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境界防衛  作者: 蓑火子
労使の闘争にて
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第27話 おとぼけの女/軍事教官な男

「【いつの日かハーレム軍団を編成してみたいと考えていた。この娘たちはそのとっかかりになるかもな】」


 蛮斧の人間が、我が祖国の古語を習得しているとは驚きである。今や光曜でも、話者は少ないというのに。本当にこの人物は何者なのだろう。


「【その暁には、是非あなたも招待したい】」


 何かくだらない願望を呈された。これに回答するべきではあるまい。そしてやはり私が術から脱している、と考えている。メイドたちの顔は疑問符に満ち、不思議なものを前に困惑するように、軍司令官と私を見比べている。


「【なぜって?あなたが自己を保っているからだ。強い意志の力によってか、魔術の力によってかはワカらないが。若い子らの教育係としては丁度良い。そう思いませんかね】」


 不思議な催眠絡みの話。明らかな挑発だが、これにも反応をするべきではあるまい。私は首を傾げて困ったフリを作る。


「【ワカらないフリをしているな……?ならばもう一度イって視るか】」


 まずい、二発目が来るか。今、魔術の障壁を張っているが、効果は定かでない。誤魔化し通せるか?


「あの……言葉が……」


 軍司令官の昏い目が光った瞬間、


ガチャ


「あれ」


 扉が開いて庁舎隊長が入ってきた。


「みなさん話に花が咲いているようで」


 見事なタイミングに感謝の言葉もない。


「今の何語すか?」


 露骨に険しい顔になった軍司令官。


「庁舎隊長ここはもう定員だ」

「のようですね。では失礼」


 そしてすぐに出て行こうとする。誘いが巧い。


「おい待ちたまえ。暴徒の群れはどうなった?」

「庁舎に入り込んだ連中は全員叩きのめしましたよ」

「かなりの数がいたはずだが」

「この塔の階段に追い込んで、まあ一人ずつ」


 私の依頼と暴徒殲滅を同じ手段でこなしたか。なら、この場所が襲撃される恐れは無くなったということ。この部屋に避難する理由も消えた。


「庁舎が包囲されていることに違いはありませんが」

「喧嘩自慢のキミが行って、ブチのめしてこい」

「その前に、庁舎から出ないといけませんが」

「なら早く行きたまえ。私はこちらマリス殿と話の続きがあるんでね」


 御免被る。相手の正体が判然としない上、未知の力の持ち主だ。今はなんとか回避したい。


「それが、この塔の入り口付近で出火しました」

「なに」

「火事です」

「な、なんだって」

「暴徒の何人かが火炎瓶攻撃を仕掛けてきまして。で、もう階段からの脱出は困難すよ。私も上以外に逃げられず、ここに来たんです」

「あ、あああ!煙が!」


 焦げ臭さが立ち上ってきて、メイドが次々に悲鳴を上げる。石造の塔と言えども、木材は使用されている。このままでは火に巻かれるか、塔の崩落に巻き込まれてしまうだろう。


「な、な、な」


 軍司令官が蒼白になった。その力、どうやら敵対者を退けることはできても、火災からは逃げられないらしい。未知の能力の特徴も見えてきた。


「庁舎隊長、キミがここに来たということは、わた、私たちを助けに来たということか」

「正確には光曜の宰相閣下をですが」


 軽口に幾分かの真実もあり、らしくもなく胸が疼く。


「な、なぜだ」

「な、なぜってそりゃ、この方が私の管轄だからですけど……」

「このメイドたちはどうする。庁舎付きの彼女らだってキミの管轄だろう」

「今なんか私の管轄っぽくないんで……言うこと聞かないし……」


 抗議したくも心当たりがあるのだろう、言葉が出てこないメイド達を、人の悪い顔で一瞥する庁舎隊長。楽しんでいる。


「でも、閣下がなんとかなさるんでしょ」


 庁舎隊長はわざととぼけているに違いない。軍司令官は凄い剣幕かつ尊大に彼を指差す。


「か、階段は使えないのだろう?なら、キミがなんとかするしかあるまい!」

「えっ、私?」

「庁舎隊長!」


 ついに怒った。そんな軍司令官から少し距離を取るメイドたち。 


「ま、まあ、できる限りのことはしますが……」


 最初から彼らの救済は決めていたのだろうが、メイドたちはその煮え切らない態度に怒り、遠慮なしに感情をぶつけ始める。憧れの軍司令官の前だというのに。


「なんなんですかそれ」

「なんなんだとはなんだよ」

「この縦割男!」

「なんだとこのアマ!おれはお前らの上司だぞ!」

「私たちの存在が好ましくないと……」

「んなこた言ってないだろうが」

「来た道が帰り道って意味ですか?」

「そ、それも言ってない」

「怖い……怖い!」

「やかましい泣くな!」

「キミ、女性に対してなんという態度なんだ!」

「いやしかしですね」

「……」


 狂騒の中、アリシア一人落ち着いているのが面白い。状況を俯瞰しているかのようで、自分がここで死ぬとはまるで考えていない気配。意外だったが彼女は庁舎隊長を理解していると見た。私もここは、成り行きに任せよう。


