頃なんかは、母からくどく、叱る様な強い口調で言われ続けていた。
それは「アイスを食べ過ぎると、お腹壊すから。」との、母からの思いやりなんだけど。
子供だから、母の言葉にある優しさなんて全くわかりもせず、どちらかと言うと、ただ沢山食べるとすぐなくなっちゃうからとか、また買いに行かなきゃとか、アイス代もバカにならないとか、そういうことの方が強かった印象。
まあ、実際はそっちの理由が大きかった雰囲気も否めないけどね。
中学生頃になるといくらかずる賢くなり、部活終わりの帰り道など、道すがらのコンビニなどで友達とこっそり買って食べ、帰宅してから親にバレてないのをいいことに、風呂上がりなど、冷凍庫に常備しているアイスバーを平気な顔して食べていたっけ。
その時、心の奥底に僅かに蠢いてた後ろめたい様な気持ちは、なんだったんだろう?
別に1日にアイスを2個食べようが、全然構わないはずなのに。
さも悪いことでもしたかの様なあの気持ち。
折角の冷たくて美味しいアイスの味が、台無しとまではいかないものの、本来の美味しさから若干落ちる感じになっていたと思う。
母からの、心配あっての言いつけを平気で破った罪悪感みたいなものが、私をそんな気持ちにさせてたんだろうなあ。
まだ、若かったし。
それが今はどうよ。
大人だし、一人暮らしだから、大腕振って「どうだ!」と言わんばかりに好きな時、好きなだけ食べられる幸せ。
アイスに限った話じゃないけどね。
食べすぎてお腹冷えて壊すも、自己責任だから。
なんなら外国人みたいに、真夜中、でっかい樽の様な容器に入ったアイスを抱えて、真っ暗にした部屋でテレビから漏れる明るさの中、映画鑑賞しながら食べたっていいのだ。
まあ、実際はやらないんだけどさ。
あの「憧れ」たやり方が可能な今。
「あ〜、今の生活最高!」とか言いたくなる。
この瞬間だけだし、他にもそう叫びたくなる場面って結構あるんだけどね。
今はこのアイスの時間が幸せ。
実家暮らしの頃みたく、ちゃんと椅子に腰掛けて行儀良く食べず、こんな風にソファーで半分寝っ転がっている様な形で食べていても、誰にも叱られない気楽さ。
まあ、でも、自分が自分のこんなだらしなさに、若干苛立つ感じもあるにはあるんだけど。
そうしてる間にもうなくなっちゃった。
あ〜あ。
アイスを食べる時間の、なんと儚いことよ。
ガサガサと冷凍庫を探る。
「あれ?確かもう1個あったと思ったんだけど…。」
…
はたと気づく。
「あっ!」
帰宅してすぐさま食べたことを思い出した。
「あ〜…。」
あんなにアイスの美味しさで上がっていたテンションが、急降下。
ん〜…
「じゃ…。」
思い立ったが吉日。
アパートの前の道路を右に約200メートルほど行った先のコンビニへ。
風呂上がりのテキトー過ぎる出たちだけど…。
いいよね、近くだし。
さて、なんのアイスにしようかなあ。
部屋を出ると視界いっぱいに、下界の街の夜景が綺麗。
こんな時、坂の上暮らしっていいなと感じる。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。