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時間が遅くなってしまったこともあり、シエラは食堂で簡単に食べられるおにぎりと野菜の盛り合わせを包んでもらうと、一度寮へと戻った。


「遅くなってごめん!お昼ご飯、持ってきたよ」


自分の部屋に入ると、ベッドで寝ていたコーカス達が頭を上げて、シエラの方を見た。

本当は引きずってでもギルドに連れていくつもりだったのだが、朝、あの後、二人は速攻でトイレにこもってしまったため、仕方なく、部屋でそのまま休ませることにしていたので、昼食を与えるため、戻ってきたのだった。


「少しは二日酔い、マシになった?」


机の上に買ってきた野菜の盛り合わせを置きながら聞くと、コーカスがだいぶマシになってきた、と答えながら、机の方に歩いてきた。


「あとちょっとってとこっぽいかな?はい、これ。二日酔いに効く解毒ポーション。器に入れとくから、飲んでね?」


そういって、ドロリとした深緑色の怪しげな臭いを放つ液体を、小さめの器に流し込んで、野菜の盛り合わせの側に置いた。


「…し、シエラ?このポーション、飲めるのか?」


不安げな声色で、トーカスが聞く。


「飲めるよ?普通の解毒ポーションと違って、二日酔いの解消に特化したポーションだから、すっごくまずいけど」


そういってシエラはにっこりと笑った。


「明日には復活してもらわないと困るから、必ず飲んどいてね?あ、あんまりこのままにしてたら、部屋の中が臭くなるから、早めに飲んでくれると助かる」


「「えぇ…」」


あはは、と笑うシエラにコーカスはため息交じりに、わかった、と頷き返した。


「今日、ゆっくりと休ませてくれたのだ、明日までには復活と約束しよう」


二日酔いの話である。


「…まぁいいわ。とりあえず、よろしくね?」


そう言い残して、シエラは部屋を後にし、急いでギルドへと戻った。


◆◆◆


ちょうどギルドに到着し、中に入ろうとしたところで、隣の食堂からスミレが出てくるのを見つけたシエラは、慌ててスミレに声をかけて駆け寄った。


「シエラさん!こんにちわ。…あれ?今日は師匠たちはいなんですか?」


「あぁー…うん。実はね、二日酔いで二人とも、今日は部屋で休んでるんだ」


シエラの言葉に、スミレは少し驚いた顔をする。


「コッカトリスでも二日酔いってなるんですね」


スミレの言葉に、シエラは苦笑した。


「そうだ、あの、ね?スミレちゃん、今日、これからって時間、ちょっとあったりする?」


少し申し訳なさそうに聞くシエラに、スミレはきょとんとした表情で首を傾げる。


「これからですか?私は何もないので大丈夫ですよ?」


「そっか、それじゃごめん、一緒にちょっと来てくれるかな?」


そう言って、シエラはスミレをギルドの会議室へと案内する。


「急にごめんね」


用意したお茶をスミレに出すと、シエラはスミレと向かい合うようにしてソファに座った。


「いえ、全然気にしないでください。それより、どうしたんですか?」


スミレが聞くと、シエラは立ち上がり、深々と頭を下げた。


「スミレちゃん、本当にごめんなさい」


「え?え??」


訳が分からず混乱するスミレに、シエラは、ギルドマスターに言われて気づいたリスクについて説明し、事前にそのことに考えが至らなかったことや、そのせいで、スミレにも危険があったかもしれないことなどを伝え、もう一度詫びた。


「…シエラさん、頭を上げてください」


シエラが頭を上げると、そこには真剣な表情をしたスミレの姿があった。


「シエラさん。私は、成人の儀を受けた後、ずっと、採取のお仕事しかできていません。この間だって、討伐のお仕事を受けて、森に入ったわけじゃないですし、師匠たちがいなければ、森に入ろうと思ってなかったと思います」


スミレの言葉を、シエラは静かに聞く。


「…でも、だからと言って、私自身、何の覚悟もなく、冒険者になったつもりはありません。それに、シエラさんから見たら、まだまだだと思うけど、私はもう、冒険者です。…なんにも考えずに、この間の提案を受けたわけじゃないです。ちゃんと自分なりに考えて、あの提案は受けたんです」


にっこりと笑うスミレに、シエラはあぁ、と唇をかみしめた。


(私は、また…)


「…そんな顔、しないでください。シエラさん、また、私に失礼なこと言ったとか、思ってません?」


言われて、シエラは驚いた顔をする。そんなシエラの顔を見て、スミレは苦笑した。


「ちゃんと、シエラさんの善意だってこと、わかってます。でも、シエラさん、いつも言ってるじゃないですか。冒険者は自己責任だ、って。もう、成人の儀をちゃんと受けた一人前なんです。いつまでも子ども扱いしないでください」


胸を張って言うスミレに、シエラは本当に、ごめんね、とまた謝ると、シエラは苦笑した。


「もう、ほんとに気にしないでください」


シエラはスミレに、ありがとう、と頭を下げた。

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