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メカ少女は何人か

 あの音。めりかのメカ部分からした音に似てる。それに、作戦は失敗に終わった。私に残ったのは、不安と焦りだけだった。そして、ぼーっと立っている私を見かねためりかが、こちらに近寄ってきた。どこか表情が明るいのは私たちの作戦が成功したと思っているからかもしれない。そして、私の予想通りに、めりかは結果について聞いてきた。

「ねっ、成功した?大丈夫?」

本当は失敗だったのだが、ぼんやりしていたせいで反射的に

「あぁ、うん」

と答えてしまった。我に帰った時にはもう遅い。訂正する隙はなかった。何故なら、めりかが凄くはしゃいでいたからだ。めりかは私が焦りのある表情をしているのにも気づいていない。はしゃいでいることを具体的に説明するとこんな感じだ。まず、目には輝きが宿っており、声のトーンが高くなっている。安心と喜びがにじみ出た表情をしており、軽くジャンプしている。さらに良かった良かった成功したか、などと言っている。だから訂正しようにも躊躇してできないのである。結局その日は結果を正しく伝える事はできなかった。

 次の日、私が外に出ると、私の今の気分には合わないであろうスカッとした青空が広がっていた。いっそのこと台風でもきて休校になって欲しいくらいだ。おまけに今日の一限は体育。私の苦手教科の上位三位に入るものだ。げんなりしていても学校には着く。ついてしまったからにはさっさと運動場に行かなければならない。ジャージ姿なので、着替えは必要ないようだが、めんどくささが一つ減ったからと言って嫌なものは嫌なままなのである。

 そして始まった五十メートル走。クラスのみんなは大体三〜五秒で走るのに、私は八秒あたりでしか走れない。めりかも同じく八、七秒あたりなので、ビリ二人組という事になる。いきなり変えられない事実を前に、憂鬱な気持ちで順番を待つ。自分の番が来ても、相変わらず周りと比べて足が遅い。結果もやはり八秒あたりで、落ち込んだ。気分は最悪。そして、もう一つ良くないことが起きた。シイがわざわざこちらに話しかけに来たのだ。

「あら、今まで、影がとぉっても薄くて気づかなかったけれど、貴方、足がすっごく遅いのね」

「余計なお世話だよ」

はい、来ました。さっそく嫌味。しなくていいのに、こんなことしてるから学校一嫌味な奴だなんて言われるのだ。しかし、その後、聞き捨てならない発言をした。

「今日の放課後、図書室に来なさい、いつまでたっても生意気な貴方と私の違いってものを教えてあげるわ」

「ふん、図書室に行けばいいんだよね?違いってものを教えるとか言ってるけど、絶対私が上だから。」

「何を言っているのかしら。逆よ?」

「は?そっちの方こそ…」

しかし、先生の笛の音で私の言葉は遮られた。それを合図にシイはさっさと行ってしまった。絶対図書室に行ったら見返してやる。



 


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