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教官は鶏でした-16

「さて、と。今日が締め切りでまだ報告に来てないのは1組だけか…あ、おかえりなさい、スミレちゃん。初めての森の探索はどうだった?」


ギルドに入ってきた少女と二羽の鶏を見つけたシエラは、にっこりと笑って声をかけた。

戻ってきたスミレは、魔獣の血の跡と思われるシミが防具についており、全身ドロドロの状態で、見た目にも疲労が伺えるほど、疲れた様子だった。


「ただいま、戻りました…」


言葉を発するのも一苦労、といった感じのスミレに、シエラは苦笑いしながら、これどうぞ、と、机に置いてあった小瓶から飴玉を一つ取り出して渡した。


「ありがとうございまふ」


口の中にすぐに放り込むと、カロカロと飴玉を転がして舐めた。


「少し、回復できた気がします」


スミレの言葉に、シエラはよかった、と頷く。


「師匠のおかげで、冒険者として必要なスキルの使い方や、鍛錬の仕方。討伐に対する心構えに、実践での注意すべき点等々…すごく勉強になりました」


「そっか、それは何よりです(って、師匠ってなに?)」


キラキラと目を輝かせながら語るスミレに、一体何があったのだろうか、と、一抹の不安を覚えるシエラ。だが、スミレの様子を見るに、コーカス指導の実戦訓練は悪くなかったようだ。


「あ、そうだ。これ、査定をお願いしたいんですが」


スミレがバッグから魔石や素材をカウンターに置いていく。その内容を見て、シエラは少し驚いた。


「これ、は…もしかして、ウッドアントとフォレストスパイダーを討伐してきたの?」


初めての森の探索だったので、てっきり、ラージマウスあたりで索敵と討伐の訓練を行うのだと思っていたシエラは、買取が可能な魔石を含めた素材を持ち込まれると思っていなかったので驚いた。


「別に驚くことはなかろう。所詮、小物だ」


「いやいやいや、だってスミレちゃん、私の記憶違いじゃなければ、初めての実戦…だったよね?」


もしかして、過去に狩り等をしたことがあったのか?と思わず疑問形でスミレに問いかけるシエラに、スミレはフルフルと頭を振って否定した。


「だよね?てっきり、ラージマウスあたりから始めると思ってたから、ちょっとびっくりしたよ」


シエラの言葉に、ケケッとトーカスが小さく笑った。


「ラージマウスなんて狩ってどうすんだよ。ただの動物だろ?あんなの」


「いやいやいや…最初はそんなもんじゃないの?いくら討伐推奨ランクがFの魔物とはいえ、買取可能な魔石が剥ぎ取りできる魔物だよ?ソロでいきなりっていうのは、ちょっとさすがに想定してなかった」


カウンターに置かれた素材の数を数えながらシエラは続ける。


「それにこの量。結構大変だったんじゃない?」


魔物の素材は、ウッドアントの魔石が8個に顎が3個。フォレストスパイダーの魔石が3個に、鎌が6本。おまけに、糸袋も1つ。その他にも、気付けタケが7個もあった。


「確かに師匠はスパルタだったから…でも、初めての森で、少し怖いこともあったけど、でも、とっても勉強になったんです!これからも、時間があるときは是非、指導をお願いします!」


「うむ。スミレは見込みがあるからな。努力を怠らぬ、というのであれば、見てやろう」


「ありがとうございます!」


鶏と少女が熱く手と手?を握り合う。なんてシュールな、と思わず突っ込みそうになるのをぐっとこらえて、シエラは引き出しから銀貨と銅貨を取り出した。


「それじゃスミレちゃん。ウッドアントの魔石が1個につき銅貨50枚、顎は1個につき銀貨1枚。フォレストスパイダーの魔石は1個につき銀貨1枚、鎌は1本につき銅貨80枚、糸袋は1個につき銀貨5枚です。気付けタケは1本で銅貨50枚なので合計で銀貨21枚と銅貨80枚になります。が、残念だけど、持ち込んでくれた鎌6本のうち2本に傷が入ってしまっているので、これがマイナス査定になってしまうので、買取額が2本分で銅貨30枚減ります。それと、糸袋も、真ん中のあたりに大きめの切り傷が入ってしまっているので残念だけど、これもマイナス査定で銀貨1枚減ります。なので、合計で銀貨20枚と銅貨50枚になりますが、よろしいですか?」


ゆっくりと内訳を説明していき、最終の買取金額を提示すると、スミレは大きく目を見開いた。


「そ、そんなにあるんですか!?」


その反応に、シエラは苦笑した。

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