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第16話

前回の続きです。歴代の彼からの贈り物を、教会のバザーに寄付すると、私に託して帰ったさとみ。その後…

「明日、早番だからもう帰るね!またそのうちね〜!」

妙にスッキリした笑顔で、さとみは愛車の真っ赤な軽自動車で帰って行った。

「物は物だから、歴代の彼氏に貰ったものを使ったり、部屋に置いてたりしていたけれど、そういうののせいで、なんとなく今まで男の人と上手くいってなかった気がする。

この機会に思い切って、全部、ぜ〜んぶ処分しちゃってよかった。

あたしに憑いてた悪い「気」みたいなのが、すっかりとれた気分。」

そんなこと言ってたさとみ。

ダンボールで持って来た物以外は、全部、きっちり分別して、それぞれのゴミの日に捨てたと笑ってた。

普段の3倍ぐらいの量になったとも言ってた。

帰り際、「もう、マッチングアプリみたいなやつとか、その前の時みたいな婚活パーティーとかスッパリやめることにした。なんか色々疲れちゃったからさ、もう、しばらく恋はお休みにする。」と、薄っすら力ない無理した笑顔を作ってたっけ。

自分からガツガツ彼探しをしなくなっても、きっと、さとみなら自然な形でいい人が現れるんじゃないかな。

なんかそんな気がした。

あ!そうだ!今ならまだ大丈夫だと思うんだけど。

ついさっき、さとみから受け取ったダンボールを抱えて、お隣のなるちゃんちへ。

ピンポーン。

「は〜い!」

「ごめんなさい、こんな時間に突然…」

「あら、ゆりちゃん、全然、全然!だってまだ8時半だよ!」

なるちゃんママこと、ミズエさんがぺろっと言った。

「ささ、入って!入って!」

「いえいえ、あの、すぐ戻るから、ここで」

ここでお邪魔するのは申し訳ない気がして、玄関先でのやりとりとなった。

「あ〜、ゆりちゃ〜ん!こんばんは〜!」

奥からタオルを頭に巻いたパジャマのなるちゃん登場。

「こんばんは〜!ごめんね〜!夜なのに」

「あのねえ、なるねえ、さっきまでお風呂入ってたの」

「そっか…あ、じゃあ、なるちゃん、髪ちゃんと乾かさないと風邪ひいちゃうから…」

「うん!」

「あ、そうそう、たった今帰ってった友達が、バザーにって寄付してくれたやつなんです…それと、あの、私が縫ったやつも、一緒に中に入ってますから。」

「え〜!そうなの〜!ありがとうねえ、ゆりちゃん!実はなかなか寄付の品物が集まらないみたいなんだよねえ、教会の手伝いの人が言ってたわ…そだ!中、見てもいい?」

「はい!どうぞ!」

「じゃあ、失礼して…」

すぐさまミズエさんが、悲鳴にも似た大声で叫んだ。

「えーーーーーーっ!これーーーーー?こ、こんな、すごいやつ…いいの〜?」

ミズエさんが驚くのも無理はない。

手に取った品々は、さとみが託してったブランド品ばかり。

「わあ!か〜い〜!なる、これ欲しい!」

ガサゴソとなるちゃんがダンボールから取り出したのは、私が作った動物の顔の巾着たち。

なるちゃんが特に気に入ったのは、薄ピンク色の羊さん。

「なる、これ、買う〜!」

「えっ!」

「買う〜!だって、この子、すんごく可愛いんだもん!」

「あ、じゃあ、じゃあさ、なるちゃん、私、同じの作ってプレゼントするよ!だから、バザーで買わなくても大丈夫だよ!すぐって訳にはいかないけど。でも、まだ生地残ってるから、なるべく早くになるちゃんの分、作るから…ねっ。」

「え〜、でも〜…」

「だって、これ300円で売ってもらうつもりだけど大丈夫?なるちゃんのお小遣い、もったいないよ…これ、買うお金で、なんか違う、素敵なもの見つけた方がいいんじゃないかなあ…」

「え?これ300円で売るの?だって、これ、こんなに手が混んでて、すんごく丁寧に縫ってて、裏地までしっかり付いてて…材料費、結構かかったんじゃない?いいの?そんな安くて…ゆりちゃん、大丈夫なの?」

さっきの驚きから一転、ミズエさんが心配そうな表情を浮かべている。

「あはは…いいじゃないですかあ!だって、折角のバザーなんだし…なるちゃんの分は、後でちゃんと縫いますから、ちょっと待ってて下さいね。」

「そうなの〜…なんかごめんね〜…あ、で、こっちは?こっちのすごいのは…」

「ああ、なんか100円か、なんだったら10円で売ってくれって、本人が…」

「え!そうなの?これなんか、いいよねえ…私も欲しくなっちゃう…」

「ええ、そうですよねえ、そうなんですけど…歴代の元カレからのプレゼントらしいんで…」

「なるほどねえ…」

さっき、さとみが言ってた通りに、これらを売ったお金がなんとなく嫌だと言う話をしたら…

「そっか!そうだよねえ!わかるわ!その気持ち…確かにタダで貰ったとて、なんか気分悪いってか、ヤダかも…」

ミズエさんに共感してもらえて嬉しかった。

「見てみて〜!これね!ヒデさんのなの!」

いつの間にか部屋の奥に行っていたなるちゃんが、いっぱいの笑顔で戻って来た。

手には何やら紙が。

「これね、ヒデさんのなの。」

「そうそう、昨日ね、ヒデさんから、バザーにって寄付していただいたの。」

「へえ、そうなんだあ」

「見てみて!」

なるちゃんから受け取ったのは、絵はがき。

見ると、路地裏やブロック塀、古い食堂など様々な風景の中に、それぞれ色んな猫が1匹づつ、色んなポーズで描かれている。

細いタッチに淡い色彩が、なんとも温かい雰囲気を醸し出している。

それに加えて、絵の中の猫の可愛さ、面白さ、妙なポーズなどがいい味を出している。

「わあ!素敵〜!」

10枚ほどの絵はがきは、全て前田さんの手描きのイラスト。

「さすが!」

「ね〜!」となるちゃん親子がハモった。

これらの絵はがきは1枚50円で売るとのこと。

1枚欲しいなあ。

綺麗な額に入れて、部屋に飾りたいと思った。

それと同時に、絵って、描いた人の人柄も出ちゃうもんなんだなあと感じた。

前田さん…ほんわかと優しいものね、いつも。

ふと、メガネ時の前田さんの頼りなさげな優しい笑顔と、細くて綺麗な手を思い出した。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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