本日はお休みです-2
「ねーちゃん、これ、どのくらい買う予定だ?」
在庫をはかせるチャンスのにおいを嗅ぎつけて、おじさんは聞いてくる。
「んー、値段次第。これ、全部で何本くらいあるの?」
「ここにあるのは全部で250本くらいだな」
おじさんの言葉に、シエラは、んー、と考えている風を装う。
「…これ、全部買うから、中銀貨1枚にまけてくれない?」
中銀貨は1枚当たりで銀貨10枚分(銀貨1枚で銅貨100枚分)になるので銅貨なら1,000枚だ。単純計算でマイス200本分。さっきの10本で銅貨45枚計算ならきっちりで222本分になる計算だ。
「んー、それはちょっとさすがになぁ…マイス220本でどうだ?」
おじさんの言葉に、シエラは眉をピクリと動かす。
「おじさん、さっき10本まとめて買うなら銅貨45枚にまけるって言ったよね?それなら、中銀貨1枚で222本でしょ?220本じゃ減るんだけど?」
シエラの言葉に、おじさんはうっと言葉に詰まった。
「おじさん、私、これでも一応、ギルドの受付嬢やってるの。金勘定できない小娘だと思ってたら大間違いだよ」
「わ、悪かったよ。ちょっと勘違いしてただけだ。なら、マイス230本でどうだ?」
頭を掻きながら、悪い悪い、と苦笑いを浮かべるおじさんに、シエラはフルフルと頭を振った。
「嫌。さっきの、さすがに気分が悪いわ。だって、私が計算もしできなければ、おじさん、本当は私が買えるはずの2本をごまかしてたでしょ?」
シエラの言葉に、おじさんはまた、言葉に詰まる。
「ねぇ、商売において、一番大事なもの、おじさんならわかるでしょ?信用だよ?それをおじさんは自分でダメにしておいて、マイスたった8本で収めようって、それはさすがに虫が良すぎるんじゃない?」
にっこりと微笑むシエラ。
「いいんだよ?大きい声で、ここのおじさんは、計算ができないお客にはボッタくってくるって、なじみの冒険者やお店の人に言っても」
ある意味、脅迫である。
おじさんの顔色がみるみる悪くなっていく。
「それでも、中銀貨1枚でマイス250本は無理?」
シエラが言うと、おじさんは頭を抱えながら答えた。
「頼む、マイス240本で勘弁してくれ…それ以上は本当に無理だ」
その言葉に、シエラはにっこりと笑った。
「じゃ、それでいいよ。中銀貨1枚と銅貨45枚で、マイス全部頂戴」
「ま、毎度あり…」
疲れ切った表情のおじさんに、シエラはニコニコといい買い物ができた、と満面の笑みを浮かべた。




