緊急クエスト-4
ジェルマがなかなか戻ってこない為、シエラ達受付嬢は一度会議室に代表者が集まり、進捗を報告しあった。
「正直なところ、これ、うちのギルドだけじゃ手に余るよね」
ため息混じりにルーが言う。
「そだね。高ランカー、どのくらいの集まりそう?」
「正直なところ、今回はタイミング悪く、抱えてるAランク以上の冒険者がほとんど依頼で出ちゃってるんだよね。召集状は出したけど、明日までに戻ってこれる人がいるのかはわからないわ。時間がなさすぎるのよ」
そうだよね、と、シエラも難しい表情を浮かべる。
「物資に関してはなんとかなりそうなんだけど‥それにしても、なんで今回、こんな大規模な集落ができた事に、誰も気づかなかったんだろ?」
アヤが首をひねる。
そもそも、ゴブリンが集落を作るほど数が集まっている場合、近隣の村や町から、必ず被害が出てくる為、それに伴い、ゴブリン退治の依頼が明らかに増えてくるはずなのだ。
だが、ゴブリン退治の依頼に関しては、通常の範囲内程度しかなく、それといった兆候は表れてはいなかったはず。
そうなると、奴らはどうやって集落を作れるまでに巨大化できたのか。
「それらしい兆候があれば、もう少し早く対応できたかもしれないっていうのにね」
たられば話はしていてもキリがない。
とにかく、今はできる事をしていくしかない。
「とりあえず、メインがBランク冒険者になりそうってことだよね。人数は」
ちらりとルーを見る。
「今のところ、動けるのは7か8パーティーくらい。他はダンジョンに潜ってたりしてて、連絡がつかないから、あまり期待しない方がいいわ」
その言葉にガックリと項垂れる。
「わかった。とりあえず、動けるのがわかってるパーティーメンバーのリストをもらっていい?それと、Cランクで捕まる人たちのリストも」
「了解」
「とりあえず、一旦解散。ギルドマスターが戻ってきたら、また、集まろう」
「そうだね、分かった。引き続き、倉庫の方に居るから、また集まる時は声かけて」
「うん、わかった」
そしてそれぞれ、持ち場へと戻った。




