今日も安定の残業です-3
「私は、生活できるだけの稼ぎさえあればよかったのに!残業なんてしたくないのに!!」
「あのー……」
ダンダン!と机を叩いているシエラに遠慮がちに声をかける存在がいた。
慌ててガバッと顔を上げると、そこにはうさ耳をへにゃっと垂らした少女が立っていた。
「スミレちゃん、お帰りなさい。薬草、見つけられた?」
「お、遅くなってごめんなさい…」
シュンとなるスミレに、シエラは慌てて、違う違う!と首を振った。
「スミレちゃんは全然遅くないよ!だってまだ18時だもの。ちゃんと暗くなる前に、戻ってきてくれるし、なんの問題もないよ!」
若干、手遅れながらも、スマイルをばっちりと張り付けて言う。
「みんな、スミレちゃんみたいに遅くなる前に戻ってきてくれたらいいのに…」
小さくため息をつきながら、カウンター越しにスミレの頭をなでる。スミレは小さく、少し、照れくさそうに笑った。
「あ、これ。今日とってきたの」
スミレはおずおずとカバンから3種類の薬草の束を取り出し、カウンターへ置いた。
「それじゃ確認するね」
そう言うと、シエラはそれぞれの束を鑑定していく。
「…はい、OKです!薬草、スズナ草、セリナズ草、それぞれ5束ずつ確認しました。依頼達成です」
シエラは引き出しから袋を取り出し、カウンターに置き、中のお金を並べていく。
「薬草5束分で銅貨5枚、スズナ草5束分で銅貨10枚、セリナズ草5束分で銅貨25枚、合計で銅貨40枚です!確認したら、ここに受け取りのサインをしてくれるかな?」
シエラの言葉に、スミレはこくりと頷き、小さな手で銅貨を数えていく。枚数に間違いが無いことを確認したら、手渡されたペンで署名する。
「はい、これで今回の依頼は完了です!また、依頼受けにきてね?」
ニコッとシエラが笑うと、スミレも小さく微笑んだ。