管理室
パキンという音とともにシイは仰向けになった。でも、すぐに起き上がった。
「酷いわね。私の肌が」
私は言葉を失う。シイの肌、コーティングがひび割れていた。隙間からは赤茶色の液体がだらだらと流れている。白かった服も変色していて怖い。
「貴方がやったんでしょ?お返しよ」
今度はシイが私を投げ飛ばす。バシンという音がして、また体が軋んだ。そう何回もは耐えられないだろう。それにこのままじゃやられる。もう一度起き上がり、シイを投げる。次は、間を空けずに足を振り下ろした。パキンと音がしてシイが割れて、脚にベタついたものがついた。もう一度足を振り下ろそうとしたが、止められた。シイは割れていない目で私を睨んでいた。
「貴方は私を割ったんだから、私も貴方を割るまでやめないことにしたわ」
こちらに手を伸ばしてくる。ヒビの隙間から漏れ出す赤い光が危険だと示しているようだった。私はその手を掴んで止めた。青い光と混ざって視界が紫に染まる。今まで倒れていた他の職員も立ち上がってきて、取り囲まれた。だが、また飛ばせばいいだけだ。そう思って、体を動かした。
けれども、誰かに腕を掴まれた。私とシイの腕を、凄い力で引き離し、私だけを飛ばした。
「うわっ、誰…。ヴェーか」
職員の仕返しの様な状況だ。そんなことを考えている場合では無かった。ヴェーは手をこちらに向けて、何かとばしてこようとしているではないか。赤い光が強くなっていることが不穏な空気感を出している。あれにあたれば、多分、私は壊れる。体制を変えなければ。動いた途端に光が私に向かってきた。まずい、避けられない。
「のぞみ!」
でも、誰かに服を引っ張られて、下に落ちた。頭のすぐ上を光が通り過ぎて、奥の方から何かが溶ける、ジュウという音がした。服を引っ張ってくれたのは、
「めりかっ」
「勝手に行かないでよっ。心配したのにっ」
「ごめん、ありがとう」
少し安心したのも束の間。今度は、ヴェーがいる近くの扉が開いて、スカビオサが出てきた。
「何しとるねん!向こうには管理室があるって知っとるはずやろっ」
何メートルか離れているのにはっきり聞こえる声の大きさ。この反応だと、何かが溶けたところに管理室がありそうだ。
「めりかっ今のうちに」
「うん、管理室だ!」
光が残した熱気を頼りに走っていくと。
「あった!管理室って書いてあるっ」
半分壊れた看板に管理室と書いてある部屋を見つけた。