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受付嬢のお仕事-1

チリリリリン、チリリリリン、チリリリ…


バシン!

と何かを叩く音とともに、可愛らしくなっていた鈴の音のようなものが止まった。


「あぁ、今日も朝が来た…」


頭をガシガシとかきながら起き上がる。

今日もシエラのいつもの日常が始まる。


時刻は朝の6時。

いつも通り、目覚まし時計に起こされたシエラは、大きく伸びをして、ベッドから起き上がると、タオルを持って洗面所へと向かった。


「あ、おはようシエラ」


「おはよう、ルー」


ちょうど一緒になった同僚のルーに、寝ぼけ眼でふらふらしながらも、シエラは挨拶をする。

冷たい水が貯められた水槽から、近くにあった桶で水を汲み、顔を洗う。


「あー、目が覚める」


何度か顔を洗った後、タオルで顔を拭き、またあとでね、とルーに声をかけて、部屋に戻る。


「さて、制服に着替えるかー」


クローゼットを開けて制服を取り出し、着替える。


(あ、そういえば、昨日、作業着のまま帰ったんだった。。。

忘れずに今日、昨日着てた制服を持って帰らないと。)


昨日のことを思い出し、テンションが一気に下がる。

着替え終わったら、荷物を持って、1階の食堂へ向かう。すでに何人かの同僚たちが、朝食をとっていた。


「お、おはよう、シエラ。今日はちょっと早いんじゃねーか?」


そういって声をかけてきたのは、同僚で解体場担当のルーカスだった。


「おはよう、ルーカス。そういうルーカスこそ、早くない?」


手渡された朝食をもって、ルーカスの前に座る。

解体場はその名の通り、持ち込まれた動物や魔獣たちから素材などを回収するための解体作業を専門として行う人たちがいる場所で、そこで働く人たちは、ギルド所属の職員となっている。その仕事の特性上、朝は遅く、夜が遅いことが多いため、シエラたち受付嬢が朝食をとる時間と被ることが少ないのだが。


「あぁ、俺らは珍しく、今日は朝一から解体作業なんだよ。昨日の夜遅くに魔獣が結構な数持ち込まれたらしくてな。血抜きなんかの簡単な作業をした後、魔法使える奴にいったん素材を氷漬けにしてもらって、今日、みんなで早朝出勤して対応すんだよ」


その言葉に、昨日、剛腕の稲妻たちがジャイアントボアを大量討伐したのを思い出した。


「あぁ、ジャイアントボアね」


シエラはそう呟きながら、お皿に乗っていたサンドイッチをパクっと頬張る。


「もしかして、シエラの担当冒険者か?」


聞かれて、うん、と頷いた。


「てことは、持ち込みもあの時間だし、また残業か」


くつくつと笑うルーカスを、シエラはギロリと睨みつけた。


「笑い事じゃないんですけど?」


コップに入ったミルクをグイっと飲み干し、シエラが言う。


「いやいや、だってお前、ここのギルドで残業したくないとか、無理だろ」


ルーカスの言葉に、シエラはうっ、と言葉に詰まる。


「お前も知ってんだろ?周囲を鉱山、森、海と豊富な資源に囲まれ、かつ、街のど真ん中に大きなダンジョンまである。ここのギルドは世界一忙しいって有名じゃねーか」


「わかってるよ、そんなこと…」


改めてルーカスに言葉にされて、思わぬダメージを受けるシエラ。そんなシエラを見て、ルーカスはくすくすと笑った。


「ま、いつか残業のない日があるといいな。それじゃ、お先に」


ルーカスはそのまま席を立って、出勤していった。

シエラも、はぁ、とため息をついた後、残っていた果物を食べて、食堂を後にした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 周囲が豊富な自然には溢れダンジョンまである まさに冒険者の稼ぎ場みたいなとこなのに、ギルドはシエラのように田舎から人員引っ張ってきてもまだ残業当たり前の人員不足というチグハグさ 経営陣が無能…
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