「うっ、煙が濃くなってきたぞ」

「死にたくない!」

「早くしたまえ!」

「ワカってますよ。宰相閣下、おみ足下を失礼しますよ」


 私の座っていた椅子のあたりにしゃがんだ庁舎隊長。見るからに重そうな敷石を持ち上げた。


「よいしょっと」


 すると、そこには石弓にロープ、そして滑車のようなものや不思議な形をした石組等が入っていた。避難道具一式のようだ。


「こんなものが」

「まあ、とどのつまりここは牢獄ですけど、客間でもあるんでね。緊急時アイテムです」


 実に人道的な配慮である。少なくとも野蛮人には相応しからぬ備えだ。次いで庁舎隊長は手に持っていた石と石組を器用に組み合わせ始めた。


「だがどうやって外側に出る」

「天窓の辺りの石枠は、この石組をつがえさせれば外せます」

「なんと」


 庁舎隊長の作業で外された石枠が、鈍い音を立てて床に置かれた。広がった非常口は、人の肩幅位はありそうだった。なるほど。よく考えられている。


 もはや、庁舎隊長の行動に疑義を挟む者もない。煙の濃度に比例して、彼はてきぱきと作業を行う。道具を抱え、たやすく屋上へ上がり、ロープに滑車をかけ、石弓を発射して、器用にロープを張った。どこを終点としているかは見えないが、あらかじめ想定していた場所があるのだろう。


「よし、出来た」

「かなりの傾斜があるようだが」

「そりゃこの建物、前線都市で一番高いんすから。多少はしょうがないすよ」

「多少ではなさそうだぞ……これで外に出た事はあるのか?」

「一度だけ試したことがありますよ。夜でしたが」

「キミがか」

「いや、私の部下がです」

「そいつは怪我しなかったか」

「打撲と擦り傷程度です。まあ、二度と高い所に行けなくなりましたが」

「なんだって」

「高い場所は嫌だと泣くんすよね……まあ、上手に受け身をとれば大丈夫ですよ」

「いや……そいつは心がだな……」

「さあ、脱出しましょう。早く早く!」


 軍司令官の懸念を聞き流し、上から手を差し伸べる庁舎隊長は楽しそうだ。今の話もあり、その手を取る者は誰もいない。こんな時にいざ怖じ気付くのはやむを得ない。しかし、


「おっ」

「庁舎隊長殿、お願いします」


 まずアリシアが率先して動いた。笑顔でその体を引っ張り上げる庁舎隊長。


「ありがとうございます」

「お前軽いな。もっと食った方がいいぜ」

「景色、良い……」


 アリシアの言葉に気持ちを切り替えることが出来たのか、あるいは命には代えられないと意を決したのか、他のメイドたちも動き出す。


「お願いします」

「よっと。ウン、軽くはなかった!」

「なんですって!」

「つ、次は私です。は、早く」

「ほらよっと。うーん、重い……ってそんな怖い顔すんな。落ちるなよ」

「……」

「ほれ、次」

「……」

「は、早くしろよ」


 何か躊躇するエリアを、レリアが後ろから持ち上げる。


「この娘、男の手を握ったことがないから」

「お前は?よっとっとお前も軽いな、メガネズレたぞ」

「握りまくりです」

「イイねえほらよっと。うん、一番重くはなかった」

「黙れ」

「ほら次だ」

「こ、怖い……」

「じゃあここで焼け死ぬか?」

「嫌……」

「なら手を伸ばせ。そうだそうそう。ほらよっと。あれれ、意外と軽くないなあ」

「……」


 庁舎隊長の手によって、メイドたちは次々に屋上へ引っ張り上げられ、私と軍司令官が残る。不意に目と目が合い、気まずい空気となる中、私は相手をお先にと勧めるしかない。


「お先にどうぞ」

「す、すまないね。それでは」


 目の中の感情が揺れていた。どうも軍司令官はこんな緊急時に力が出るタイプでは無いようだ。それでも、混乱防止に配慮して心の動揺をこらえて抑えている様子であることは誉められて良い。


