メカ少女の使い方
「私だってどう説明すれば良いのか…本当、あの時意識なかったし」
「…嘘つかないで。だって私は」
「私は?」
私は本当に無我夢中でわからなかった。でもめりかは納得してくれない。それに、「私は」ってなんだろう。めりかの方こそ何か知ってることがあるのではないか。不信感が募る。それに、説明している事を嘘だと言われたって。それなら私は一体どういうのが正解なのか。最初から知ってたと、ごめんねと言えば満足するのか。いいや、違う、絶対に。とにかく、
「だから、私は、わかんないって」
「それならなんでっ…」
「大体、最初から知ってたならこんな苦労しないよっ」
「んなことないってっ」
「じゃあめりかの私はってなんなのっ。めりかの方こそ、私のこと嘘つき呼ばわりしないでよっ」
「私は嘘ついてないっ」
「そういうこと言ってるんじゃないってっ。あの、その、…疑っただけ」
「のぞみは私のこと信用してないっていうの?だからその機能のこと教えてくれないの?」
「だから知らなかったって言ってるじゃんっ」
「聞き飽きたよっ」
「…っ。だっ大体自分のこともわかってないのはめりかもじゃんっ。その目のこと説明できるわけ⁉︎」
「う、それは…。でも何で病院で逃げたのっ。やっぱりのぞみっ」
「うっさいってっ」
「聞いてるだけじゃんっ大声出すなっ」
「めりかこそ声超デカいって!」
お互いにわかろうとせず、関係にヒビが入る音がした。でも、私たちは、大声のせいで、たくさんの足音が聞こえていなかった。気づいた時には時すでに遅し。扉の向こうに、私を追ってきた人がいる。めりかもそれをみて我に帰った。
「わあああああああっ」
急いで逃げるが、はさみうちにされた。とっさに貯水槽の裏に逃げ込んだのは良くなかったようだ。残る逃げ道は、飛び降りるか、貯水槽の上に上がるか、それだけ。しかし、飛び降りるならば無事では済まない。貯水槽を囲う柵には鍵があり、登れる高さではない。これが絶体絶命という状況なのだろう。めりかがちらりとこちらを見た。おそらく、私の機能のことを考えているのだろう。だが、もうあの感覚は覚えていない。だからといっておとなしく捕まったりしたらそれこそおしまいである。私は覚悟を決めた。胸がどきどきして嫌な汗がつたう。私はめりかの手を握り、
屋上の柵を越えて飛び降りた。