これで嬉しくなれるはず
『3×3×7』と入力した。鍵が開いた。中にはめりかがいる。
「開いた!良かったよ。めりか起きてっ」
ベッドごと揺するとめりかが目を覚ました。なんだかすごく眠そうだ。
「ふあ、んん?のぞみ?」
「そうだよ。めりかは大丈夫だった?」
「溺れて死ぬかと思ったけど誰かが助けてくれたみたい」
「やっぱり、スカビオサっていう人かな」
「だれ?その人」
「私も助けてもらったと思う。きれいな女の人だった」
「なんか、感謝だねー」
「うん、めりかのとこに行くって言ってたけど来た?」
「いや…寝てた?からわからない」
「そっか、もうどっかに行ったのかな」
「探す?」
「そうだね。管理室も探さないと、鍵とカードみたいなのもゲットしたし」
「マジか。どこの鍵?」
「さあ」
「わからんのかい」
二人で部屋を出た。管理室とスカビオサ…さんを探す。途中で職員らしき人に見つかったが、特に気にされなかった。鍵とカードは見えない位置に隠したからかもしれない。ヴェーに会った部屋や、罠の部屋らしきものは、ずっと続く部屋の中ではわからない。ただ、時々立ち入り禁止だとか危険だとか書いている部屋はあった。
長い廊下。めりかは眠気がすっかりとんだみたいで、しれっとした顔で歩いている。その反面、私はキョロキョロしながら歩き続けたせいで、足が疲れて休憩が欲しい。
「ねぇ、ちょっと休憩しないかな」
「止まる?」
少し止まって休む。その間はめりかが左目をピカピカさせながら管理室の場所を探してくれていた。
「もう行けるよ」
「オッケー。あと、管理室の機械って何?わからないから探しようがないんだけど」
「あ、そうかー…。やっぱり機械がいっぱいあって管理されてるイメージだったけど」
「そういうところ探してみる?」
「一応探そう」
また廊下を歩き始めた。その内に、前から何か小さいものがこっちに来た。こいつはたしか私たちの学校にもある…お掃除ロボットか。可愛いんだよなあ。そいつはじっと私たちを見てから、去っていった。スカビオサ…さんが来たのはそのすぐ後だった。
「勝手に部屋出てしもたらあかんやろ?この広い廊下、探すんが大変なんやから」
「ああ、すみません」
「助けてくれてありがとうございます…」
私たちがそう言うと、なぜか笑われた。くっくっという笑い声がしんとした廊下に響く。なんで笑ってるのかはわからない。だけど、一緒にいない方が良い気がした。怪しい…というか怖い…というか、見ていてなんだか辛い気がする。
「くっくっくっ…あはっ。なんだかあんたらはええねえ。子供の頃思い出すわあ、旦那ともそんな感じやったし」
「旦那さん?」
「おるねんで?ヴェーっていう名前の」
そう言ってまた笑っていた。