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第22話

前回の続きです。まだバザーの話です。

「儲けを出したければ、フリマに出すがいい」

かつて「知の巨人」ともくされた、20世紀で最も偉大な社会学者が唱えた名言。

…だったら、いいな。

絵はがきの乾きを待っている間、前田さんの口から出た話。

今までこんなに長い時間、前田さんと一緒に過ごしたことはなかった。

なので、こんな面白いことを言う人だって知れて嬉しい。

「…じゃあ…もう一回、見てこよっか!」

前田さんの号令で、私達は再び寄付の品と手作り品のコーナーを見に行った。

「あ!これ!可愛い!なる、買える?」

「買える!買える!大丈夫だよ〜!」

そこは全部1個10円の手作りアクセサリーコーナー。

フェルトやビーズ、レジンなどの他に、布製や編んだ物などの、可愛い指輪や腕輪、イヤリングにペンダントやネックレスがずらり。

なるちゃん、早速、ピンクのブタさんのお顔がついた、腕時計型のフェルトの腕輪を購入。

店番の方に腕につけてもらうと、「えへへ」と照れて赤くなって。

私は絵はがきを飾る額縁や、石鹸5個、綺麗な花の絵のお皿などをゲット!

どれもこれもフランスから来た物だけあって、何だか妙に素敵でおしゃれ。

そんな中、なるちゃんママことミズエさんからメール。

「なるちゃん、ママ、もうすぐ来るって!」

前田さんも何やら欲しい物を買えたみたい。

「じゃあさ、中庭で待ってよっか!」

礼拝堂から外へ出ると、さっきまで空を覆い尽くしていた厚い雲がすっかりどこかへ行ってしまったようだ。

パーッと明るいお日様が顔を出している。

「良かったあ、晴れてるね〜!」

人がいっぱいで賑やかな中庭の一角に、ようやくパラソルの席を確保すると、「よかったら、、どうぞ〜!」の声が向こうから聞こえる。

そちらを見ると、エプロン姿のお兄さんが、一人一人に小さい紙パックの牛乳を配っている。

「あれ?」

見たことがある人。

そう思い、なるちゃんと2人で近づくと、そこに赤瀬川くん。

「赤瀬川くん!どうしたの?こんなところで」

これだけ色々美味しい物や素敵な物を安く買わせて頂いて大満足してるってのに、「こんなところ」なんて言い方をしてしまって、失礼極まりない私。

「あ〜!広瀬川さん…あ、そうだ、これ、良かったらどうぞ!」

そう言って、2つ紙パックの牛乳をくれた。

パッケージを見ると、「赤瀬川牧場」と印刷されている。

「えへへ、おじさんとこの…手伝いなもんで…えへへ」

なんでも、赤瀬川くんのお父さんの弟さんが、経営している牧場のだそうだ。

「そうなんだ〜!偉いね〜!」

「ねえねえ、ゆりちゃん、ヒデさんの分とママの分ももらっていい?」となるちゃん。

「あ、そうそう!赤瀬川くん、ごめんね、申し訳ないんだけど、一緒に来てるヒデさんとミズエさんの分も頂ける?」

「ああ、はい、どうぞ!どうぞ!」

2人分追加で牛乳を受け取ると、「頑張ってね〜!」と手を振って別れた。

席に戻ると前田さんはせっせとここから見える人々などを、手持ちの紙にペンでさらさら描いている。

「なかなかこういう雰囲気ってないから」

「やっぱり凄いな!ヒデさん!」

…ん?ヒデさん…

「あ!ご、ごめんなさい!やだっ!私ったら、馴れ馴れしく前田さんのこと、ヒデさんって勝手に呼んじゃって…」

「ううん、全然、これからもヒデさんって呼んで下さい…あ、じゃあ、僕も広瀬川さんのことも、ゆりさんって呼んでも大丈夫ですかね?」

「ええ、全然!オッケー!オッケー!です!」

なんだろう…急にヒデさんとの距離が縮まった気がした。

「荷物番をしているから、2人で見て来て下さい」

そうヒデさんに促され、なるちゃんと2人で再び中庭をあちこち見て歩くことに。

教会前で嗅いだ美味しい匂い達は、ここから風に乗って漂っていた模様。

保育園の父兄による「焼き鳥」は、1本10円。

串は鶏肉とネギ、豚肉とネギの2種類で、味も塩とタレの2種類。

なるちゃんは鶏肉とネギのタレを2本、私は全部を5本づつ買った。

お次の焼きたてのパンの香りは、「パン」ではなく「ピザ」生地の匂いだった。

こちらも1切れ10円と格安。

その代わり、マルゲリータだけの販売。

だもんで、私はまるまる1枚ゲット!

他にもコーヒーやおにぎり、焼きそばなど、あれこれ買ってヒデさんの元へ。

「いっぱい買ったねえ!」

「えへへ、みんなで分けて食べようと思って…」

すぐさま買って来たばかりの物を、ずらずらっとテーブルの上に並べていった。

そのタイミングでミズエさんがやって来た。

「ごめん!ごめ〜ん!遅くなっちゃって!」

朝会った時、歯医者が嫌で死にそうな顔をしていたミズエさんだけど、今はいつもの元気なミズエさんに戻っていて安心した。

「なる、お待たせ〜!いい物買えた?」

今まで元気いっぱいだったなるちゃんだけど、やっぱりママが恋しかった様だ。

あんなにギュッと、ママにしがみついて甘えて。

テーブルの上には、ミズエさんが教会前のキッチンカーで買ったハンバーガー10個も乗った。

そこにひょっこり赤瀬川くんがやって来た。

もう持って来た牛乳を全部配り終わったとのことで、おじさんの牧場で作っているバターとチーズを持って来てくれた。

「あの、これ、お土産にどうぞ」

「えっ!いいの?こんなに?」

「ああ、はい、皆さんで…」

私と赤瀬川くんのやりとりの途中で、ヒデさんとミズエさんが入ってきて、2人でハモる形で「一緒に食べよう!」と。

「いいんですか?」

いいに決まっている。

そんな訳で、私、ヒデさん、なるちゃん親子に赤瀬川くんで一緒にお昼となった。

「なんか、ごちそうがいっぱいだねえ」となるちゃん。

思いがけず素敵なパーティータイムとなった。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。

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