半分メカになっているのがバレたみたい
カーテンを閉めるのを完全に忘れていた。しかもリビングでゲームをしていたなんて。挙げ句の果てに友達からメッセージアプリで知らせてもらうという失態。誰にも知られたくないと考えていたはずなのに。そしてもう一つ最悪なことがある。この場には友達一人だけだが、道ゆく人にも見られている危険性があるということ。さらに時間を忘れていた私は、今下校時だという事に気づいた。もちろんここは私の中学の通学路の一部。学生たちがぞろぞろと通っていくであろう。焦りの中で私は、スマホを使ってその友達に、誰にも言わないで、お願い、本当に、と送った。しかし反応はこうだ。ズル休みして何変な格好してんの、と。裏切り者め、それでも友達か。そのうちインターホンが鳴り始めた。私はカーテンを閉めて扉を開けた。
「あんたには呆れたよ。誰にも言わないでなんて言って。周り歩いてる子たちにもバレバレだよ〜。」
「なんだってぇっ」
もう終わりだ。何人にバレた。とにかく情報収集必須。私は我が友を家に招き入れた。
「それで、なんでそんな格好してんのよ、ついに厨二病になったか。」
「眼帯をして封印だとか叫んでる人にだけは言われたくなかった。」
そう、私の友達、めりかちゃんは常に黒い眼帯をつけて、私の封印された左目には…とかなんとか言ってるような奴なのである。しかも周りからドン引きされるとマジだと言って聞かない。話がそれてしまったが、この半分メカ化現象もいっそのこと、学校になんかつけてきたやばい奴という事で押し通せないだろうか。
「とにかく、かくかくしかじかで大変なんだよ。」
「えええっ私の左目とお揃い現象じゃあんっ」
違う。私のこれはめりかの思っているような設定ではなく、マジなのだ。あれ、でもなんかこの主張ってなんか、学校のめりかと似てる気がする。もしかしたらの可能性をかけて一か八か聞いてみるか…。
「ねぇめりかの左目もメカっぽくなってるとか?なーんて、あはは…」
「さすが私の親友。大当たり。」
「へ、」
めりかは眼帯を取って目を開いてみせた。そこから覗いたのはカラコンなどでは絶対にできないであろう細かい作りの目だった。瞬きをするたびにカチ、と小さな音が出る。まつ毛もよく見ればスチールウールのようで違うものでできている。
「わぁあ本当にお揃いっぽいなぁ。」
「だから言ってるでしょ、マジだって。」
めりかは私なんかよりよっぽど上手くやっているようだ。しかもぶつぶつ何かを呟いているが、内容は私の半メカ化現象についてである。裏切り者扱いしてごめん。やっぱり親友だ。私が感激している間にめりかは何か思いついたらしい。
「そうだ、とりま長袖長ズボンで登校してきて何してたのって聞かれたら、私みたいに封印って言ってごまかそうよ。」
「そうさせていただきます。」
明日からやばい奴扱いされる運命は待っているが、上手く隠していけるような気もする。
しかし私は、メカ化している部分が大きい事で大変な苦労をする事になるとはまだ知らなかったのである。