第19話
前回の続きです。いよいよ教会のバザーが始まったのだが…
バザーは今日の土曜日だけ。
明日の日曜日は、「日曜礼拝」や「日曜学校」がある為、バザーは今日一日しかできない。
10時から3時までの開催。
私達は少しだけ早めに到着した。
すると、教会前には沢山の人。
みんな嬉しそうで、楽しそうなのがいい。
こっちまで気分がウキウキしちゃう。
何せ、そこら中一帯になんとも言えないいい匂い達が、いっぱい広がっている。
…いい匂い達。
ここはあえて「達」としたい。
だって、色んないい匂いがそれぞれ喧嘩しないで漂ってるから。
これは焼き鳥だな。
こっちは焼きたてのパン。
コーヒーのいい香りも。
何故だろう?
ちゃんと朝ご飯を食べてきたはずなのに、この匂い達の力で、なんとなくうっすらお腹が空いてきた様な。
ぐう〜。
あっ!私じゃないです!私じゃないんです!
慌てて心で叫んだら、横にいる前田さんの顔が赤くなった。
「ヒデさん、お腹空いちゃったんだね」となるちゃん。
そっか、なるちゃんの背だと、前田さんのお腹に近いから。
聞こえちゃったんだね。
って、私にもちゃんと聞こえたから、なるちゃんが前田さんのお腹に近いからとか関係なかった。
ははは。
そうこうしてる間に10時。
「開門!」と誰かが叫んだ訳じゃないけれど、いつの間にか今まで一緒に待っていた人達が、続々と教会の敷地に傾れ込んでいく。
それにつられて私達も、いざ!バザーへ!
入ってすぐの駐車場に、数台のキッチンカー。
ハンバーガー100円!
えっ!
あ、そうか、バザーだから。
絞りたて牛乳ソフト50円!
嘘っ!やっす!
あ、バザーだものね。
たこ焼き1こ5円。
マジで!
あ、やっぱバザーだったね。
そうなのだ。
出店しているキッチンカー。
普段は絶対、こんな値段じゃ売っていない。
けれども、今日は教会のバザーだからと、こんなに安いのだ。
やっぱバザーって最高!
休みとって来て良かった!
そう心から思った。
まずは3人でゆっくり見て歩く。
そして、全部見終わってから、どれを買おうか決める形。
だったんだけど…
なるちゃん、早速、「たこ焼き、買いたい!」そうで。
「なるちゃん、何個食べたい?」
「う〜ん…3こ…3こにしとく!」
そう言ってなるちゃん、初めて「自分の為のお買い物」
がまぐちから落とさない様慎重に500円玉を取り出して、お店の方にそれを渡して、たこ焼き3ことお釣りを受け取る。
たったそれだけのことだけど、なるちゃんからしたら、ドキドキで超緊張ものだった模様。
ほんの少し引きつった笑顔で、顔を赤らめて。
「買っちゃった」って。
なるちゃん、可愛い!
可愛すぎて、抱きしめたい!
と思っていたら、いつの間にか前田さんもたこ焼きを買っていた。
「えっ!前田さんも?」
「えへへ、なんか小腹空いちゃって」
手元を見ると、10個も買っている。
「じゃあ…」と私も、なるちゃんと同じ、3個買った。
「温かいうちに食べよう!」となったけれど、「たこ焼きが喉に詰まったら大変だから」と、休憩スペースの椅子で待ってる私となるちゃんを置いて、前田さんが急いでどこかへ行ってしまった。
「なるちゃん、美味しそうだねえ、たこ焼き」
「ね〜!」
ああ、どうしよう。
前田さんを待たずに、今すぐなるちゃんとたこ焼き、食べちゃいたい。
でもなあ…
「待て!」と餌の前で待たされている、お腹を空かせた犬の心境。
5分後。
「ごめ〜ん!」と小走りで前田さんが戻って来た。
遅〜い!
なんて言えない。
言える訳がない。
だって、前田さんの手には小さいペットボトルのジュース3本。
「はい、どうぞ!好きなのとって」
折角、わざわざ買って来てくれたってのに、うっかり「遅〜い!」って言いそうになった自分が恥ずかしかった。
やっと3人揃ったところで、たこ焼きとジュースで乾杯。
熱々のたこ焼きは安すぎるけれど、普通のお店で売ってるのと同じぐらい大きくて、美味しかった。
そして、前田さんによると、ジュース類は全部30円だったとか。
「えーーーーっ!やっす!」
「だよねえ」
驚き仰け反る私にすかさず前田さんが、「いやあ、やっぱ、バザーっていいよねえ」と一言。
まだ出だしなのに、バザーの凄さを思い知らされたのだった。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