「閣下、ご指名は?」

「な、なに?」

「指名ですよ。誰が良いんです?漢の手で引き上げられるのはイヤなんじゃないですか」

「決まってるだろう」

「気が合いますな。私もなんですよ」

「我慢してるんだよ。だからキミもそうしたまえ、さあ!」

「はいはい……閣下、軽いですね」

「脳みそが軽いよりはマシだ」


 脳みそが軽いから体も軽いんですよ、という言葉を庁舎隊長が飲み込んだ瞬間を私は見た。上で、アリアが差し出したハンカチで手を拭う軍司令官。喜劇的な場面だが、


「ああ!」

「うわっ!」

「ああ……」

「うわあ……」

「きゃあ!」


 上から見下ろした脱出ルートの傾斜のキツさに、メイドたちが各々の悲鳴をあげている。それらを無視して、


「閣下が最後ですね」


庁舎隊長が私に手を差し出す。


「はい。この部屋とお別れとは、少々名残り惜しくもあり……」

「ウチの隊のヤツらの消火作業が上手くいけば、引っ越す必要ないかもしれませんが」

「そうですね」


 緊急のためとはいえ、極秘の非常用設備を露呈したのだ。そうも行くまいが、私はなにとはなしに彼の意見に協力する気になる。


 非常口から見える空は曇っている。今この瞬間、私は前出撃隊長を、庁舎隊長の赤毛の幼馴染の酒場付近に待機させている。無論、彼女を騒動の危険から守るためだが、日々前出撃隊長の巨体に蓄積させつづけていた衝力を、上空へ向けて解き放った。付近の鳥が一斉にはばたく。


「では閣下も。はい」

「余計な補足はいりませんよ」


 釘を刺してからその手を握る。それは戦士の厚い手だったが、どこか冷たく、


「よっと。なんですって?」


 軽々と引き上げられる。


「いやあ、軽かった」

「庁舎隊長殿」

「ワワワ、本当ですよ、ワワワワワ!」


 まあ楽しそうで何よりである。


「キミ、笑ってないで、早く器具の使い方を教えてくれ!」

「はいはい」


 ロープについた滑車に掴みが取り付けられた。


「これを両手で握って降るだけです。地上まではなんと数秒!」

「そ、そうか」

「ですが、この人数は想定していなかったため、なんと滑車は三つしかありません」

「なんだって」

「快適でないだけで、滑車がなくたって降りれますよ。この角度なら」


 暴徒たちに見つからないよう、下を覗き込む庁舎隊長。


「頼むから、私たちを真面目に、堅実に、しっかりと確かに無事に怪我なく下ろしてくれ!達成したら褒美をやるから」

「えっ、本当ですか」


 この宣言は、発信者の性格からして疑わしい気もする。


「約束しよう……一応言っておくが、今起きている暴動の件だが、私はボーナスは弾むと約束したことなど誰にも一度もないのだからな。誰かが勝手に言い始めたことだ」

「はあ」


 つまり約束は守る、と言う軍司令官なりの宣言なのだろうが、約束していないボーナス支給問題の解決とはすなわち政治だ。その観点からみれば統治者失格。ただし、他に目的があるのか否か。


 ロープは、庁舎の敷地外にあるユリノキのような高木に渡されている。暴徒たちはこの脱出作戦にまだ気がついていないようだ。


「では誰から行きますか」

「庁舎隊長、君は最後だぞ」

「ワカってますって」


 だが、恐怖が先行して、誰も手を上げない。


「おい、勇敢女。お前、先鋒どうだ」


 と、アリシアに提案する庁舎隊長。指名された彼女はためらうことなくうなずいた。


「軍司令官閣下のお許しがあれば、私が先鋒を務めましょう」

「よし。と言うわけで軍司令官閣下」

「ワ、ワカった」

「次鋒は軍司令官すよ」

「ワ、ワカった……え、私がか?」


 緊張が高まっている。


「あんたなら荒くれが迫ってきても、なんかどっか行かせられるでしょ?」


 やはり庁舎隊長は色々見ている。今の私の理解では、あれは催眠や暗示の類だが。


「ま、まあ、私の威厳の前には?誰だってそうなるさ」

「じゃあ決まりで。後の順番は勝手に決めさせてもらうぜ。軍司令官の次はお前その次はお前その次はお前そのまた次はお前そして」


 私の方へ向き直る庁舎隊長。


「最後の私の前は閣下ですね」


 衆人環境の中、ここまで開けっ広げに好意を示されるのは拙い気もするが、幸いにも他の者は動揺が極まっている。が、アリシアはよく見ているようだった。


「以上。では作戦開始だ。いいか勇敢女、あの木が目標だ。下まで降ったら、木との距離をうまく見て着地できるように手を離せ。バランスを崩したら受身を取れ。事前準備として木にはムシロが巻いてあるから直撃しても死にはしないが、そんときゃ目は回るぜ。ワカったか?」

