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1話



「はああ。」


もう何回漏らしたか分からない大きなため息をつく。

服はこれで大丈夫か?髪型いまいち決まってない気するし…。

でも直してく時間も無いなぁ、おれから誘って遅刻はあり得んし、

そもそも今日か?何で今日?別に今日じゃなくても…

などと悶々と答えの出ない思いを巡らせる。


「はああ。」


いやでも、サークルのやつらに今日告るって勢いよく言っちゃったし、

これで告れなかったなんて言ったらいい笑いものになる。

いやでも、フラれたらそっちの方が笑いもんか、


「だったら今日はとりあえず楽しむだけでも…」


そんなことを延々と考えながら、部屋の中をウロウロしているうちに

待ち合わせ時間が迫っていた。


「はああ…いやでも、楽しも。せっかく遊びに行くんだから楽しまんとな。

 もう二度と2人で遊びに行くこともできないかも知れんし。」


と、最後はポジティブだかネガティブだか分かんない言葉をむりやり残し、

気持ちの整理がつかないまま外へと出かけた。




駅まで歩いて電車に乗り、またしばらく歩いて待ち合わせ場所に到着する。

先輩はまだ来てない、よかったと胸を撫でおろす。


「あと、20分か…」


ただ待っているだけだとまた、あーでなもい、こーでもないと考えてしまう。

早く先輩に会いたいという気持ちもあるが、

来たら来たで軽いパニック状態になってしまい上手く話せないのではという恐怖心もあり、

100%歓迎という訳でも無い。

この持っている時間は何とも言えない複雑な気持ちでソワソワする。


「ワンチャン予定延期もありだな…今日じゃなくて別の日でも…」


「え?なに?なんて言ったの?」


………………心臓がヒュッてなった。

それと同時にバクバクと鼓動が早く大きくなっていく。

驚いたこともあって瞬間的に無難な第一声が出せた、


「いや、びっくりさせないでくださいよ!まじビビったぁ…………………………」


その間0.01秒、彼女を凝視した。

よく分からんが死ぬほどウルトラダンシングウルトラソウルでGOGO電車でGOGOウルトラロマンティックでクソクソ可愛い。

おれの心では完全にカーニバルがおっ始まっていた。


「いや、だって声掛けようと思ったら、何かブツブツ言ってたからさー

 ちょっと驚かせちゃおうと思って。」


ニコっと笑っておれの顔を覗き込む。

それに反応しておれの顔は真っ赤になり、恥ずかしくて慌てて顔をそらした。


さっきから心の中ではカーニバルがさらに過熱し、暴徒化する連中の波が押し寄せて来ていたが、

寸前のところで我に返る、何か話さなければ。

とりあえず、今日の服が似合っていることをスマートに伝えよう!


「きょ…………………行きましょうか。」


「よし、今日は遊ぶぞー!」


言える訳ねえええええええええええええええええええ

そんなん言って、「は?キモっ。」とか言われたら、もうお婿さんに行けないわ!

いや、婿に行くつもりは無かった、結婚したら田舎帰るし!

じゃあ大丈夫だ!よかった—――、ってなんでやねん!


…完全に頭がバグってる。

うん、こんなんで今日告れる訳ないっぺ、戦略的撤退しかないっぺ、うんうん。

殆ど意識が飛んだおれを先輩が引き戻す。


「どこ行こうとか決めてた?」


「…一応、考えてましたけど先輩行きたいとこあれば全然そっちでも大丈…。」


「そうなんだ!じゃああそこ行こっか!この辺来た時は絶対行くんだー。

 めっちゃ楽しいよ!」


聞く意味あった?まあ別にたいしたプランがあった訳じゃないですけども、

一応結構頑張って考えたんですけども、デートのつもりなんですけども、

…まあでもそういう無邪気な感じ嫌いじゃないしな、うん。

初めて会った時から彼女のペースに乗せられるのは嫌いじゃない、むしろ心地いい。

気づいたらいつの間にか初めの緊張はどこかに消えていた。


緊張が解けてから遊んでいる時間はホントに一瞬だった。


「…やっぱり居心地いいんだよなあ、美人のくせに。」


「なんか言った?」


「いや、別に。」


「今日ひとり言多いね。」


ニコッと笑ってまたおれの顔を覗き込み、そしておれは顔をそらす。

先輩が何かを見つけて速足でおれを呼ぶ。

彼女の楽しそうな横顔をうっすらと視界に捉えながら

やっぱり彼女が好きだと思った。



※ここまで読んで頂きありがとうございます!

 また、明日(4月22日)17時ごろに第2話を投稿します。


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