緊急クエスト‐7
ゲートを抜けると、ここ数日で何度もやってきた森に到着した。
振り返ると、そこにあったはずの入り口は閉じてなくなってしまっている。
…とにかく、まずはゴブリンに鉢合わせしないように進まないと。
ていうか、ジェルマさんナイスだったわ!このままNOノック入室のことは有耶無耶にしてやる!
気を取り直し、深呼吸をすると、シエラはスキルを使って索敵を始める。
と、同時に、自分の背後に大きな気配を感じ、慌てて振り返る。
「あ…トーカス、様。げ、元気にしてましたか?」
そこには漆黒のコッカトリス、トーカスの姿があった。
「ケー!!!!!」
トーカスが叫ぶ。あまりの声の大きさに、シエラは思わず耳をふさいだ。
「む?なんだ…シエラではないか。お前、そんなに頻繁にここにやってくるとは、暇なのか?」
バサバサっという音とともに現れたのは、白銀のコッカトリス、コーカスだった。
「ひ、暇なわけないでしょ!って、そうじゃない、ちょうどよかった!じゃなくてよかったです!コーカス様とトーカス様に折り入ってお願いがあって、参りました!」
そう言って、シエラはまず、マイスをバッグから2本取り出し、1本ずつを二匹に献上する。
「…堅苦しい話し方はいらん。まぁ、それを持ってきたのならば、話くらいは聞いてやろう。なんだ?」
コーカスが優雅にマイスをつつきながら聞いてくる。トーカスはすでに食べ終わっており、シエラにおかわりを要求している。
「あの、この森の奥で、ゴブリンが集落を作っていまして。その、ゴブリン退治にお力添えをいただけないかと」
シエラが言うと、コーカスはふん、と鼻で笑った。
「ゴブリンなんぞ相手にしたところで、トーカスの狩りの練習にもならん」
「スカウト、アーチャーもいたそうで、メイジの姿もあったと聞いています」
シエラの言葉に、コーカスはふむ、とマイスをついばむのを止める。
「おそらくではありますが、かなりの規模の集落を作っていることが予想されており、下手をすると、キングがいる可能性もあります」
ゴブリンキングはその名の通り、ゴブリンを束ねる長である。ゴブリンに知能があるとはいえ、人間で言えば子供程度だが、上位種に進化すればするほど、その知能はどんどん上がっていく。メイジは魔法を使うことができるほどの知能を持ち、それを束ね、指揮することができるキングは、知能はもちろん、攻撃力なども、普通のそこらにいるゴブリンなどとは比べ物にならないくらい、強力だ。
「なるほど。キングとなれば話は別だな」
コーカスは、残っていたマイスを一気についばみ、食べきる。
「シエラ。もちろん、今回持ってきたマイスはたったこれっぽっちではあるまいな?」
「は、はい!ただ、急なことで数が揃えられなかったので、前回ほどの量はありません。代わりに、マイス以外の豆や穀物などを持ってこれるだけ持ってきています」
シエラが答えると、コーカスは雄たけびを上げた。
「よし、それを寄越すというのであれば、今回は手伝ってやろうではないか。トーカスの狩りの練習にもってこいだ!」
「あ、ありがとうございます!」
交渉がうまくいった!と、シエラは胸をなでおろした。