「下まで降ったら、なるべく木にぶつからないように着地。はい、ワカりました」

「着いたら隠れてろよ。よし、行け!」


 アリシアが躊躇なく出発した。滑車が軽快にロープを滑っていく。が、それなりの音が鳴っており、すぐに暴徒らに気がつかれるだろう。庁舎隊長がみなに聞かせるように呟く。


「そこだ手を離せ」


 あっという間に下まで降ったアリシアは、きれいなフォームで手を離し、模範的な着地を示した。運動神経に優れているようだ。


 小さく歓声が上がる。


「いい手本になったな、よし。では次」


 滑車ではなく、ベルトを手渡された軍司令官。


「ム」

「これでも十分ですから」

「こ、こ、これでだと?」

「滑車は女どもの方がいいでしょ。まあ、要は滑り落ちて行けばイイんです。私も同じくベルトで行きますよ、ほら」


 女性尊重主義を出されて反論できない軍司令官、ふと私を見て質問する。


「これも、貴国では過度な配慮に当たるのかな」


 私は困った顔を作ることで返事とした。配置につく軍司令官。一歩、足が前に出ないようで、庁舎隊長を振り向き、


「なあ、やっぱり他の良い手を考えぐわっ」


 軍司令官は庁舎隊長の手により強引に押し出された。笑う庁舎隊長はご機嫌だ。


「ワワワワワ」

「あぁー」

「あんなに声を上げたらバレるって……ああ、下手くそな着地だ、痛そー」


 その所業を流れる川の様に非難するメイドたち。


「なんてことを!」

「この都市で一番偉い方に対して!」

「恐れを知らぬ無礼な蛮行」

「きっと天罰が下りますよ」

「怖い!怖い!」

「やかましい下女どもがオラッ!」

「あっ、痛い!」


 怒鳴った庁舎隊長、アリアの頭を鷲掴みにしてロープの前に立たせて怒る。彼女はメイド頭といった地位にある大変な美人かつ清廉で誇り高い女性だが、彼は容赦しない。その瞳は無理矢理地上へ向けられた。


「見ろクソ女め!現実を見やがれ!」

「あうっ……」

「庁舎は包囲され、火が放たれた!降りた先の安全もない!ここは戦場、躊躇臆病が最大の敵だ!」

「っ……」

「しかも脱出ルートは一つしかねえ!時間の浪費は許さん!次、無駄口を叩いたらこの高さから突き落としてやる。女だろうが容赦はしない!」


 ちょっとやりすぎのようだが、メイドたちはみな押し黙った。


「冗談じゃない。おれは冗談は嫌いだ。出来ることしか口にしない。さあ下女頭、下で軍司令官閣下がお待ちかねだぜ。早く追いついて、腰でもさすってやれ!」

「うぐっ!」


 なんと。アリアを足蹴にした。彼女はベルトより簡素な、しずわに紐を掛けたような即席道具を握りしめ、声も無く滑っていった。


「次!」


 女たち相手に軍事教官のような声を出すこの男が、彼女らから嫌われる理由が完璧に理解できた。しかし、この場では有効だ。声に従い弾かれたように動いたクレアには滑車が手渡され、


「よーし行け!」


 蹴り落とされる前に鳥のように飛び立っていった。


「次!」


 大人しいエリアの番だ。機敏に、では無いが、頑張って前に出た。そして、しずわを渡される。


「か、滑車がいいです」

「ダメだ」

「ど、どうして……お願ああーーーー……」


 押し出され、降下した。蹴られるよりはマシと言える。


「次!」

「……アハ、私は滑車じゃないってワカってた」

「お利口さんだな。自分で行くか、押されたいか」

「勇気がないから押して欲しわあっ!」


 またしても押されて行った。


「次!」

「!……滑車は私のじゃないの!?」

「予言してやる。いつものノリだと墜落して死ぬ。それが嫌なら、今だけでもカマトト振るのはやめるんだな」

「そんなあ……っぎゃああああああーーーー……」


 エリシアは極めて冷酷な口調のタクロに押され、一番うるさい悲鳴で下って行った。一仕事終えた顔をこちらに向ける庁舎隊長。


「お待たせしました閣下。では、我らも参りましょうか」

「その前に」

「あまり時間はありませんよ」

「何故、クレアにだけ滑車を?」

「クレア……ああ、そんな名前でしたっけあの女」

「タクロ君」

「あ、いや、体調が悪そうに見えたってだけです」


 その通り。私の眼にも、クレアは軽い風邪を引いていた。


「ちゃんと見ているのですね」

「まあまあ。はい、閣下は滑車ですよ」

「貴国にとって、私は重要な捕虜だから?」

「その通り。はは、いやまあ。単なる私の贔屓ですよ」

「それだけですか?」

「え」

「あなたは私に本心を触れられたくないのかしら」


 私は風を鋭く繰り動かし、ロープを切断した。


「げげっ!」


 力なく落下していくロープを驚愕の視線で眺める庁舎隊長であった。

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