教官は鶏でした-5
「そこで、なんだけど」
パン、と両手を叩いてシエラはにっこりと笑う。
「この、コーカス様とトーカス様を一緒に連れて、森に行ってみる、って言うのはどうかな?」
『え!?』
ロイとスミレが目を見開いて驚く。
「良い案だな。我等だけでは街から出ることも、街に戻ってくることも叶わんからな。こちらとしても、渡りに船だ」
こくこくと頷くコーカスに、スミレは動揺する。
「で、でも、コッカトリスさんって…魔獣…でしたよね…?」
シエラを見るスミレに、にっこりと笑って返す。
「大丈夫。今は(不本意ながら)私がテイムしているので」
『えぇ!?』
受付嬢で魔獣をテイムしているなど聞いたことがない、と、ロイは目を白黒とさせていた。
「なので、二人がスミレちゃんに危害を加えることはありませんし。実力に関しては、私が保証しますよ。それに、さっきのロイさんとコーカス様のやり取りを見たでしょう?」
なるほど、と頷くスミレ。
「それに、ほら。二人は見た目完全にただの珍しい色をした鶏ってだけだから、ペットと一緒に森に行くつもりで行けば、緊張もしないでしょう?」
「おい、それはそれでダメだろう」
コーカスの突っ込みに、シエラは「ただの冗談じゃないですか」とぷぅっと頬を膨らませる。
「まぁ、とにかく。もしよければ、一度、軽く森の様子見に行くときにでも、二人を連れて行ってみませんか?許可証に関しても、こちらとしてもメリットがあるお話になるので、私持ちでもちろん発行させてもらいますし」
どうかな?と聞くシエラに、スミレは小さく、お願いします、と頷いた。
「そうだ、ついでにこれから防具とかを見に行くのに、コーカス様とトーカス様も一緒に行って来たら?街の様子、見てみたいって前に言ってたし」
名案じゃない!とニコニコと笑って提案するシエラ。
「え…と、いいんでしょうか…?」
「いいですよね?コーカス様もトーカス様も」
二人に聞くと、どちらもこくんと頷いた。
「その代わり、我等にも小遣いを寄越せ」
「え?」
「スミレよ、マイスが売っている店は知っておるな?」
「え?マイスって、野菜の?」
「そうだ。シエラ、付き合う代わりにマイスを途中で買わせろ。そのための小遣いを寄越せ」
「スミレよ、お前は我らの代わりにマイスを買うのだ」
『これは、決定事項だ。これがダメだというのなら、我等は付き合わぬ』
声をハモらせる二人に、シエラは苦笑しながらも、はいはい、と頷いた。
「あ、ありがとうございます!美味しいお野菜屋さんを知っているので、案内しますね!」
スミレが言うと、二人は満足げに頷いた。




