めりかの左目と私の左半身
「なんで…シイっどういうこと⁉︎」
「ごめんなさい、よくわからないわ」
「ええ…?」
「もう一度言ってくれない?」
「だから、どういうこと⁉︎」
「質問の内容を言ってくれない?」
「のぞみ!もう行こう!危険だよっ」
シイに聞いても、よくわからない答えしか返ってこない。でも、この感じ、どこかで…。でも、めりかに呼ばれて階段を上がる。めりかの左目は、青い光を発していた。
「めりか、それ…」
「…私、使えるようになっちゃったみたい」
めりかはどこか罪悪感を背負ったような雰囲気を漂わせている。諦めたように笑って。
「なんでそんな風に笑ってるの?良いじゃん。…希望だよ?」
それを聞いためりかは驚いた顔をした。
「ありがとう、私はのぞみの事…」
「仲直りしたから良いんだよ」
いつまで引きずってるのかな。よっぽど後悔しているらしい。でも、私は気にしていない。希望でもあるし、親友だということも影響している。
階段がもう終わりそうだ。しかしその時、めりかが急に止まった。
「のぞみっ跳んで!」
「っ」
二人で跳んだ瞬間。さっきまで私達の足があったところにレーザーが走った。
「あっぶな!」
「上にも行けない。センサーがある。レーザーがくるかも」
めりかの左目がキリキリ音を立てて中の機械が縮んだり回ったりしている。私が気付けない、罠が見えているのだろう。
「ありがとう、じゃあ、どう逃げたら…」
「のぞみ、壁壊せる?」
「いや、私は使えない…」
後ろからは、追い詰めたと思われているのか、ゆっくりと、ヴェーが迫って来ている。時間はない。しかし、めりかは私の左腕を見つめてじっとしている。何をするのだろう。そう思っていた矢先、私の足のボタンの一つを押した。赤いボタンだ。
「わっ…あれ?」
左腕の青い光が強くなる。今なら、なんだって壊せるような気が、なぜかする。
「のぞみ、これでできるはず」
「うん、なんか、いけそう」
手のひらで壁に触れる。体の光が腕に集中的に集まる。
「…やああっ」
ドンっ、ジュウウ…そんな音がして、壁に穴が開いた。
「行こうっ」
「走ってきた!」
さっきまでゆっくり歩いていたヴェーが、走り出した。異常に速い。私達は急いで穴に逃げ込んだ。結構きつくて、壁を壊しながら進んだ。幸いなことに、ヴェーは通るのに苦戦しているらしく、穴の前で、もたもたしている。
急いで、けれど慎重に進んで行くと、研究所の外に出ることができた。私達はもう泥だらけでへとへとだった。私を追いかけるときに荒らされたであろう街は酷い状態だった。道もでこぼこだ。それでもなんとか、もう空っぽの、私の家に帰った。めりかにとっては、帰った、ではないが、そんなことはどうでもいい。家中の鍵を閉めて、カーテンも閉める。これで外からは見つからない。さて、今は良くない状況。もしかすると絶望的かもしれない。しかし、自分の機能の使い方がわかる希望が出てきたのだ。そう、めりかと協力すれば。