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半メカ化少女は壊れているのか

 私は、シイにメカ化しているのか聞いた。食堂での音。泣いたのに赤くない目。人じゃないのかもしれない。心臓がドクドクしている。シイが返事をするまでの数秒間がとても長く感じられた。

「もちろん機械よ」

「えええっ」

衝撃の事実。シイまでもメカ化しているのか。でも、メカ化している部分は見当たらない。

「えっどこがメカになってるの…?」

「体のほとんど」

「ええええっ、でもメカのとこ、ないけど…」

「普通は見えないわよ」

「え、えぇ…?」

シイは半分でも片目でも無く、体のほとんどがメカだという。しかも、そんな重大事実をなぜ平然と話せるのだろう。そのうえ、普通は見えないということは、あれ。普通ってなんだ、これ。困惑してえぇとかあぁとかしか言えない私に、シイは、今までにこんなに衝撃だったことは無いとでも言うほど驚いていた。

「ハァァ?のぞみ、自分たちのこと全くわかってなかったの?」

「いや、メカ化してること自体びっくりで…」

「あのねぇ、のぞみは…」

シイは、一から説明してくれた。まず、この世界の人はシイと同じく、体がほとんどメカでできていること。メカ部分は肌のようなコーティングで覆われていて、それの素材が弱かったり、中のメカが強すぎたりすると、溶けてメカ部分が露出すること。ざっとこんな感じだった。

「ん、待って、それじゃ私の事、貧乏人って言ってたの…」

「肌のコーティングが安いのだと思っていたわ」

「あ゛ーッ」

「叫ばないでもらえない?」

「いやいやだってぇ」

シイの意味不明だと思っていた私への扱いの謎が解けた。しかし、嫌味っぽい言葉の中にも根拠があるのがなんだかイラっとする。

「コーティングは保健室に行ったら普通に張り替えてもらえるわよ」

「マジかー」

最初から解剖の心配とかしないで病院に行っておけばこんなに苦労しないで済んだのだ。今度、めりかと一緒にコーティングを交換しに行こう。最初から余計な心配などしなくて良かったのである。衝撃事実には驚いたが、これが普通だとわかったのなら、もう怖いことは無いはずだ。私はシイにお礼と別れを告げ、家路をたどった。

 「ただいまー」

お母さんにもこの事実を教えてあげようと思い、メカ化の謎について話した。でも、お母さんは表情を沈ませたまま。私は不思議でたまらなかった。

「なんで?メカ化の謎が解けたんだよ?」

お母さんは突然静かに涙を流した。そして、ごめんね…ごめんね…と呟いている。私は涙を流すお母さんを見て、ふと、新たな疑問が浮かんだ。シイは肌のコーティングが弱いと、溶けるって言ってた。安いかったら。でも、私の家はお金には困ってない。じゃあ中のメカが強すぎた?それなら、


 なんのために中のメカを強くしたの?






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