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それでも朝はやってくる

「おはよーって…なんか、今日は一段とひどい顔してない?大丈夫?ジェルマさんにでも捕まったの?」


何とか寝坊せずに起きることに成功したシエラだったが、寮の廊下で出合い頭にルーに心配されてしまった。


「おはよう、ルー。いや、ジェルマさんじゃないんだけどね…ちょっと、面倒なのに捕まったせいで、帰るのが遅くなったのよ…」


昨夜は、なかなか帰るといっても許可証を渡してくれないエディに痺れを切らし、とにかく、エディに酒を大量に飲ませて潰し、無理やり奪い取ってお開きにしたのが、日付が変わる直前のことだった。

次の日も仕事がある、と何度言っても話を聞かないエディ達に、お酒が入ってすっかり気分が良くなったコーカス達も、中々帰ろうとしなかったのが原因だった。


「そうそう、今日からコーカス達も一緒に食堂でご飯食べるようになるから、よろしくね」


エディの持っていた許可証を管理人に渡し、晴れて、堂々とコーカスとトーカスを連れて寮を出入りできるようになったシエラは、ルーにそのことを伝えた。


「あ、許可が無事に下りたの?よかったね!」


「ほんと、よかったよー…あ。あとで、食堂のおばちゃんたちに、マイスとかの野菜を定期的に仕入れておいてもらえるようお願いしとかなくちゃ」


ルンルン気分のシエラに、ルーが苦笑する。


「とりあえず、顔洗ってそのひどい顔、何とかしてから来なさいよ?スミレちゃんあたりが見たら、心配されるわよ?」


え、そこまでひどい顔してる?とシエラはペタペタと自分の顔を触りながら、わかった、と答えると、顔を洗って部屋で身支度を整えた。


「さて!出勤時間だよ!朝食食べるなら起きて!!」


シエラがパンパン!と手を叩いて二人を起こす。

だが。


「…今日はここで一日休んでいる」


「お、俺も…」


調子に乗って、お酒もガンガン飲んでいたコーカス達は、二日酔いにより、撃沈していた。


「なっ…!?」


布団に潜り込もうとしたコーカスとトーカスの首根っこをグイっとシエラは捕まえると、まるで般若のような顔で二人を睨みつけた。


「こっちは昨日、散々今日仕事だから帰りたいって言ってたのに、それを無視してどんちゃん騒ぎしてたくせに…なに二人だけゆっくりと休もうとしてるのかなぁ?んん??」


「「ひっ!!」」


シエラの圧に思わず悲鳴を上げる二人。


「今日は二人をギルドで雇用するための書類の作成も予定してるんだから、絶対に連れていくからね?二日酔いごときで、仕事を休めると思ったら大間違いよ!」


そういうとシエラはぶんぶんと二人を大きくゆすった。


「や、やめ、吐く…!」

「わ、悪か、ごめ、や、やめてください…!」


懇願する二人に、シエラはふん、と鼻息荒く鳴らした。


「朝食は食べるの、食べないの、どっち?」


「「か、軽めのものでお願いします」」


「野菜盛で軽めってなに!?」


思わずシエラは突っ込みつつも、二人を抱きかかえて食堂へと向かった。

ニュ「ところでさー、なんでシエラはコーカスとトーカスに様つけてんの?」

シ「え?いや、だって、二人ともコッカトリスなんだよ?しかも、ネームド」

ニュ「いや、でもさ、シエラの方が主人なんだろ?おかしくね?コーカス達はどうなの?シエラに敬称つけられんの」

コ「敬称だなんだというのは、人間の決めたものだろう?我等は別に何とも思っておらん」

ト「時々敬語すらなくなるんだし、もう、普通に接してくれてもいいのに、と俺は思う」

シ「え」

エ「やめれば?」

シ「いや、でも」

ハ「傍目に見て、テイムしている従魔に敬語は少しおかしいと思いますよ?街の人が不安がりませんか?」

シ「うっ……わかりました」


というわけで、シエラは敬称&敬語を昨晩よりやめることになりました。

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